地域住民の生活を支える森づくり ベトナム「植林の日」プロジェクト

貧困問題と切り離すことのできない環境問題

 日本の南西に位置するベトナム。日本よりひとまわり小さい国土は南北に長く伸びています。メコン川やソンコイ川などの下流のデルタ地帯には豊かな田園風景が広がりますが、縦に長く山脈が伸びており、山岳地の割合が多いのもベトナムの地理の特徴です。

ベトナムの市街地(イメージ)

ベトナムの農村部(イメージ)

 ベトナムの経済は大きく発展しつつありますが、一方で都市部と地方との格差が広がっています。世界銀行のデータによると国際的な貧困ラインの1日1.25ドル未満で暮らす人の比率は、都市部で5.4%、それに対し地方では22.1%にも上ります。ベトナムでは、この地方における貧困の問題が森林破壊と密接に絡みあっているのです。特に山間部では生活の基盤となる収入源が乏しく、森の木を切って薪や木材として売らないと生きていけない現実があります。

※世界銀行による2012年の統計

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森林再生と貧困削減を目的とした植林プロジェクト

 1990年頃まで減少傾向だったベトナムの森林面積は、国全体での植林活動により現在では増加傾向にあります。一方で、貧困率の高い山間部などでは前述のような要因により、依然として森林面積が減少しているところもあります。そうした地域で森林を再生させるには、植林活動が単に木を植えるだけのものではなく、地域に雇用や産業を生み出し、貧困問題を改善するようなものである必要があるのです。そうした活動としてスタートしたのが、ホンダベトナムの植林プロジェクト「植林の日」です。

ホンダベトナムや関連企業の従業員、ベトナム林業大学の学生、
多くの地域住民などが参加。

 こうした課題に取り組むために、ホンダベトナムカンパニーは、ベトナム北東部に位置するバックカン省でバックカン省農業・地方開発局とともに2013年から森林再生と木材生産による貧困削減を目的とした植林プロジェクト「植林の日」を開始しました。プロジェクト唯一のスポンサーであるホンダベトナムは49億ドン(約2700万円)を出資。プロジェクトの期間は2013年から8年間を予定しています。最初の4年間で約520ヘクタールの土地に植林を行い、その後も地域の住民による継続的な樹木の手入れや保護を続けながら、2020年より木材生産を開始する計画です。また、植林・育林にあたっては、国際協力機構(JICA)やベトナム林業大学の専門家による技術的な指導も受けながら進めています。さらに、年に一度はホンダベトナムの従業員が現地を訪れ、地域の住民とともに植林を行っています。このプロジェクトにより生長した木はおよそ73,500m3の木材となり、それを売ることで約500億ドン(約2億8000万円)の利益がもたらされる見込みです。また地域の約350世帯が植林、育林、木材利用などを通じて、このプロジェクトに参加することになっています。

※1円=約178ベトナムドンとして計算。

2013年の植林直後

2014年の同じ場所

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年に一度の「植林の日」には従業員も参加

植林をするホンダベトナムカンパニー社長 加藤 稔

 初年度である2013年の「植林の日」には、ホンダベトナムや関連企業の従業員など約300名、ベトナム林業大学の学生50名と多くの地域住民が参加し、最初の3ヘクタールの植林が行われました。その後、約1年で212ヘクタールに植林がされ、保護されています。
 また、2014年はホンダベトナムや関連企業の従業員など約200名に加え、多くの地域住民が参加し2ヘクタール分に植林しました。2年目の植林総面積は147ヘクタールになる見通しです。

地域の方のコメント

この活動に参加することは、ここで生活をする私たちにとっても大きな意味があります。環境保護の観点からだけでなく、それによって地域住民がきちんと収入を得ることができるからです。このプロジェクトでは、資金面だけでなく、実際に森づくりをしていくための技術的指導やサポートも受けています。2013年、我が家は1ヘクタールの植林プロジェクトに参加しましたが、それは今後、私たちの収入の源泉となることでしょう。

植林をする加藤 稔 ホンダベトナムカンパニー社長

私どもホンダベトナムカンパニーは、日頃から環境技術の採用、環境負荷の低減に努めております。また自分たちの手で直接、ベトナムの緑を守る活動をしたいと考え、「植林の日」プロジェクトに出資するとともに、年に一回、植林活動にも参加しています。

従業員が実際に植林に参加することは、植林活動の成果を確認する機会となるだけでなく、ホンダベトナムとして、地域のためになる価値をもたらす努力をしていくという企業姿勢を表明するものでもあります。この活動によって、従業員や関係者の環境保全意識が高まると同時に、他の組織や企業にも良い影響を与えるようなモデルケースとなればと願っています。

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合言葉は“Together for tomorrow”

このロゴは、みんなで力を合わせ、夢のある明日の社会づくりをめざすというHondaの社会活動の考え方を表しています。

環境問題に国境はありません。Hondaは、この活動を「地球環境を守る活動」の一環と位置づけ、その国、その地域の環境
や文化、状況に合わせた活動を展開しています。そして、これからも地球環境の保全に少しでも貢献できるよう力を尽くし
ていきます。

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