山梨県小菅村での森林保全活動をスタート!

Hondaは2005年3月、山梨県北都留郡小菅村、(公財)オイスカと協働し、同村の約3ヘクタールの村有林において自然林回復のための植林活動を展開することを決め、5月14日(土)に「第1回小菅村植林ボランティア」を実施し、Honda従業員とその家族の方々が参加しました。

第1回小菅村植林ボランティア−2005年5月14日(土)

東京都の水源・多摩川源流域が抱える環境問題

Hondaは、環境分野における取り組みのひとつとして、国内の各事業所周辺地域に供給される水道水の源流での森林保全活動を支援するとともに、従業員とその家族が参加できる「植林ボランティア」を企画しています。

山梨県小菅村の山林の多くは東京都水源涵養林の指定を受けており、多摩川の源流域に位置します。埼玉地区(利根川源流)、熊本地区(阿蘇山周辺)、浜松地区(天竜川水系)に続き、今回は東京都の水源を守る取り組みとして、関東地区の従業員とその家族、総勢48名が参加しました。

多摩川源流に広がる水源林は、東京都の水道水確保と、土砂の流出や災害予防を目的として、約100年にわたり東京都が維持管理していました。そのため開発されることなく、昔からの豊かな自然がそのまま残っています。

しかし、近年の安い輸入木材による材木価格の低迷のため、林業は衰退する一方で、多摩川流域にある森林の多くも間伐などの手入れが行き届かず森林の荒廃が進み、下流地域において水不足や災害といった影響を及ぼしています。

こうした環境問題は、自然の恩恵を受けている上流から下流までの流域地域に住む人々が交流し、共に考え、豊かな川の維持のために行動していくことが大切なのです。

周囲の自然を配慮した植林活動

山梨県北都留郡小菅村は、奥多摩の美しい山々に囲まれ、東京都の水源地として大きな役割を果たしている自然豊かな地域です。今回植林した土地は、多摩川源流・小菅川の北側に位置しており、過去に伐採された土地がそのまま放置され、低木が少し自生するのみの荒地でした。

開催前日は不安定な天候だったものの、植林地に着くころには薄曇りに落ち着き、絶好の植林作業日和の中、開会式が始まり、小菅村の廣瀬村長のご挨拶のあと、北都留森林組合の方々による植林作業の手順について実演を交えた説明が行なわれました。

今回植樹する苗木は「ヤマモミジ」で、これを等間隔に植えていき、植えた苗木の左右に2本の竹ざおを打ち込んで立てて、ウッドガードというプラスチックの苗木カバーをかぶせ、左右の竹ざおとバンドで留めて固定し、作業完了となります。

このウッドガードは、奥多摩に生息する鹿の食害から苗木を守るためのもので、これがないと苗木は成長する前に食べ尽くされてしまいます。今回使ったウッドガードとそれを留めるバンドは、数年後には自然分解されて土に還るプラスチック製品を使い、環境への配慮をしています。

作業のあとの大きな達成感

まず、参加者は落石などの危険から身を守るために全員ヘルメットを着用し、植林ポイントに移動します。この植林地は急斜面のため、縦に一直線に登りきることはとても難しく、斜めに少しずつ登っていけるようあらかじめ整備された小道を1列になって登っていきます。

上に着くと2〜3人のチームを組み、山肌に点在する植林箇所へと斜面を慎重に移動します。急斜面の上に石や岩がごろごろして、全身のバランスをとりながら少しずつ移動していくだけで、汗が吹き出してきます。

そんな急斜面でも北都留森林組合の方々は植林に必要な長い竹ざおやウッドガードの束を肩に乗せ、平地と変わらずに縦横自在に行き来し、植林作業の指導や手助けをテキパキとこなします。また作業の合間には周辺に生える野草の名前を教えてくれるなど、森林組合の方々の「山のプロ」の身のこなしに、参加者は感心するばかり。

植林作業が進むにつれて参加者の皆さんも徐々に斜面でのバランス感覚をつかみ、一連の作業工程をチームで助け合いながら根気よく取り組み、午後の作業は午前中より、順調に進行。全員で500本の苗木を植樹し無事に作業が終了しました。帰り際、参加者の皆さんはウッドガードをかぶせられた苗木が並ぶ植林地を一望し、達成感を満喫していました。

普段何気なく使っている蛇口の向こうの森林を訪れ、植林活動を実際に体験することは、山や川を守り管理していくことの大切さに気づくきっかけとなります。Hondaは、そのようなきっかけの場を従業員に提供していくと共に、水源の森における森林保全活動をこれからも継続的に支援していきます。

植林ボランティア参加者の皆さん
植林ボランティア参加者の皆さん
元気いっぱいに植林地に到着
元気いっぱいに植林地に到着
奥多摩の山々
植林地の前に広がる奥多摩の山々
急な斜面を登り降りしながらの植林スタート
急な斜面を登り降りしながらの植林スタート
チームを組み、助け合いながら作業
チームを組み、助け合いながら作業
体のバランスをとりつつ、苗木を植えていきます
体のバランスをとりつつ、苗木を植えていきます
手前の木がまばらな土地が植林地。白く見えるのがウッドガードをかぶせた苗木
手前の木がまばらな土地が植林地。白く見えるのがウッドガードをかぶせた苗木

親子で次の植林ボランティア参加を計画中です

小川さん親子

娘の千華さんは4月から大学の森林総合科学科で環境に関する勉強をスタートさせたばかり。そのため植林ボランティアには興味津々。今回はお父さんに誘われてすぐ参加を決めたそうです。

「実際に森林まで来て体験するのはすごくためになりました。植林では急斜面で足がすべって怖かったけれど、だんだん自分なりのバランス感覚をつかんできて、そうすると面白くなりました。森林組合の人たちは急斜面を普通に歩いてて、かっこよかったです。」

お父さんは親子で次の植林ボランティアを計画中。「今回の初参加で色々学んだので、他の植林にも参加してみようかと話してます。今度は秋の植林で、などと計画中です。」

小川さん親子

思った以上にハードな作業でしたが、大満足です

左:ニチャガーンさん/右:竹山さん

お二人は今回初めての植林参加。応募のきっかけと感想をうかがいました。

「元々環境関連の勉強をしていたので、植林に興味があったんです。それで私が誘って二人で参加を決めました。でもこんなきつい斜面での作業だとは思ってなくて。びっくりしました。」と笑顔で話してくれた竹山さん。

一緒に参加したタイ出身のニチャガーンさんからはうれしい感想が。「日本のお水がおいしい理由が、この森にきて分かりました。電車で来たのですが、都心から2時間ほどでこれだけの自然があるなんてすごい。」

「今回の植林体験はハードでしたが、その分満足度が高いねって話しました。自然の中で一日動いたせいか、森林が水と空気のためにいかに大切かっていうのも実感できた気がしています。」

左:ニチャガーンさん/右:竹山さん