寄居 協働の森11年の歩み|Honda

Hondaが1999年から行っている「水源の森」保全活動。2007年から始まった「寄居 協働の森」が11年の活動を終えました。植えた苗木が育ち、森となって町の人々と共に歩み始めます。今回は11年を振り返るセレモニーと除幕式の模様をお伝えします。

  • 開催日 2018年6月16日(土)
  • 埼玉県 寄居町
  • これまでに植えた苗木の種類
  • ヤマザクラ、コブシ、カツラ、
    イロハモミジ、ツツジ、コナラなど
セレモニー参加人数75人 11年間の合計参加人数868人 セレモニー参加団体 Honda、寄居町農林課、桜沢小学校みどりの少年団、埼玉県中央部森林組合、埼玉県寄居林業事務所、公益財団法人OISCA

「水の町」寄居町

  • 埼玉県大里郡寄居町(よりいまち)は埼玉県北西部の荒川沿いに発達し、今でも八高線、秩父鉄道、東武東上線が乗り入れる交通の要衝です。環境省が制定する「日本の名水百選」や林野庁制定の「水源の森百選」に選ばれた豊かな水の町。森づくりが行われた桜沢地区の湧水は荒川に注ぎ込んでおり、のちに埼玉や東京の水道水となる重要な水源の森です。
    Hondaが寄居町を選んだのは、選定当時、寄居工場を計画していたため。工場のある町の水源の森を保全し、水を守ると同時に地元との共生を目指しました。
  • 埼玉県寄居町map

寄居「協働の森」保全活動11年の歴史

  • Hondaの事業を支える、”水”。それはHondaのみならず、地域の人々の生活を支える貴重な資源でもあります。その大事な水を作り出す、「水源の森」を守り、清らかな水を地域、そして次世代へ繋ぐ。それが、Hondaの続ける「水源の森」保全活動です。寄居は、水が豊富でHondaの寄居工場も稼働する重要な場所ということもあり、いち早く活動が始まりました。

    作業の拠点となった鐘撞堂山地区は、木々が伐採されたまま放置されていた斜面でした。そこで11年もの月日をかけ、地域の方々と一緒に広葉樹を中心に植林をし、下草を刈り、遊歩道の整備。その後、徐々に木が根付き、森として力強く育ち、里山としての形ができたことで活動は一区切りですが、里山は地域の人が使ってこそ維持されるもの。Hondaの森づくりとしての活動は終了しても、参加者それぞれが地域の人と交流を深めつつ、山を見守っていく予定です。
  • 再生前(2006年)

  • 再生後(2017年)

保全活動11年の歴史

  • 伐採が放置されたままの当時

    寄居町が保有する町有林の中に、土がむき出しになっているような、原因不明の荒地や裸地がありました。荒れた地は保水能力の低下や土砂崩れなどの危険もあるため、人の手を加えた森づくりが必要です。寄居「協働の森」保全活動に選ばれたのはそんな用土地域と桜沢地域でした。

  • 植林作業を開始

    第1回はHondaから参加した40名に、埼玉県や寄居町、寄居林業事務所、地域の環境問題などに取り組む国際NGOであるOISCAのメンバーを加えて、0.3ヘクタールの土地に植林をはじめました。コブシやカツラといった広葉樹に加え、春に咲くヤマザクラ、秋に紅葉するイロハモミジやオオモミジなど、町からの景観を考えた樹種が選ばれました。

  • 下草刈り作業

    植林後は、苗木が周囲の雑草や低木に負けずに育つよう、雑草を刈る“下草刈り”をしなければなりません。一度だけでなく、夏期に1〜2回ほど、苗木が十分に大きくなるまで、慣れない大鎌を使いながら毎年行いました。

  • 防獣ネットの設置

    自然を相手にするので、予定通りに進まないこともしばしば。特に木がなかなか育たず専門家でも首を傾げることがありました。調査してみるとシカやイノシシが原因…。まさか埼玉県の里山に獣がいるとは、県の担当職員の方も想定外だったようです。
    そこでイノシシ対策の低いネット、シカ対策の高いネットを設置。被害の範囲も広く、体力を使う過酷な作業でしたが、Honda従業員を中心にボランティアの手で行いました。

