2005年の安全運転普及活動
より豊かなモビリティ社会の実現をめざして

pic 本年も私どもの安全運転普及活動に対し、ご支援、ご協力をいただき、ありがとうございました。今年は安全運転普及本部設立35周年に当たります。改めて、長年にわたる変わらぬご支援、ご協力に対し、御礼申しあげます。
  安全運転普及本部を設立した1970年以来、Hondaは実験安全車、先進安全自動車(ASV)研究など車の安全性能向上と、運転者への安全教育を両輪に、交通事故減少に力をそそいできました。活動は海外にも広がり、現在は20カ国で安全運転普及活動が展開されています。
  わが国の交通事故による24時間以内の死者数は、近年減少に転じ、2004年は7,358人となっています。政府は「第8次交通安全基本計画」(2006年〜2010年)では、さらに5,600人以下にするという目標を立てました。
  同時に、増加傾向にある発生件数、負傷者数についても、削減にさらに積極的に取り組むことを明示しています。年間約95万件発生する事故を大幅に減らすためには、交通参加者の安全意識、安全知識、安全スキルの向上が必要で、交通安全教育普及の重要性が一段と増してきたと考えています。他方、予防安全性能の高いクルマの開発、普及にも期待が高まっています。
  私どもは、「人間尊重」という企業理念、「より豊かなモビリティ社会の実現」というビジョンのもと、「人」「クルマ」の両面から、今後も交通事故削減に向けた活動を行ってまいります。

  2005年、安全運転普及本部は、以下に上げた4つの安全普及のための重点策に取り組みました。

全国の販売拠点を通してお客様を交通事故から守る教育・啓発活動
企業、地域の交通参加者を交通事故から守る活動
Honda の教育プログラムと教育機器の研究・開発と開発ソフトの提供
海外の安全運転普及活動の拡大

 以下、この項目に沿ってご報告します。

 
1. 全国の販売拠点を通してお客様を交通事故から守る教育・啓発活動

pic Hondaは、お客様と直に接する四輪、二輪、汎用販売拠点を、安全教育の輪を広げるための基本的な場と捉えています。  私どもの四輪、二輪、汎用販売拠点では、スタッフに安全運転の指導者教育を行い、お客様1人ひとりに「安全を手渡し」する活動を行ってきました。今年は、Hondaの販売拠点を地域の安全発信拠点として活動できるよう、質量ともに充実させることに目標を置きました。
  全国の四輪販売会社のレインボーディーラー認定拠点(約2,400店)では、お客様を対象にした「安全ミニ講習会」「ドライビングスクール」などの安全講習会開催に力を入れました。
  安全講習会では基本となるカリキュラムから、さらに独自のアイデア、地域の交通特性や季節にあわせた項目などを盛り込んで実施している販売会社も増えてきました。実技指導や安全アドバイスを行う指導者は、 Honda の安全運転指導の社内資格、「セーフティコーディネーター(約1万8,000人)」「チーフセーフティコーディネーター(約3,500人)」を取得した四輪販売会社のスタッフが担っています。
  Hondaの四輪販売会社は全国にあります。ここでの安全活動を継続、拡大することで、お客様の安全を守り、交通事故のない社会の実現に貢献していきたいと考えています。
  Hondaの二輪車を扱う二輪販売拠点に対しては、活動目標を、昨年末に新しくスタートさせた「セーフティサポートディーラー制度」認定店の拡大など、体制整備に力点を置きました。
「セーフティサポートディーラー制度」認定の条件は、

全営業スタッフがHondaの安全指導についての社内資格、「ライディングアドバイザー」を取得する
ライディングスクールの定期開催など安全運転普及活動を行う

 認定店が増えることで、お客様への安全アドバイスの輪が広がります。また、「高速道路二輪車二人乗り」「AT限定二輪免許」のような法改正に、タイミングのあった教育、啓発が可能になります。
  今年は、Hondaのスポーツバイクを扱うホンダドリーム店約30店が認定を受けました。引きつづきホンダドリーム店全拠点への認定拡大をめざします。

 
2. 企業、地域の交通参加者を交通事故から守る活動

[交通教育センターでの取り組み]
 Honda の交通教育センターは全国8カ所(もてぎ、和光、埼玉、浜松、浜名湖、鈴鹿、福岡、熊本)にあり、参加体験型実践教育の基地として、今年も以下の活動を展開してきました。

