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2006年5月24日
ATRとHonda、脳でロボットを操作する基礎技術の開発に成功

 (株)国際電気通信基礎技術研究所(以下ATR)と、(株)ホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパン(以下HRI)は、共同で新たな「ブレイン・マシン・インターフェイス(以下BMI)」を開発し、脳活動でロボットを操作する基礎技術を発表した。この新技術により両者は、これまでのBMI技術と違い、脳への電極の埋め込みや特殊な訓練なしに、自然な脳活動を解読して、リアルタイムに近い速度で、ロボットを動かすことに世界で初めて成功した。これにより人と機械をつなぐ新しいインターフェースの可能性がひらかれた。

 新開発のBMIは、ATR脳情報研究所の神谷之康(かみたに ゆきやす)研究員が2005年5月に科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス」に発表し、2005年のScientific American 50を受賞するなど、世界的に高い評価を受けている論文「ヒトの脳における視覚的・主観的内容のデコーディング〔復号化〕」の方法に基づいて、HRIとATRが共同で、ほぼリアルタイムに脳活動を解読し、ロボットを制御するシステムに発展させたものである。

 今回はじゃんけん動作をロボットハンドに再現させる実験を行った。脳活動に伴う血流変化を計測するMRI装置を用いたため、人の動作から約7秒の時間差が生じるが、85%の正答率を達成することができた。外部から脳を計測するには他に脳磁場・脳波などが考えられ、これらの計測法を利用することで今後時間差の大幅な短縮や、BMIシステムの小型化が期待できる。
*原題「Decoding the visual and subjective contents of the human brain」

○実験概要
被験者にじゃんけんの動作をさせ、MRI装置で脳活動に伴う血流の変化を一秒ごとに計測、その画像データから脳活動の運動指令に関与する部分だけを抽出してコンピュータで解析し、じゃんけんのどの動作をしているのかを解読する。その結果をロボットハンドに送り、被験者と同じ動作をさせる。

脳活動をMRI装置で撮像 画像データをコンピュータ解析 ロボットハンドで再現
脳活動をMRI装置で撮像
(写真はじゃんけんのチョキの動作)
画像データをコンピュータ解析
 脳の活動部位抽出(左)
 抽出された脳活動パターン(右上)
 動作の判定処理(右下)
ロボットハンドで再現

新開発BMIによるじゃんけん動作実験の流れ


「BMI」とは
 従来のインターフェースが、ボタンやスイッチなどを手足で操作するのに対して、BMIでは種々のデバイスで計測した脳活動に基づいて、機械がコントロールされ、手足などによる操作は不要である。具体的には脳内に埋め込んだ電極や、脳波、脳血流の計測デバイスが用いられる。

ATRとHondaが開発したBMI技術の特徴
 本BMI技術は、ヒトへの負担の軽減を重視し、(1)手術が不要であること、(2)特殊な訓練が不要であることを基本コンセプトとし、誰でも簡単に利用できるBMIの実現を目指し開発をすすめている。

(1)手術が不要であること
 これまでのBMI研究においては、米国を中心に、電極などを脳に埋め込む方式の研究が先行して盛んにすすめられている。一方で、頭の外部から脳活動を計測するBMIで高度な制御が実現されれば、手術に伴うユーザーの負担は不要になる。今回の成果は、その実現の可能性を示すものである。

(2)特殊な訓練が不要であること
 従来のBMIでは、判別しやすい脳活動をおこさせるためにユーザーの長時間にわたる特殊な訓練が必要であった。例えば「イエスという意思を表す」場合、「イエスという意思」に伴う脳活動が従来の技術では判別しにくかったため、より判別しやすい別の課題を行わせたときの脳活動を「イエス」に対応させていた。
 本BMI技術では従来と異なり、別の脳活動に置き換えることなく、人間が動作に取りかかる際の自然な脳活動を判別することが可能になった。例えば今回の実験では、じゃんけん動作を行っているときの脳活動そのものから、グー・チョキ・パーの動作を判別することを実現しており、これは従来技術ではできなかった。このブレイクスルーにより、ユーザーの特殊な訓練が不要となった。


リアルタイム化にあたって、ロボットハンドによる動作の再現に関して科学技術振興機構 国際共同研究 計算脳プロジェクト(JST-ICORP:日本側代表川人光男、米国側代表Christopher Atkeson)の装置を使用、MRI装置関連ではATR脳活動イメージングセンタ(BAIC)のご協力をいただいた。

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