アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト支援
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エンジニアとしての
基礎を学んだロボコン時代。
うっかり入部、しかも弱小。ロボコンとの出会いは戸惑いだらけ。

実は、高専でロボコンをやろうなんて思っていなかったんです。たまたま友人の付き添いでロボコン部を見学して、軽い気持ちでアンケートに記入したら、それが入部届だと言われて・・・いつのまにか部員になっていました(笑)。
奈良高専は今でこそ強豪校といわれますが、僕が入学した2007年当時は、地区大会の初戦突破も難しいような状況でした。1年の僕がいきなり設計担当に任命されるくらい、部員数も少なかったです。時間的な拘束はきついし、夏休みもないし、そもそも“うっかり”入部してしまった自分にはしんどいことばかりでしたね。それでも辞めなかったのは、「自分が抜けたらこのチームは立ち行かなくなる」という責任感があったから。先輩も後輩もなく、とにかく全員が必要不可欠な主力メンバーでした。

弱小校がまさかの地区優勝。
「悔しさ」がチームを変えた。

1年目の地区大会の会場で、「奈良高専なんて弱い」と話す他校の学生の声を耳にしてしまったんです。傷つきましたね。そしてその言葉通りあっさり一回戦負けした自分たちの不甲斐なさに落ち込みました。
でも、その悔しさでチームが生まれ変わりました。なんとか見返してやりたい、強くなって来年は絶対に勝ちたいと奮起したんです。「勝つ」という目標に向かって全員がまとまり、気がつけば自分もロボットづくりに夢中になっていました。そういう意味では、僕自身を変えた「悔しさ」でもあったのかもしれませんね。 努力が実り、翌年の地区大会では奈良高専にとって十数年ぶりとなる優勝を勝ち取りました。全国大会では気合いが空回りしてしまい思うような成績は残せませんでしたが、やればできるんだという自信がつき、チームとして大きく成長した転機の年でした。

自分の中の「壁」を越えた瞬間。

ロボコンでは、ロボットの性能はもちろん、練習量も勝敗に大きく影響します。できるだけ早くマシンを完成させて実践練習を重ねておかないと、国技館のあの大舞台で納得のいくパフォーマンスは出せません。
2011年、5年生で迎えた最後のロボコンでは、全国大会に向けた改良期間をあらかじめ決め、それ以降はすべて練習にあてるスケジュールを立てました。ところがその改良で苦戦し、ロボットがなかなか仕上がらない。いろいろ工夫してみてもダメで、時間だけがどんどん過ぎていく。機械チームリーダーの自分がなんとかしなくては、と焦りました。
やっと解決策が見つかったのは、国技館への発送日の一週間前。これ以上みんなを待たせられない本当にギリギリのタイミングだったので、一晩ですべての設計を見直し、朝一番で製作陣に図面を渡しました。自分で言うのもなんですが、あの時の集中力はすごかったですね(笑)。目に見えない壁を越えた感じでしょうか。
そのロボットで戦った全国大会では、ベスト8まで勝ち進みました。準決勝は接戦の末、わずか1秒差で敗退。おそらくコンマの差だったと思います。それくらいハイレベルな勝負ができたのに最後は負けてしまい、本当に悔しかったですね。あの時の悔しさは今でも忘れられないです。

ロボコンが自分にもたらしたもの。

当時のメンバーとは今もつきあいが続いていて、国技館での全国大会観戦も毎年の恒例イベントになっています。苦楽をともにできる友人の存在、両親や先生のサポート、練習場所を提供してくれた学校の協力など、まわりの人や環境に恵まれたからこそ思いきり打ち込めていました。それに気づき、周囲への感謝の気持ちを持てるようになったのはロボコンのおかげですね。支えてくれる人の想いに応える立ち振る舞いを心がけるようになって、自分自身が成長できたと感じています。
もうひとつは、なんといっても「モノづくりの面白さ」を知ったことです。ロボコン部メンバーには、加工が丁寧な人、回路設計が早い人など、それぞれに得意なことがあり、まるで職人集団のようでした。一人ひとりの特技を集めるととてつもないパワーになって、想像を超えたすごいモノができる。個々が能力を発揮して価値あるモノを生み出すって、なんて楽しいんだろうと思いました。
上級生が少なくて1年生の時から中心メンバーだったことも、自分にとっては良かったと思います。5年間ずっと“最前線”で過ごせるなんて、なかなか貴重な経験でした。

Hondaを選んだ理由。

小さい頃からクルマが好きで、自動車業界で働くことが夢でした。普通科高校ではなく高専に進学したのも、その夢を叶えるためです。ロボコンとの出会いは想定外でしたが(笑)。
数ある自動車メーカーの中からHondaを選んだのは、本田宗一郎の考え方に共感したから。人を一番に考え、技術で世の中の役に立つことを目指した彼の想いが息づく会社なら、きっと自分に合うだろうと思い、選びました。
特に共感を覚えるのが、「研究所は技術を研究するところではなく、人の気持ちを研究するところ」という言葉。自分たちのつくったモノでたくさんの人に喜んでほしいなら、人々が何を求めているのかを一生懸命に研究して製品をつくらなければいけないよ、というメッセージがすんなりと心に入ってきます。創業者 本田宗一郎の言葉は、時代が変わっても古くならないんですよね。今でも通じる普遍的なものだから、多くの人が共感するんだと思います。

