カブトムシ

学 名
Trypoxylus (Allomyrina)
dichotomus
分 類
コウチュウ目コガネムシ科
カブトムシ属
似たような種類
本種の亜種としてオキナワカブト、クメジマカブトなどが分布する。本土のカブトムシをヤマトカブトムシと呼ぶこともある。
見つかる場所は?
成虫は里山のクヌギやコナラ、クリ、イチョウなどの樹液を吸っている。幼虫は堆肥や腐葉土、発酵が進んだ牛フンの中で見つかる。
分布
日本全土、ただし北海道にはもともと分布していなかったが、飼育個体の逃亡や人為移入により定着するようになった。また沖縄には固有亜種のオキナワカブトが生息する。
大きさ
オスの体長は30~54mm(角を除く)、メスは30~52mm。
見られる時期
成虫は6~8月。
生活史
夏に羽化した成虫は樹液上で交尾を行ない、メスは腐葉土などに20~30卵産む。幼虫は3度の脱皮を経ながら、腐葉土中で越冬する。6月ごろになると土中に蛹室(ようしつ)を作り蛹(サナギ)になる。およそ3週間後に成虫になる。
エサ
成虫は樹液をなめているが、果物も好む。近年では飼育用のエサとして昆虫ゼリーを与えるほうが栄養価も高く、長生きするといわれている。幼虫は腐食土や柔らかい朽ち木を食べて成長する。飼育には市販の昆虫用のマットが向いている。幼虫期のエサの量で成虫のサイズが決まるので、飼育の際には充分なエサを準備するとよい。
特徴
オスは角を使って闘うことで有名である。角先を相手の体の下に入れて投げ飛ばすため、体が大きく、より角が長いオスが強い。しかし、小型のオスに比べ、大型のオスは鳥に捕食されやすいなどのリスクも背負っている。
その他
ペットとしての需要が高いため、本来カブトムシが生息していない地域に本種が侵入することで、クワガタムシ類などの樹液をエサとする在来昆虫と競争する可能性がある。果樹園などで被害をもたらすこともある。また沖縄県では、ペットとして販売されている本土産のカブトムシと沖縄固有亜種のオキナワカブトムシが交雑することによる遺伝子汚染が危惧されている。飼育しきれなくなったからといって、採集地以外に逃がすのは避けるべきだろう。
  • 幼虫は腐葉土の中などで見つかる。
    日本でも最大級の甲虫だけに、サイズもこのとおり!

監修者

大庭 伸也(おおば しんや)

大庭 伸也(おおば しんや)

2007年岡山大学大学院自然科学研究科博士課程修了、博士(学術)現在の所属は、長崎大学教育学部准教授。水辺環境に棲む水生昆虫類を対象に、生態学的な視点から食性、繁殖行動、生物種間の相互作用について研究しています。平成22年度日本環境動物昆虫学会奨励賞受賞

監修:大庭伸也
写真提供:稲谷吉則、岡田賢祐、加賀田秀樹、川野敬介、後藤直人、
世古智一、中西康介、橋本洸哉、政所名積、渡部 宏(50音順)