Hondaは、国土交通省が推進しているASV-3プロジェクト(2001年4月~2006年3月*の5ヵ年プロジェクト)のテーマである車両相互情報通信による位置情報提供に加え、カメラやレーダーを用いた接近車両や障害物などの情報提供や、ブレーキやステアリング制御による運転支援技術、さらには事故後の救急システムなど、Honda独自の最新安全技術を搭載した先進安全研究車「Honda ASV-3」を完成した。今後、各要素技術の実用化に向けてさらなる研究開発を進めていく。
*9月2日訂正
「Honda ASV-3」は、2000年に発表した「Honda ASV-2」をさらに進化させ、カメラを使用した画像解析技術や障害物を発見するレーダー技術に加え、カメラやレーダーではとらえにくい状況を二輪車と四輪車、四輪車と四輪車、また車両と歩行者の相互通信により把握し、運転者に情報提供する。情報提供にあたっては、音声や視覚情報に加え、四輪車ではブレーキ、アクセルペダルの振動やステアリングへトルクを加える体感警報など、運転者に早く、わかりやすく伝える手段を採用している。四輪車では、こういった運転者の認知支援に加え、運転者の回避操作が間に合わない場合に必要に応じてブレーキやステアリングを制御し、事故の未然防止や回避に寄与する技術を採用した。さらに万が一の事故の際に、事故車両の情報を双方向の画像・音声通信によってやり取りし、早期の対処を可能とするシステムも新たに開発した。また、形状や大きさから四輪車に比べて認知されにくい二輪車に関しては、被視認性を向上する新しいデザインコンセプトを脳機能解析を用いて開発した。
Hondaは、安全を車づくりの最重要課題の一つとして位置づけ、運転者の教育・啓発から、衝突の未然防止をめざす予防安全(アクティブセーフティー)、衝突時の傷害軽減をめざす衝突安全(パッシブセーフティー)、衝突を予測しその被害を軽減するプリクラッシュセーフティーなど、それぞれの分野で積極的に独自の取り組みを進めている。国土交通省の推進するASVプロジェクトには第一期(1991年4月~1996年3月*)より参加し、高速道路運転支援システム、追突軽減ブレーキ、インテリジェント・ナイトビジョンシステムなど複数の先進安全システムを実用化してきた。今回の「Honda ASV-3」は、予防安全とプリクラッシュセーフティーをさらに進化させ、リアルワールドにおける二輪車、四輪車、歩行者すべての安全、「Safety for Everyone」をめざすものである。
なお、国土交通省が行うASV-3の検証実験(2005年7月4日~10月28日)に参加し、北海道で行われる予定の公開実験(2005年10月12日~13日)にも参加を予定している。
Honda ASV-3の主な技術