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●フランス・カップで王座に輝いたシビック乗りの父と息子 (後篇)

24歳のフランクさんは昨年、FFSA(フランス・モータースポーツ連盟)が主催する“La Coupe de France des Circuits(フランス・サーキット・カップ)”に初めて年間フル参戦し、見事チャンピオンに輝いたのだ。しかも、本格的にレーシング・ドライバーをめざしたのは、ここ数年のことだという。
 
“シビック乗りの父と息子”こと、父のミッシェルさん(右)と息子のフランクさん(左)とシビック タイプR。2004年のフランス・カップでめざましい活躍を果たした。
「僕は自動車やモータースポーツの世界に囲まれて育ってきました。赤ちゃんの時、初めて歩いたのは父が参戦していたレースのパドックだったほどですから(笑)。16才の時にカートを始めたのですが、家族と一緒に働いたり、同じ道を進んだりするのに抵抗を感じていたんです。それで、カートはわずか2年でやめてしまい、『料理』というまったく別の世界へ飛び込みました」
「『料理』って、あの食べるお料理ですか?」と、私は思わず聞き返してしまった。
「そうです。調理師免許を取得し、スイスとの国境に近いレストランで4年間働きました。その間、週末になると自宅へ戻ってきては、ガレージでクルマをいじっていました。その時間が徐々に長くなってきて、やがて『やっぱり僕はこの世界が好きなんだ』という感情が自然に湧いてきたんです」
 
こうして2002年シーズンの終盤、シビック1600ccでフランス・サーキット・カップに初参戦。早くもクラス1位に輝いた。翌年は事故が原因でフル参戦は叶わず。そして2004年、満を持して年9戦全戦に出場し、チャンピオンに輝いたのだ。
開幕戦と2戦目はミッシェルさんのシビック1600VTiで参戦しクラス1位。総合順位を競うグループNでは4・5位という位置につけていた。
そして、3戦目からミッシェルさんの薦めもあり、2000ccのシビック タイプ Rに乗り換えて出場。後半5戦は連続して総合1位の成績を収めるという快挙を成し遂げた。
「このレースでは長年BMWがチャンピオンに君臨してきたんです。2004年もBMWに乗るライバルがいました。彼はとても速いのですが、走りにムラがありました。だから僕は、常に安定した走行を心掛けました。それが結果に繋がったと考えています」
 
2000ccのシビック タイプRでライバルの前を猛然と駆けるフランクさん。2004年、フランクさん駆るシビックがチャンピオンに輝き注目を集めた。
「料理人として働いたことで、何かレースに影響はあるんですか?」という質問を投げかけると、
「そうですね。料理ではちょっとした味付けが非常に大切になってくる。些細な部分まで神経を使うという姿勢はレースに活かされていると思いますよ」
シビック以外や他のメーカーのクルマで参戦する意向があるのかも聞いてみた。
「しばらくはシビックを探求していくつもりです。お菓子作りでもそうですが、ベースが大切なんです。基がダメだったら、どんなに後から調味料を加減したり飾りを豪華にしても美味しく仕上がらない。それはクルマも同じこと。シビックはベースが良いですから、色々と触りがいがあるんです。僕はシビックという極上のケーキを与えられたようなものですね」
そう語りながらフランクさんは心から嬉しそうな笑みを浮かべた。
 
現在父親のミッシェルさんはドライバーを引退し、息子の駆るマシンのメカニックに徹している。父親が整備するシビック タイプRに息子が乗る。血の繋がったエンスージャストのコラボレーションは、フランスで大輪の花を咲かせた。親子の二人三脚は始まったばかりだ。これからの活躍に声援を贈りたい。
(終り)

2004年のフランス・カップでフランクさんは見事にチャンピオンを獲得。写真は最終戦での表彰台の1コマ。もちろん、頂点に立っているのはフランクさん。 FFSAが主催する2004年シーズンの表彰式&パーティーの様子。写真中央、白いシャツを着ているのがシリーズチャンピオンとなったフランクさん。これからも、“シビック乗りの父と息子”の挑戦はまだまだ続きそうだ。
   
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