オオスズメバチ

学 名
Vespa mandarinia
japonica
分 類
ハチ目スズメバチ科
スズメバチ属
危険!(有毒)
似たような種類
本種のほかに、キイロスズメバチ、ヒメスズメバチ、コガタスズメバチ、モンスズメバチ、チャイロスズメバチ、ツマグロスズメバチの6種が分布する。都市部で見かけるのはキイロスズメバチである。
見つかる場所は?
市街地よりも里山や山間部にいて、木の根元などの土中、樹洞などの閉鎖空間に巣を作ることが多い。成虫は樹液にもやってくる。
分布
北海道~九州。
大きさ
女王バチが40~50mm、働きバチが27~38mm、オスバチが27~40mm。
注意する時期
里山では夏から秋にかけて、スズメバチの被害が多発する。特に秋口は大量のオスバチと新女王バチを養育しなければならない一方で、エサになる昆虫類が少なくなるため、攻撃性が非常に高い。
里山に出かける際の注意は?
スズメバチ類に遭遇しないためには、いくつかの手段がある。まず、巣には近づかないこと。またスズメバチ類の警報フェロモンとなる、香りの強い化粧品や整髪料などは控える。黒っぽい服装は避け、白い服や帽子で髪の毛を隠す(黒いものを攻撃するのは、天敵であるクマへの防御行動である)。スズメバチを見かけた際は、刺激しないことである。うっかり巣に近づいた際には、働きバチが人の動きや振動などをキャッチし、2、3匹が近づいてくる。そして大アゴをカチカチといわせながら、まとわりつくように飛び始める。この段階では刺すことはないので、近くに巣があるサインだと認識し、静かに後ずさりして来た道を戻ればよい。
生活史
5月ごろ、土中や朽ち木の中で越冬を終えた女王バチが、単独で巣造りを始める。まず小さな巣を造って卵を産み、約1ヵ月の間、女王バチ1匹で巣の拡張、エサ集め、育児をする。そのうちに働きバチが成虫になり、女王バチは巣の中に留まって産卵と巣の中の社会的秩序を保つ仕事に専念する。そして秋口になると新女王が出現する。旧女王バチは新女王バチが巣立つ前に死に、元の巣は解散する。
エサ
エサは昆虫やクモ、樹液、花蜜など。成虫は胸と腹部の間が細くなっており、固形物を摂取することができない。その代わり、昆虫類を肉団子にして幼虫に与える。幼虫にとって肉団子のタンパク質は自分自身の成長に必要であるが、部分的に唾液に作り変えて成虫に返す。この唾液が成虫のスタミナ源となる。
特徴
オオスズメバチは世界最大のスズメバチであり、毒の量も多いが、人にとって悪い面ばかりではない。作物害虫を捕食する役割があるため、スズメバチを駆除した時に、生態系にどのような影響が出るか分からない。スズメバチが人を刺すのは、あくまでも巣を守るためであり、むやみやたらに人を襲うわけではない。

監修者

大庭 伸也(おおば しんや)

大庭 伸也(おおば しんや)

2007年岡山大学大学院自然科学研究科博士課程修了、博士(学術)現在の所属は、長崎大学教育学部准教授。水辺環境に棲む水生昆虫類を対象に、生態学的な視点から食性、繁殖行動、生物種間の相互作用について研究しています。平成22年度日本環境動物昆虫学会奨励賞受賞

監修:大庭伸也
写真提供:稲谷吉則、岡田賢祐、加賀田秀樹、川野敬介、後藤直人、
世古智一、中西康介、橋本洸哉、政所名積、渡部 宏(50音順)