ニュースリリース

2011年11月30日ニュースリリース

第42回 東京モーターショー2011 代表取締役社長 伊東孝紳 挨拶内容

 Hondaは今年、MotoGPにおいてコンストラクターズ、ライダーズ、チームズ・チャンピオンシップの三冠を獲得しました。世界中のファンの皆様から応援をいただき、この場を借りて御礼申し上げます。
 モータースポーツはHondaの原点であり、DNAであります。私自身も、今回のMotoGPを観戦した際、優勝したGPマシンの圧倒的な加速感を体感したいと思い、試乗し、その走行性能にワクワクドキドキしました。

 Hondaは、創業以来、「自由な移動の喜び」を実現するためにパーソナルモビリティーの開発に取り組んでまいりました。「移動の喜び」とは、自ら操る楽しさはもちろんのこと、移動することでさまざまな夢や感動を発見し、ワクワクドキドキを感じてもらうことであると思っております。
 一方で、「豊かで持続可能な社会」の実現のためには、CO2排出量の低減が最重要課題の一つであると考えています。環境性能に優れ、ワクワクドキドキできる商品を提供するために私は、就任時より「画鋲のような尖がった商品」を開発できる体制作りを進めてきました。尖った商品とは、しっかりした環境・安全性能をベースに、エッジが効いた商品を表します。

 本日は、その象徴となる、電動化技術を使って実現したモデルをいくつかご紹介します。まずは、スーパースポーツバイクを電気自動車(以下、EV)化した、「RC-E」です。「RC-E」は往年のレーシングマシン「RC」のイメージをモチーフとし、走りの歓びを追求しました。
 続きまして、本日が世界で初公開となるスモールスポーツEVコンセプト「EV-STER」です。EV-STERは、Hondaが提案するまったく新しい次世代EVスポーツで、走る歓びを最大限に具現化しました。この東京モーターショーを皮切りに、現在市販に向けて開発中のハイパフォーマンス・スポーツモデルなども順次ご紹介させていただきますので、是非ともご期待ください。

 EVに関しては、現在、「フィット EV」による実証実験を日米中の3ヵ国で展開していますが、いよいよ2012年夏から日米で販売を開始します。フィット EVは世界トップクラスの効率的な電力消費率を達成し、EVでありながらHondaならではのスポーティーな加速を体感していただけます。

 続きまして、Honda独創の二輪および四輪の電動モビリティーコンセプトをご紹介します。
 四輪EVコミューター「MICRO COMMUTER CONCEPT」と二輪EVコミューター「MOTOR COMPO」は、都市中心部での移動を想定し、二輪、四輪の各研究所がコラボレーションして生まれた新しい発想のモデルです。さらに、中・長距離移動のプラグインハイブリッド「AC-X」、燃料電池電気自動車「FCXクラリティ」まで、多様な電動モビリティーの可能性を提案していきたいと思います。

 さて、Hondaは電動モビリティーの開発だけでなく、独自に開発した太陽光発電システムやコージェネレーションシステムを使いながら、自らクリーンなエネルギーを創ることにも力を入れています。

 現在、Hondaの国内事業所における太陽光発電の導入量は業界トップですが、さらに来年、寄居工場に自動車工場としては最大となるメガソーラー発電を設置します。また、販売店への太陽光発電設置も加速してまいります。
 これらの活動をベースに、自前再生可能エネルギー技術により、電気を作る時から車が走行する時までWell-to-WheelでCO2排出量「ゼロ」、エネルギーマネージメント技術によるエネルギーリスク「ゼロ」、リデュース・リユース・リサイクルの3Rで廃棄物「ゼロ」。この「トリプルゼロ」の考えをもとに、気候変動、エネルギー、資源問題に自らの技術と事業活動で取り組むことで、環境負荷ゼロ社会を可能とする未来をHondaは思い描いています。

 こうした将来に向けて、現在取り組むべき最重要課題は、ガソリンやディーゼルなど内燃機関の効率向上です。
 Hondaは「FUN」と「環境」を高い次元で両立した、次世代新骨格エンジンとトランスミッションシリーズを新たに「EARTH DREAMS TECHNOLOGY」として展開してまいります。
 このEARTH DREAMS TECHNOLOGYは、本日発表の新型軽自動車「N BOX」より順次適用を拡大し、ガソリンのみならず、ディーゼルや新型CVTシリーズとの組み合わせによって、3年以内に各カテゴリーで燃費No.1を目指します。
 以上のような取り組みを加速させることで、今後Hondaは、全世界で販売する二輪、四輪、汎用製品のCO2排出量を、2020年に2000年比で30%低減するという目標を掲げ、取り組んでまいります。

 国内の軽自動車事業についてお話したいと思います。
 Hondaの四輪事業は、軽自動車からスタートしました。私たちは、その原点である軽自動車を根本から見つめ直し、商品ラインアップの大幅な刷新を図ってまいります。小さなサイズにHondaの大きな想いを込めた「N BOX」と「N CONCEPT」シリーズにぜひご期待ください。

 最後に、世界初の自律行動制御技術を搭載したヒューマノイドロボット「新型ASIMO」をご紹介させていただきます。「新型ASIMO」は、身体能力はもとより、自律性もさらに高まり、人の操作を介在せず、連続して動き続けられるなど、いっそう進化しました。
 ASIMOは人と共存して役立つことを目指し、これまでよりも脚の運動能力が向上したことに加え、今回は新たに5本指が独立して動く機能を進化させました。
 このASIMOで培ったHondaのロボティクス技術を、二輪や四輪のモビリティーで活用するとともに、人の立ち入れない場所で作業ができる「作業アームロボット」や脚力が低下した人の歩行をサポートする「歩行アシスト」などへも応用し、もっと「人の役に立つ技術」を世の中に提案できるよう、引き続き実用化に向けて、研究開発を続けていきます。
 こうしたASIMOの研究や二輪、四輪、汎用モビリティーの開発も、「人の役に立つものを作りたい」「技術で人を幸せにしたい」というHondaの創業以来変わることのないものづくりの思想です。
 Hondaは、原点である人を中心としたものづくりで、皆様の心に響くような尖った商品を、これからもどんどん出していきますので、ご期待ください。