企業、団体の指導者育成支援、および四輪、二輪運転者の交通安全教育
一般の四輪、二輪運転者への交通安全教育
地域の公共団体などと協力して行う児童・生徒、高齢者などへの交通安全教育
Honda 社内(製作所、販売拠点など)を対象とした交通安全活動の指導者育成とレベルアップ
各種の交通安全活動指導者の交流とレベルアップ支援活動
教育内容、教育手法などの研究・開発と支援
企業の交通安全活動の内容、手法の研究・開発と支援

pic 各種の運転研修会・スクール、指導者育成研修会などへの今年の参加者数は約7万人です。各企業、団体の指導者を集めた、交流と情報交換の場「トラフィック・セーフティ・フォーラム」は今年も、もてぎ、埼玉、浜名湖・浜松、鈴鹿、熊本の5カ所で開催しました。
  教育内容、教育手法の研究開発については、新しく映像機器などを導入した企業ドライバー向け新プログラムの開発を進めています。


[Honda各部門指導者の指導力向上の取り組み]
 安全運転普及活動を広げるためにも、効果的な安全教育を行うためにも、指導者の指導力向上は不可欠です。今年も海外を含む Honda 社内の交通安全活動の指導者を集めた、「第9回セーフティジャパンインストラクター競技大会」を鈴鹿で開催しました。
  交通教育センターのインストラクターや販売拠点のセーフティコーディネーターなど、Hondaの各部門を代表する選手が、運転技量の正確度などを競いました。


[地域や業界との連携]
pic 交通安全教育の普及には、地域の公共団体、学識者などと連携し協力しあうことでより高い効果が生まれるという利点がいくつもあります。現場の力、地域の力を借りることで、効果的で実践的な教育内容の開発や、地域に広く安全教育を普及することが可能になります。
  私どもの活動には、こうした官民学協力の形で進められているものがあります。1993年、鈴鹿市(三重県)に設置した「鈴鹿モビリティ研究会」はその一例で、最近では、年代別交通安全教育を地域密着型で取り組むモデルケースであるとの評価をいただけるまでになりました。
  この研究会の成果の1つは、鈴鹿市の小学校など現場の先生方の協力を得て開発した小学校3 、4年生向け交通安全教育プログラム「あやとりぃ」、4〜5歳児対象「あやとりぃ ひよこ編」、小学校高学年向け「あやとりぃ 自転車教室」と、これらを活用する指導者の育成です。
  「あやとりぃ」の活動をさらに広げるために、鈴鹿、狭山、浜松などHondaの製作所のある地域で、まず社員の子どもを対象に展開し、地域の理解を得ながら浸透させていきたいと考えています。
  高齢の歩行者・自転車利用者向けの教育プログラム「あやとりぃ 長寿編」は開発を終え、今年は本格普及へ向けた初年度に当たります。
  鈴鹿市、警察署主催の「あやとりぃ 長寿編」講習会は市の委嘱を受けた交通教育指導員に、定年退職したHondaのOBが講師に加わり、現在までに、31回開催され、約1,700人の高齢者の方に参加いただきました。


[初心運転者育成の指導力アップへの協力]
 初心運転者教育を担われる自動車教習所教習指導員の自己研鑽と教習所相互の交流の場として、今年も「第5回全国自動車教習所教習指導員安全運転競技大会」を、鈴鹿で開催しました。前回を上回る196人の教習指導員の参加をいただきました。

 
3. Hondaの教育プログラムと教育機器の研究・開発と開発ソフトの提供

pic 教育・トレーニングの内容、手法、教育機器の研究・開発では、今年は、高齢ドライバー用と企業ドライバー用の新教育プログラムを開発し、現在、試行しながら効果確認などを行っています。
  新プログラムのコンセプトは、「教え込む」のではなく「気づかせる」教育です。映像機器やシミュレーターを導入することで、受講者が自分の運転行動を映像やデータを通して、客観的に振り返ることが可能なプログラムをめざしています。
  自分で問題点に気づき、自分で解決策を考え、実行し解決する、指導者は答えを押しつけない、という交通安全教育の理想に、一歩近づくことが目標です。
  企業ドライバー向けに開発中のプログラム「弱点克服コース」は、運転の弱点を集中的に改善するもので、 2 つの要素からなっています。

心理調査票と実走行診断結果で、受講者の特徴を個別に明らかにする
多発型事故予防に関わる受講者の運転行動を、映像機器などを使い、個別に明らかにする

 この 2 つの組み合わせで、受講者は問題を発見し、解決に向かうことができます。現在、交通教育センターレインボー 浜名湖で効果確認中です。
  高齢ドライバー向けの教育プログラムも、受講者の運転中の映像記録などを見ることによる「気づき」が教育目標ですが、スクール受講後も日常生活の中で「気づき」独習ができる仕組みを特徴としています。
  インストラクターがきめ細かく対応できるよう少人数制とし、元気で楽しく、わかりやすくて役に立つプログラムに仕上げたいと考えています。

