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栃木県足尾町で、森林保全活動をスタート

Hondaは2006年4月22日(土)に、林野庁・日光森林管理署、CCC自然・文化創造工場関東事業部と協働し、栃木県足尾町にある日光森林管理署所有の約3ヘクタールの山地において、森林回復のための「第1回 栃木県足尾町水源の森保全活動」を実施し、Honda従業員・OBとその家族45名の方々がボランティア参加しました。

栃木県足尾町水源の森保全活動
−2006年4月22日(土)

植林地は公害の影響が色濃く残った足尾地区

今年からスタートしたHonda栃木製作所の森林保全活動地は、渡良瀬川上流に位置する足尾町。ここは明治時代に日本一を誇った足尾銅山の跡地であり、日本の公害の原点といわれる足尾鉱毒事件が起こった場所です。急激な銅山開発は有毒な亜硫酸ガスを発生させ、草木は枯れて山肌からは土壌が流れ、広大な足尾の山地は草木を完全に失った荒廃地へと変貌しました。その被害面積は2,400ヘクタールにもおよびます。

この広大な荒廃地をよみがえらせるために、国は1956年から本格的に治山工事をスタートしました。山肌の岩石を切りならしてコンクリートブロック等で傾斜を安定させ、そこへ土を運び上げ、草木を植えて土壌を安定させていく…。険しい山の斜面では人力で行うしかなく、治山工事は困難を極めました。人が入れない山奥へはヘリコプターを使用し、50年かけて工事を徐々に進め、現在は約50%の緑がよみがえりました。

やっと回復してきた自然には、シカやカモシカ、サル、ツキノワグマなどの野性動物が戻ってきました。しかし、今度はシカによる食害という新たな問題が発生しています。

見渡す限りの荒廃地に言葉を失う

参加者は初めて訪れた植林地の荒廃した風景に驚き、しばし呆然と山々を見渡していました。植林地周辺は、まだ一部しか治山工事が進んでおらず、草木がほとんどない荒涼とした様子は、公害の悲惨さ、壊れてしまった自然の痛ましさを伝えます。

開会式では、日光森林管理署から「広大な荒廃地の保全活動はまだ道半ばです。ボランティアとしてご協力いただける皆さんに感謝します。」と挨拶があり、続いてCCC自然・文化創造工場関東事業部から植林地の状況と、植林についての指導がなされ、いよいよ植林がスタートしました。

急斜面での植林作業スタート

数人でチームを組み、クワと苗木を抱えて山を登ります。枯れ草に覆われた斜面は登るほどに傾斜がきつくなり、道なき道を這うようにして進んでいかなければなりません。そのハードな道のりにスタッフからは 「無理せず、休みながら登っていきましょう。」と声がかかります。慣れない斜面に苦労しつつ、中腹にある植林地へ到着しました。

植林するのはヤシャブ・ヤマモミジ・ヤマザクラの苗木。ヤシャブは荒地でも根付き、かつ土を豊かにする働きをもっています。木の成長を考慮して間隔を保ちつつ、苗木を丁寧に植えていきます。慣れない山の急斜面で、クワと苗木を抱えての作業に、最初はとまどっていた参加者も、徐々に要領を得て、土や枯れ草にまみれながらも順調に作業は進んでいき、最終的には1,500本の苗木を植えることができました。

自然回復の大変さと大切さを実感

植林作業後は関東森林管理局による森林保全セミナーが行われます。足尾地区で起こった公害による環境破壊についてや、人の手による自然回復の大変さとその必要性、足尾の保全計画が目指す天然林の再生、保全計画に対する国の予算の減少、自然回復のために多くのボランティア協力が求められている現状などが語られました。荒涼とした風景の中で聞く話は、参加者に自然回復の重要さを実感させます。

作業を終えた参加者は植林地を後にする際、「この荒涼とした山の斜面に、植林した木が根付いていく風景をぜひ見てみたい。」「また訪れなくては。」などと口々に語り合っていました。

Hondaは今後も足尾町の森林保全活動を継続的に支援していきます。

森林保全ボランティア参加者の皆さん
森林保全ボランティア参加者の皆さん
荒廃した山々が続く植林地「足尾」の風景
荒廃した山々が続く植林地「足尾」の風景
荒廃した山々が続く植林地「足尾」の風景
今回植林を行った山
今回植林を行った山
山の斜面を登って植林地に向かいます
山の斜面を登って植林地に向かいます
山の斜面を登って植林地に向かいます
急斜面でバランスを取りながらの植林作業
急斜面でバランスを取りながらの植林作業
急斜面でバランスを取りながらの植林作業

森林保全活動ボランティア参加者の声

実際に体験することで、
より深い理解につながりました

吉岡さんご夫婦

植林活動もボランティアも初体験だというお二人は、今回参加したことで色々と考えさせられたそうです。

「足尾の公害についてはもちろん知っていましたが、いざ現地に来て荒廃した光景を目の当たりにして、思いを新たにしました。植林作業中に山の頂上から周囲を見渡す機会があり、360°続く荒涼とした風景を自分の目で見て、その深刻さを実感。有毒ガスや酸性雨によって自然が侵食されたと聞いてましたが、地形の様子からその様子も想像がつき、より理解することができました。」と語る吉岡さん。

奥さまも、隣でうなずきながら、「今回は主人に誘われて参加を決めたのですが、今日の体験で環境問題に対してより興味がわきました。最初は“植林地はあそこです”と指さされた斜面のきつさに驚いてしまって(笑)。でも、いざ山に登ってみると開き直って大変さを楽しみながら作業することができました。この体験をきっかけに、これからはさまざまな活動に参加してみようと思います。」

吉岡さんご夫婦

地道な活動と、その継続が、
自然回復につながるという実感が持てました

渡辺 公正さん

参加のきっかけは、植林地が足尾と知って「足尾銅山跡が今どうなっているのか、一度この目で見てみたい。」そう思われたからだそうです。

「今回のボランティアに申し込んだ後、せっかくの機会だからと改めて足尾の公害問題について調べ、勉強してきました。でも、実際に訪れて、荒廃した様子を目の当たりにすると驚きますね。ここが以前のような森林に戻るのは容易なことじゃない。いったい何十年かかるのだろう、などと考えてしまいました。でも、植林を終えてみると、希望がわいてきました。地道な活動を積み重ねていくしかないけれど、それを継続していけば、きっと緑は戻ってくるだろう、そう思うことができたんです。」

渡辺 公正さん