ニュースリリース

2009年05月21日ニュースリリース

Honda、5件の技術テーマで「第59回 自動車技術会賞」受賞

<ご参考>
 社団法人自動車技術会から「第59回 自動車技術会賞」が発表され、Hondaの技術者が「浅原賞学術奨励賞」「論文賞」「技術開発賞」を受賞しましたのでお知らせします。
 授賞式は、本日13時よりパシフィコ横浜で行われます。

 「浅原賞学術奨励賞」は、自動車技術に関する優秀な論文等を発表した将来性のある若手の個人会員に、「論文賞」は、自動車技術に関係ある優れた論文を発表した個人会員およびその共著者に、また「技術開発賞」は、自動車技術の発展に役立つ新製品または新技術を開発した個人会員およびその共同開発者に贈られる賞です。

「浅原賞学術奨励賞」受賞内容

テーマ

「焼結鍛造コネクティングロッドの疲労強度向上技術」

受賞者

高田 健太郎(たかだ けんたろう) 株式会社本田技術研究所 研究員

焼結鍛造コネクティングロッドの高強度化の研究。素材粉末への添加元素である炭素の量を減らし、銅を増やすことで、加工性を改善しながら、疲労強度を3割向上させた。これによりエンジン部品の軽量化による燃費性能の向上につながる。本技術は2008年モデルのUSアコード、USオデッセイのエンジンに採用、今後焼結鍛造コネクティングロッドを使用する北米生産機種にも採用を拡大する予定。

「論文賞」受賞内容

テーマ

「二輪車の被視認性を向上させるLONG灯火器システム」

受賞者

堤 陽次郎(つつみ ようじろう) 株式会社本田技術研究所 研究員
丸山 一幸(まるやま かずゆき) 同上 研究員
櫛田 和光(くしだ かずみつ) 同上 主任研究員

二輪車の被視認性(距離と速度の評価)の向上を目指した研究。二輪車の左右ハンドルグリップ付近と、左右フロントフォーク下端付近にランプを逆台形に配置した四つの灯火器をLONG灯火器システムとして提案。これにより対向車ドライバーに対する被視認性向上が図られ、二輪車の事故低減に貢献すると期待される。

「技術開発賞」受賞内容(3件)

テーマ

「転がり抵抗・制動距離性能向上のためのタイヤトレッドゴムの粘弾性特性の最適化」

受賞者

茂木 恵美子(もぎ えみこ) 株式会社本田技術研究所 研究員
溝根 哲也(みぞね てつや) 同上 主任研究員
西谷 広滋(にしたに こうじ) 同上 主任研究員
長谷 裕之(はせ ひろゆき) 同上 主任研究員
水谷 保(みずたに たもつ) 東洋ゴム工業株式会社 担当リーダー

燃費と制動性能の向上に焦点を当てたタイヤ特性の研究を通じ、通常走行時と制動時で、タイヤの路面接地部の使われ方が異なることを発見。通常走行時と制動時に寄与する部分それぞれに最適なタイヤ素材を採用。あわせてタイヤの断面形状を最適化し、路面接地部の面圧を均一化することで、制動性能を維持しながら、10・15モード燃費を1.5%向上。この技術を活用したタイヤは2007年発売のクロスロード(2.0Lモデル)に採用された。

テーマ

「自動車用小型燃料電池スタックの開発」

受賞者

齊藤 信広(さいとう のぶひろ) 株式会社本田技術研究所 上席研究員
菊池 英明(きくち ひであき) 同上 主任研究員
杉田 成利(すぎた なるとし) 同上 研究員
稲井 滋(いない しげる) 同上 研究員
浅野 洋一(あさの よういち) 同上 研究員

新設計「Wave流路セパレーター」を採用し、高効率なガスの流れを作り出すことで、容積出力密度を50%、重量出力密度を67%向上。大幅な小型・軽量化を達成し、斬新なセダンタイプの車両、FCXクラリティへの搭載を可能とした。また、同セパレーターによる排水性と昇温特性の改善により、低温始動性を向上し、-30℃からの始動も可能となった。

テーマ

「生産エネルギーを低減した高生産性・高強度鍛造ピストン材料の開発」

受賞者

藤井 秀紀(ふじい ひでのり) 株式会社本田技術研究所 
岡 知生(おか ともお) 同上 主任研究員
高木 英俊(たかぎ ひでとし) 富山合金株式会社 課長代理
渡辺 享(わたなべ とおる) 同上 

鍛造用アルミ合金中の鉄系金属間化合物の大きさを制御し、材料の高温強度の向上と薄肉成型化を両立。これによりピストンが軽量化され、エンジンフリクションを低減。また、鉄が含まれるリサイクル材の使用も可能となり、材料生産段階のCO2排出量を大幅抑制※1。走行時と生産時のCO2排出量の削減が期待される。1回の鍛造工程で成型が可能で生産性が向上※2。2008年モデルのCBR1000RRに採用、今後も二輪スポーツモデルに採用予定。

  • ※1ボーキサイトからアルミニウムに精錬した場合に比べ、30分の1のCO2排出量。
  • ※2重力金型鋳造に対し10分の1の成型時間。また、通常の熱間鍛造は2〜3回の鍛造工程が必要。

以上