  私どもは、教育プログラムなど開発したソフトを社会に提供することについても、三重県の「あやとりぃ」「あやとりぃ 長寿編」の例のように大切な仕事と考えています。地方公共団体などとの連携のあり方についても研究していきたいと思います。

 
4. 海外の安全運転普及活動の拡大

pic 海外でも、安全運転普及活動とクルマの販売を企業活動の両輪と捉え、それぞれの国の状況やニーズにあわせて活動を展開しています。
  昨年、ドイツ、トルコ、マレーシア、韓国、ネパールの5カ国が普及活動の準備に入ったと報告しました。今年はロシアが加わり、現在、20カ国、26現地法人に活動が広がっています。私ども安全運転普及本部はこれら現地法人のサポートにあたっています。活動は、

販売拠点での活動
交通教育センターでの活動
社会に貢献する活動

の展開標準化ステップをベースに進みます。

 四輪では、今年は中国とロシアで安全運転の教育・啓発活動が大きく進展しました。中国南部にある広州本田は交通実態調査と分析から活動をスタートし、交通状況、ヒヤリ体験、事故経験に沿う教育内容などを決め、従業員対象の講習会を開いています。Hondaモーター・ロシアでは、販売拠点に、日本の「レインボーディーラー制度」を取り入れた体制作りを開始しています。
  二輪では、トルコのHondaターキーがトレーニングコースを活用し、警察、企業、一般ライダー対象の実技講習会を始めています。
  例年申しあげることですが、現地で活動の核になる安全指導者の養成は、Hondaの安全運転普及活動への理念、教育手法などを理解してもらうために、日本の交通教育センターで研修を行っています。


安全運転普及活動の体制と展開
  活動の場 活動内容 指導者 主な対象
 
国内 販売店 四輪 レインボーディーラー
制度
店頭安全アドバイス
安全ミニ講習会
ドライビングスクール
地域の交通安全活動協力
セーフティコーディネーター
チーフセーフティ
   コーディネーター
二輪 セーフティサポート
ディーラー制度
店頭安全アドバイス
ライディングスクール
地域の交通安全活動協力
ライディングアドバイザー
スポーツライディングスクール
  インストラクター
汎用   店頭安全アドバイス
地域の交通安全活動協力
モンパル安全運転
   インストラクター
モンパル乗り方指導員
交通教育センター 運転者・指導者研修
二輪・四輪販売店研修
一般ライダー、ドライバースクール
二輪・四輪シミュレーター によるトレーニング
指導者の交流と指導力向上のための
   イベント、競技会
交通教育センター
   インストラクター
各年代別講習
地域活動 教材開発
指導者養成
授業実施
教職員
交通安全指導員
業界活動 (社)日本自動車工業会
(社)全国二輪車安全普及協会
(財)全日本交通安全協会
交通安全キャンペーン
交通安全教育プログラムの編纂
指導者養成協力
 
Honda
および
関連会社
Honda 事業所、関連会社 普及指導員養成
従業員への交通安全指導
Honda ファーストエイド
安全運転インストラクター
Honda ファーストエイド
   主任講師
Honda ファーストエイド
   インストラクター
海外 現地法人 販売店 店頭安全アドバイス
ライディングスクール
ドライビングスクール
地域の交通安全活動協力
販売店インストラクター
交通教育センター 指導者研修
二輪・四輪販売店研修
一般ライダー、ドライバースクール
二輪・四輪シミュレーターによるトレーニング
地域の交通安全活動協力
運転免許取得講習
指導者の交流と指導力向上のための
   イベント、競技会
交通教育センター
   インストラクター
 
来年に向けて

 来年から「第8次交通安全基本計画」がスタートします。死者数と事故発生件数の削減をめざす基本計画は、「人」への安全教育・啓発を重視しています。
  初心に返り、また長年の経験を活かし、私どもが持つ、人、ソフト、場所、機材などを総合的に活かして、「現在開発、検証中のものは速やかに実施できるようにする。活動中のものはさらに普及の輪を広げ、また質を高める」、こうした決意と目標を持って、お客様はいうまでもなく、広く社会に喜ばれ、また活用される活動を進めていきたいと思っています。
  みなさまの一層のご理解とご支援をお願い申し上げます。

 

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