第12戦 ドイツGPの見どころ  7月23日(月) レポート:柴田久仁夫





「ゲルマン三つ巴のバトル」
 ミハエル・シューマッハが登場して以来、グランプリはドイツの時代が続いている。彼の後、メルセデスエンジンが勝ち始め、BMWが復帰し、そして次々と才能あるドイツ人ドライバーが登場してきた。当然、ドイツでのF1人気は、ものすごい。ニュルブルグリンクのヨーロッパGPと今回のホッケンハイムと、ドイツを舞台にしたGPが年間2戦行なわれているが、ファンや主催者にしてみればもっと来てほしいくらいだろう。

 そして今週のドイツGPは、言ってみれば「ゲルマン三つ巴」のバトルが繰り広げられそうだ。大本命はやはり、フェラーリのミハエル・シューマッハ。もしここで勝てば、最多勝記録が51勝に。地元ドイツで、アラン・プロストの記録に並ぶ。
 それを阻止しようという勢力が二つ。まず前回イギリスGPで今季初優勝を遂げたミカ・ハッキネンを擁する、マクラーレン・メルセデス。シルバーストンでのハッキネンの勝ちっぷりは、全盛時代を思わせるぶっちぎりの速さだった。果たしてこれが彼の、本格復調のしるしだったのか。メルセデスの本拠地シュトゥットガルトは、ホッケンハイムからごく近い。ぜひともシューマッハに一矢を報いたいだろう。ただしホッケンハイムの大観客席では、真紅の跳ね馬の旗に隠れて、シルバーアローの旗はまれにしか見られない。
 そしてもうひとつが、弟のラルフ・シューマッハ。そしてBMW・ウィリアムズ。先週のモンツァテストでは、ラルフとフアン・パブロ・モントーヤのウィリアムズコンビが1‐2位を独占。好調ぶりを見せつけた。テストの好調さが必ずしも本番につながるわけではないが、ホッケンハイムでフェラーリとまともに戦えるのは、マクラーレン・メルセデスよりむしろBMW・ウィリアムズかもしれない。6月の3戦で見られた兄弟対決が、ここでまた再現される可能性は高そうだ。

 そしてわがHonda勢にも、ハインツ・ハラルド・フレンツェンがいる。彼の地元での最高成績は、99年ドイツGPでの3位表彰台。そして同年ニュルブルグリンクでのポールポジション。カナダで欠場したケガからも、完全に復調した。ぜひ表彰台に乗ってもらいたいところだ。


「ホッケンハイムリンクのみどころ」
 3本の長い直線をシケインでつないだレイアウト。そしてスタジアム区間は、極端な低速コーナーが連続する。時速360km以上にも達する超高速区間と、曲がりくねった低速区間。この相反する2つの部分の両方で戦闘力を発揮するようにマシンを詰めて行く作業は、きわめてむずかしい。全開からのフルブレーキングが連続するため、ブレーキにも非常に過酷なサーキットである。
 さらにここは上述の最高速でも明らかなように、屈指のエンジンサーキットでもある。エンジンの全開率は、モンツァと並んで全17戦中最高。パワーと信頼性の両方が、非常に高いレベルで求められる。


・開催地;ドイツ・ホッケンハイムリンク・サーキット
・全長;6,825km
・周回数;45周
・2000年ポールポジション;デビッド・クルサード(マクラーレン) 1分45秒697
・2000年優勝; ルーベンス・バリッチェロ(フェラーリ)