ニュースリリース

2002年04月18日ニュースリリース

名古屋大学と共同でイネの背丈を低くする遺伝子の解明に成功

 Hondaの研究開発子会社である(株)本田技術研究所は、名古屋大学と共同でイネの背丈を低くする遺伝子(半矮性化遺伝子)の作用メカニズム解明に成功した。
この遺伝子は「sd1」と呼ばれ、背丈を低くし、穂の実ったイネを倒れにくくする機能を持ち、結果として単位面積当たりの収穫量を上げることに寄与する。 

 (株)本田技術研究所と共同研究を進めている名古屋大学生物分子応答研究センターの松岡信教授の研究室では、この遺伝子を突き止め、それにより合成される植物ホルモンの作用メカニズム解明にも成功した。この遺伝子解明により、イネの高収量品種育成にかかわる大幅な時間短縮と労力削減と同時に、他作物への応用の可能性も期待できる。
この成果は4月18日発行の科学誌「ネイチャー」に掲載される。 

 (株)本田技術研究所では、2000年12月に、千葉県木更津市にある「かずさアカデミアパーク」内に研究拠点を設置し植物遺伝子の研究に着手しており、タイのカセサート大学の試験圃場での自然交配によるイネの栽培育種の委託研究も今年から開始している。 

 Hondaでは従来よりエネルギーや地球環境といった課題に対して多角的な研究を行ってきた。イネは穀物の遺伝子研究におけるモデル植物であり、今後も収量性の向上や、乾燥、温度、病害虫などのストレス耐性の改善などに関係する有用遺伝子の研究を進め、食糧問題などの人類共通課題の解決に向けて貢献していくことを目指していく。

「sd1」遺伝子によって背丈が低くなったイネ(右)

「sd1」遺伝子によって背丈が低くなったイネ(右)