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●F1フランス・グランプリ  ドライバーズ・パレード(前篇)
  F1フランス・グランプリ 
ドライバーズ・パレード(前篇)
モータースポーツの最高峰と称されるF1グランプリ。モータースポーツのファンならずとも、自動車技術の最先端と世界のトップドライバーが競い合うこのレースに、憧れを抱いている人は多いことでしょう。Hondaのエンスージャストであれば、熱狂的なファンも少なくないはず。そんな、F1グランプリを特別な形でサポートしたS800とS600のオーナーをご紹介しましょう。

35℃を超える猛暑の中、2006年F1フランスGPは7月14日〜16日に開催されました。メイン・スタンド上層部に構えられたHonda(フランス)のブースで、フランク・ザナンさんとロビー・ムリーさんにお会いしました。

アルプス地方でHondaの販売店を営んでいる父親の下で育ったザナンさんは、筋金入りのHondaエンスージャスト。自身でレストア・ガレージを営むかたわら、15年ほど前からコレクターとして、S600の他にもN600、Z600、S800、シビック、CRXなどを所有。また、本田宗一郎氏を敬愛し、Honda車のみならず、Hondaに関する古い資料や関連品など、様々なモノを集めた、Honda博物館を自宅に構えるほどだそうです。
F1グランプリをサポートするために集まった S800(手前)と、S600(奥)。
数々のHonda関連品をコレクションしている、 フランク・ザナンさん。

一方、スイスのブローエンという小さな町にお住まいのムリーさんのHondaコレクションも相当なもの。S600カブリオレ、同クーペ2台、欧州で1台だろうと言われるサーキット専用のS600クーペ・レーシング、N600、Z600クーペ、S800カブリオレ、同クーペ2台、NSX、シビック……。ご本人も列挙するのが大変な様子でした。“S”との出会いは28歳の頃、友人が購入したS800を見たのがきっかけだったそうで、「いつか自分も」と思ったのだそうです。それから数年後、ある家畜小屋のようなところで泥まみれになって埋もれているS800を偶然発見し、それを安く譲ってもらったことからオーナー人生が始まったのだとか。ムリーさんもガレージを経営しているとのことですが、「Sシリーズはメカニカル面が非常に精密で、当時の最先端だった」と、プロを納得させる魅力に溢れているのだと力説してくれました。

そんな超エンスージャストの2人が、ある特別任務のために、S600カブリオレをトラックに積んで、半日掛けてフランスGPの会場、マニクール・サーキットにやってきたのです。現地Honda広報スタッフのオレリー・リツレーさんが知る限り、欧州にはS600カブリオレは12台しか存在していないらしく、「そのなかでも実際に走行が可能なのは、恐らくこの2台だけでしょう」とのことでした。

パレードのために、スイスからやって来た ロビー・ムリー夫妻。
現地Honda広報スタッフのオレリー・リツレー さん(右から2番目)

この2人に与えられた任務とは、F1の決勝レースのおよそ1時間前に行われる「F1ドライバーズ・パレード」で、自身のS600にHondaのF1ドライバーを乗せて運転するというもの。Honda Racing F1 Teamのジェンソン・バトン選手、ルーベンス・バリチェロ選手の他、Hondaエンジンを搭載する姉妹チームとも言えるスーパーアグリF1チームの佐藤琢磨選手、フランク・モンタニー選手を加えた4名を乗せるために、ザナンさんとムリーさんのS600の他に、現地Honda広報スタッフのリツレーさんが所有するS800と、販売店から借りたS800からなる計4台の“S”が用意されました。

4台の“S”がHonda関係者にお披露目されたのは、決勝前日の土曜日。サーキットのあるマニクールの町の、とある有名レストランの中庭でした。ピカピカに磨かれて並んだ2台のS600と2台のS800が並べられ、その脇で簡単なカクテルパーティが催されました。そして間もなく、予選を終えたばかりのHondaのF1ドライバー4名も揃って登場したのです。
ザナンさんら、“S”のオーナーが、マシンの排気量やパワーを選手たちに説明すると、そのハイ・パフォーマンスぶりに、一様に驚いていた様子でした。また、琢磨選手は「S800を探して購入したいと前から思っているんだけど、なかなか時間が取れなくてね」と、S800のエンスージャストであることを明かしてくれました。一見まったく異なる“Sシリーズ”とHondaF1マシンとの共通点も伺ってみると、「(Sシリーズに搭載されいてるのは)レース・エンジンそのものでしょう。ドライバーが走るために作られたもの。妥協のないクルマ作りは同じです。小さいエンジンで大きなパワー。僕も小さいチームで大きなチームを喰うという気持ちで今レースに臨んでいます」と、レースへの意気込みを絡めて熱く語ってくれました。

妥協のないクルマ作りに、SシリーズとHonda F1マシンとの共通点を感じるという、佐藤琢磨選手。
Honda Racing F1 Teamのジェンソン・バトン選手、ルーベンス・バリチェロ選手、スーパーアグリF1チームの佐藤琢磨選手、フランク・モンタニー選手。

筆者:野口友莉氏
パリ在住ライター。F1やル・マン24時間レースに参加するチームの広報業務を始め、日仏間のコーディネイトや翻訳などモータースポーツの分野に長年従事。1998年渡仏。モロッコの砂漠で開催される女性だけの国際ラリー「ラリー・アイシャ・デ・ガゼル」にドライバー兼ナビゲーターとして参加、完走している。
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