  • 蔓切りの作業

    木々が成長すると、次に現れるのが木に巻き付く蔓。締め付ける力で幹が変形したり、蔓の葉が光を遮ってしまうため、数年に一度、蔓切り作業が必要です。蔓切り専用のハサミを使って丁寧に行いました。

  • 遊歩道の設置

    里山の森”のためには、地域の人に使ってもらうことも重要なポイント。寄居の森は鐘撞堂山のハイキングコースのすぐ下に位置することから、麓から森を経由してハイキングコースにつながる遊歩道の整備も行いました。

  • 11年の歳月をかけて山里が完成

    徐々に木が根付き、森として力強く育ち、里山としての形ができたことで活動は一区切りですが、里山は地域の人が使ってこそ維持されるもの。
    Hondaの森づくりとしての活動は終了しても、参加者それぞれが地域の人と交流を深めつつ、山を見守っていく予定です。

再生後の寄居「協働の森」

24種類以上の広葉樹が林立する豊かな森に

  • 伐採されたまま放置され、不毛の地だった斜面は11年の歳月を掛け、今ではヤマザクラやミツバツツジなど24種類の広葉樹が林立し、多種多様な動物達が集う、豊かな森へと成長しました。

多くの地域住民が利用する遊歩道

  • 間伐材を使った遊歩道寄居協働の森は鐘撞堂山のハイキングコースのすぐ下に位置します。本活動では森づくりの一環として、麓から森を経由してハイキングコースにつながる遊歩道の整備も行いました。”里山の森”のためには、地域の人に使ってもらうことも重要なポイント。専門家にアドバイスをもらいながら。道が崩れないように補強をしたり、間伐材などを使って仕上げをするなど、斜面に適した階段を作っていきました。現在はすっかり町に定着し、多くの人が利用する遊歩道となりました。
  • 遊歩道からの眺め遊歩道を辿って振り返ると、眼下には山の間に寄居の町が。手前にある木々は、活動中に植林した生長途中の木々。いずれ、周りの木のように大きく育ち、今とはまた違った風景がみられるでしょう。

寄居 協働の森 トリビア

  • ソメイヨシノのルーツ!?
    寄居町のエドヒガン

    多様性のある里山の森を目指して活動を続けた寄居の森では、2014年にエドヒガンという品種を植えました。実はこの桜、ソメイヨシノのルーツとしても有名な品種。日本に自生する桜のひとつで、寄居町の鉢形城址にある推定樹齢150年を超えるエドヒガンは、平成15年に寄居町の天然記念物に指定されました。

寄居「協働の森」完了セレモニー

11年間の活動の歩み、スライドショーで振り返りました

  • 各回の活動の写真を見ながら、寄居の森ができていく様子をスライドで回想し、多くの参加者が感動。埼玉県の林業事務所の長島さんは、「いろんな企業や団体さんに手伝っていただいてますが、ここまでしっかりやってくださったところはHondaさん以外、ありません。ナンバー1と言って良いのではないでしょうか」とコメント。目標に向かってひたむきに取り組む姿勢が、地域の方々にも評価されています。

案内板除幕式&記念品の贈呈と感謝状の授与

  • 森づくりに参加したHonda、寄居町、埼玉県、公益財団法人オイスカから1名ずつの計4名で、森の完成を記念した案内板の除幕式!案内板は森の中に建てられます。また、Hondaの汎用製品の中から、森の保全に役立つ製品として、草刈に使う刈払機6台と薬剤や肥料を撒く噴霧器1台の目録が渡されました。寄居町からは11年間の取り組みに、Hondaへ思いがつまった感謝状が!

それぞれが持つ、森に対しての想い

  • セレモニー完了後は、ランチがてら歓談タイム。参加者の方からコメントをいただきました。桜沢小学校の「緑の少年団」さん引率の吉田先生は「子どもたちにとって非常に有意義な活動だった」とおっしゃってくれました。「小さかった苗木が大きくなって、みなさんを覆い尽くすほどになったのがうれしくて、映像を見ながら泣きそうになりました」という方も。寄居工場の親睦団体若狭会では、「寄居工場で働くにあたって、地域のみなさんと交流を持ちたいと思い始めました。森づくりはひと段落ですが、森の存続のため、継続的な見守りが大事です」とのこと。