モノづくりへの挑戦は、
ロボットからクルマへ。

本田技術研究所に入社して5年目、ハイブリッド車や電気自動車のモーターの試作が現在の主な仕事です。社会に出て改めて感じたのは、ロボコンで培った知識や経験がさまざまな場面で役に立ち、応用できるということ。たとえば、目標の定め方やスケジュール管理の大切さ、日常生活の中でもアイデアの種を探そうとする意識などは学生時代から身体に染みついていましたし、現場・現物・現実を大切にするHondaの「三現主義」も、考え方はロボットづくりと一緒です。また、図面を描く、工作機械を動かす、といったモノづくりの工程をひととおり習得しているので、プロジェクト全体の流れや作業ボリュームをイメージできる感覚もロボコン経験者ならではの強みだと思います。
もちろん、学生の課外活動と企業のモノづくりとでは、規模も雰囲気もまったく違います。特に保証という概念では、ロボコンのロボットが、極端に言えば試合が終わるまでの3分間壊れなければOKなのに対し、クルマやバイクは、どんな人が運転してどこを走るのか、何年、何十年乗るのかわからない状態で高い品質に仕上げなくてはいけない。そういった違いは、実際に入社してみないとわからないことでしたね。

エンジニアとしての夢。

ロボットをつくっていた高専時代も、Hondaのエンジニアとなった現在も、モノづくりが好きだという気持ちは変わりません。「あと○年したらこんなモノをつくりたい」「○年先にはこんなコトが可能になるだろう」といった技術テーマを、常に自分の中に持つようにしています。日々の仕事に真摯に向き合いながら経験や実績を積み、説得力を身につけて、責任ある仕事にチャレンジしていきたいですね。
Hondaには、ユニークな発想や素晴らしい技術を持った従業員がたくさんいます。チームとして結束し、お互いに高め合いながら、価値ある製品づくりをこれからも追求していきたいです。そしていつか、ハンドルを握る誰もが「運転って楽しい!」と思えるようなクルマを、この手でつくりたいと思っています。

ロボコンOBとして、
高専生に伝えたいこと。

ロボコンに熱中していると、目にする物事すべてがアイデアのヒントに見えてきますよね。僕もそうでした。そうやって世の中を観察する視点の大切さを、エンジニアになった今、改めて実感しています。
皆さんがロボコンで経験するあらゆることは、社会に出てからの大きな武器になります。だから迷わずに突き進んでほしい。悔いが残らないよう限界まで考え抜いて、やりきってほしいと思います。
技術は日々進化していて、ロボコンも年々レベルアップしています。SNSの普及によって、昔とは比べものにならないくらい多くの情報を手にできるようにもなりました。常にアンテナを張って、使えるものはなんでも活用して、皆さんの新しい感覚でロボットをつくってみてください。全国のロボコンOBが、皆さんのチャレンジを応援しています!

部下であり、仲間でもあり。
一緒にチャレンジしたくなる人材。
interview (株)本田技術研究所 主任技術員 森 正人
第一印象から「即戦力」。

丸山君のロボコン体験をこんなに詳しく聞いたことがなかったので、新鮮ですね。仲間たちと切磋琢磨しながら成長してきた様子が伝わってきました。
さすが5年間ロボットづくりをやっていただけあり、チーム作業の進め方やスケジュール管理、コスト意識などの基本は入社当時からできていましたね。新たに取り組みたいテーマを募るといつも積極的に手をあげ、なかなか的を射た提案をしてきます。常に問題意識を持って過ごしているから、「自分がHondaで何をやりたいか」が明確なんでしょう。
最後まで諦めない粘り強さ、他人の意見を受け入れる柔軟性、自分の非を素直に認める潔さ、どれもバランスよく持っている人です。マニアックすぎる発言に驚かされることもありますが(笑)、職場やチームからの期待も大きいですね。

エンジニアとしての存在感。

丸山君と技術談義をしていると、その独特な表現に驚かされることがあります。私たちはまず使わないような“ゆるい言葉”や“感覚的な言葉”で、実にうまく状況を表現するんです。専門用語に縛られず、みんながイメージを共有しやすい表現を無意識に選んでいるのかな。「自分のアイデアや考えを人に伝えたい」という想いの強さを感じます。
彼はまだ入社5年目ですが、すでに大きな戦力です。どんな活躍をしてくれるのか、将来が楽しみです。上司としてしっかりサポートしながら、さまざまな課題や難題に一緒にチャレンジし、Hondaのモノづくりを盛り上げていきたいと思っています。

ロボコンは未来の技術者を育てる場。

モノづくりに大切な創造力や課題設定力を身につけるには、それなりの経験と時間が必要です。企業という制約がある組織の中では、特に難しいかもしれません。その点ロボコンは、同世代の自由な雰囲気の中でのびのびと想像し、課題を一つひとつ解決しながら、エンジニアとしての基礎を学ぶことができる。人材育成という面から見ても、ロボコンに参加する意義は非常に大きいと思います。

ロボコンに挑む若きエンジニアたちへ。

Hondaは、「こんなモノがつくりたい」という現場の声を大切にするボトムアップ型の会社。自分のアイデアをカタチにできるチャンスがあります。ロボコンで磨いた皆さんの独創的な創造性を、ぜひHondaで発揮し、夢を実現させてください。皆さんとの出会いを楽しみに待っています。