第9戦 ヨーロッパGPの見どころ  6月18日(月) レポート:柴田久仁夫





 前回のカナダGPで、BMW・ウィリアムズのラルフ・シューマッハが今季2勝目を上げた。兄ミハエルを完全に抑えての、堂々たる勝利だった。ただしミハエルが言っているように、彼が今後タイトル争いに絡んで来る可能性は少ないと思う。サーキットによって、まだ調子の波が激しいからである。だが来年以降ということなら、ウィリアムズ時代再来の序章という見方は、十分に出来そうである。
 シーズン後半の最初のレースとなる今回のヨーロッパGPは、舞台がドイツである。シューマッハ兄弟やメルセデス、そしてBMWの地元レースということになる。もちろんわれらがジョーダン・Hondaのハインツ・ハラルド・フレンツェンや、ザウバーのニック・ハイドフェルドにとっても非常に重要なレースとなる。ただしフレンツェンは、カナダを欠場した後も自宅で静養を続けており、場合によってはここもお休みするかもしれない。

 カナダGPで、Hondaは今シーズン初めてのノーポイントに終わってしまった。フレンツェンの代役を務めたリカルド・ゾンタが7位で完走した以外は、すべてメカトラブルでリタイヤ。わずかな慰めは、エンジンはまったく完調だったこと。かなり大きな改良を加えて、大幅なパワーアップに成功している。それでもトラブルと無縁だったことはプラス材料と言える。
 とはいえ結果が出ないのでは、仕方がない。今週末のニュルブルグリンクは、バランスの優れたセットアップが要求される、コースレイアウトである。BAR、ジョーダンともに、空力やサスペンションの改良の成果が、モナコGP以来目に見えて出てきている。その意味では、このサーキットでどれほどの成績を残せるかが、シーズン後半に向けての試金石となりそうだ。

 ここ数戦の変化というと、これまでウィリアムズだけが突出していたミシュラン勢の速さが揃ってきたことである。モナコでジャガーが初表彰台。プロストは、2戦連続入賞を遂げた。またブリヂストンユーザーの中では、一時期勢いを失っていたザウバーが、また復調してきた。コンストラクターズ選手権で、ジョーダンを抜いて4位に。ドライバーズ選手権でも、ハイドフェルドがHondaドライバーを抑えて5番手につけている。折り返し点を過ぎて、これからますます競争は激しくなっていく。しかし2強に次ぐポジションは、終盤までにぜひとも確立したいところだ。


「ニュルブルグリンクのみどころ」
  かつてはニュルブルグリンクは、全長23km近くあったことをご存知の方も多いだろう。70年代までここでドイツGPが開催されていたが、76年のニキ・ラウダの大事故をきっかけに、取り止めとなってしまう。その後84年に現在のコースが完成。90年代に入ってから、ヨーロッパGPやリュクサンブルグGPの名目で、毎年グランプリの舞台となっている。こうしてドイツは、実質2GP開催の国となった。これもミハエル・シューマッハに代表される、F1人気の高まりのおかげである。


・開催地;ドイツ・ニュルブルグリンクサーキット
・全長;4,556km
・周回数;67周
・2000年ポールポジション;デビッド・クルサード(マクラーレン)1分17秒529
・2000年優勝;ミハエル・シューマッハ(フェラーリ)