Hondaの米国現地法人であるアメリカン・ホンダモーター(本社:カリフォルニア州トーランス 社長:山田 琢二)は、2016年3月17日に以下を発表しましたので、その内容をご案内いたします。
Acuraは、新型「NSX」北米仕様車の量産を4月下旬より開始し、順次お客様にお届けすることを発表しました。
新型NSXのグローバル生産拠点としてオハイオ州メアリズビルに設立された「パフォーマンス・マニュファクチュアリング・センター(以下、PMC)」は、熟練した技術者が持つ職人の技と、革新的な先進生産技術との調和を実現しています。
PMCは、新型NSXのようなスーパースポーツモデルの少量生産に最適な生産設備を備えており、およそ100名の従業員が、各工程で先進のロボット技術と協調しながら、最高レベルの品質と高いクラフトマンシップを実現しています。また高度な生産技術を多数有しており、現在12件の特許を米国で申請しています。
また、新型NSXの3.5L V6ツインターボエンジンは、同オハイオ州にあるHondaのアンナエンジン工場にて、エキスパートの手により組まれます。
Hondaは「需要のあるところで生産する」という考えに基づき、1979年9月から米国で二輪車の現地生産を開始し、1982年11月には日本の自動車メーカーとして初めて米国で乗用車の生産を始めました。以来、北米での現地生産を拡大し、2015年末までの北米における四輪車の累計生産台数は3,000万台を超えています。
PMCは、Hondaにとってオハイオ州で3番目の四輪車生産工場であるとともに、新型NSXの開発を行ったホンダR&Dアメリカズのオハイオセンターからほど近い、メアリズビル四輪車工場に隣接する場所に立地しています。
新型NSXのスペースフレームは先進の結合技術を活用して生産されます。
高い技術を持った溶接のエキスパートが、部品一つひとつを溶接の各ステージで目視検査するとともに、寸法計測を行い、スペースフレームの品質や精密性を検証します。この作業は、パワートレイン、サスペンション、ボディーパネルといった構成部品の正確な組み付けと、高い動的性能を確保する上でとても重要です。
手作業による高いクラフトマンシップが、高性能ロボットによる作業と調和しています。
PMCの品質に対する取り組みは、アソシエイト一人ひとりの意識のみならず、工場の設計にも明確に表れています。工場の中央には品質検証センターが配置されており、工場内のあらゆる場所からガラス張りの壁を通して検証中の車両を見ることができます。
新型NSXのエンジンはドライサンプ方式の3.5L V6ツインターボエンジンで、アンナエンジン工場のエキスパートの手により、1基あたり6時間以上かけて組み立てられます。
新型NSXのスペースフレームでは、6ヵ所の接合部にアブレーション鋳造技術が自動車業界で初めて適用されています。これはサスペンションやパワートレインの組付剛性や衝突構造における重要な要素になっており、アブレーション鋳造による接合部品は、新型NSXのエンジン組み立てを行っているアンナエンジン工場で生産されます。
プライマーと塗料が11層にも塗り重ねられた上に、さらに仕上げ処理が加わり、突出した美しい表面仕上がりを実現しています。
スペースフレームは、錆止めプライマーの塗布前に、ジルコニウムを使用したエッチング処理を行います。ジルコニウムの使用は、世界トップクラスの品質を確保するだけでなく、塗装工程で排出される廃棄物の削減にも貢献します。
スペースフレームが360度回転式の冶具に投入されて、上昇・回転することによりシーラー塗布がより精密になるとともに、技術者の作業環境が向上します。さらに、この治具はフレームを一方向からのみで保持することができ、フレームの投入や取り出しを効率的に行うことができます。これは現在特許を申請中の技術となります。
Hondaの幅広いレースエンジニアリングのノウハウを用いて、新型NSXは出荷前に動的性能の厳密な確認プロセスが実施されます。ホイールのアライメント調整作業は45分間をかけて行われ、他にもタイヤ荷重の計測および最低地上高の確認や、4輪すべてのブレーキパフォーマンスの精密な測定など、さまざまな観点から徹底的に動的性能の確認が行われます。現在申請中の米国特許12件の半数がこのプロセスに関連します。