参加者の声

  1. 行政、町民、Honda従業員、
    団結力が作った里山の森!
    埼玉県大里郡寄居町 町長 花輪さん

    11年間、多くの人が携わってくれて心から感謝しています。行政だけでは難しいことを、地域の人や企業が一緒になって展開していただけたのは非常にありがたいことで、それが大事だなと感じます。いまや寄居町の森林のあり方の見本になっているといって過言ではないはず。今回で一応区切りですが、このあとは森づくり活動を元に、寄居町の方で皆さまに親しまれる森に発展させてまいりたいと考えています。

  2. 埼玉県大里郡寄居町 町長 花輪さん
  1. 地域と共に成し遂げた、
    森づくり計画のお手本
    公共財団法人OISCA 田中さん

    我々が日本の森を手がけたのはHondaさんが初めてでした。森づくりの専門家とHondaさんをおつなぎして、一番感激したのは地域との交流。森林保全は物理的にできますが、地域の人の評価が不可欠です。今回の森は地元の人たちが活用する里山を作ったという意味で非常に良い例になったと思います。Hondaさんは、きちんと計画を立てて事業として活動してくださいました。企業に求められるものが進化していく中、時代に合った活動を続けておられる。企業の本来の姿だと思います。

  2. 公共財団法人OISCA 田中さん
  1. 11年間見てきた寄居の森!
    変わっていく姿にしみじみ
    Honda OB 竹内さん

    初回参加時は、環境問題やCSRが盛り上がっていた時期で、初回から参加しました。途中で定年になり、今はOBとして参加しています。汗を流す気持ちよさの他、やはり自分で植えた木が育っているのを見ると感慨深いですね。成長する木も枯れてしまった木も含めて、自然ってすごいなと。11年携わってみて、参加する人は変わっても、全体の計画はきちんと継続していくことが必要だなと感じました。

  2. Honda OB竹内さん

主催者の声

  1. 多くの人の団結で、
    荒地だった森がここまで復活!
    本田技研工業 埼玉製作所
    生産業務部 総務課 社活センター 千葉さん

    何もないところから始めた森も、今では木々が非常に成長しています。森づくりなどの事業は、意義を説明しないとただの労働になってしまう。「太陽の光をきちんと当てないといけないので、下草刈りは一番大切なこと」などと説明しながらすすめたので、あとの整備がしっかり行えたと思います。Hondaらしいのは団結力ですね。みんなと力を合わせ、やると決めたら最後までとことんやる、というところが今回の森をコミットできたのかと。地域の人たちとのコミュニケーションがとれ、いい関係を築けました。遊歩道も町の人も使ってくれているようで、うれしいですね。

  2. 本田技研工業 埼玉製作所 生産業務部 総務課 社活センター 千葉さん
  1. 一丸となって進めた森づくりで得た、
    地域の絆と理想の森!
    これからも共に守り続けたい
    本田技研工業 埼玉製作所
    生産業務部 部長 谷内さん

    11年続けてこられたと思うと感慨深いものがありますね。寄居工場の親睦会が活動の一環として自主的に森づくりに参加してくれたこと、森を作るだけではなく町や地元の方々との結びつきを深められたこと、そういうのも含めて良い活動ができたと考えています。寄居での森づくりはこれで一区切りですが、地域のみなさんと田植えを行うなど、さまざまな活動を通じて町とのつながり、一緒に自然を守っていくというスタンスは継続していきます。

  2. 本田技研工業 埼玉製作所 生産業務部 部長 谷内さん

地域との共生と次世代への継続生活に必要不可欠な“水”を守り、未来へとつなぐ「水源の森保全活動」。今回、寄居の森づくりの計画が無事完了できたのは、従業員・OBと地域の人々が信頼し合い協力できたことや、次世代を担う子ども達と一緒に活動できたことの積み重ねによるもの。「地域へ貢献したい」「豊かな森を次世代につなげたい」という思いで、11年間、活動を続けることができました。今回のセレモニーをもって一区切りとなりますが、寄居「協働の森」は変わらずに地域と共に成長を続けます。これからも、Hondaはこの森を見守り続けると共に、日本各地で、 豊かな森を次世代に残せるよう、「水源の森保全活動」を続けてまいります。

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