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ヨーロッパGPのみどころ 5月16日(火) レポート:柴田久仁夫

前回スペインGPのみどころの中で、「ここ(カタルーニャサーキット)でのBARホンダの走りっぷりは、今後の活躍を占う絶好の材料となる」と書きました。
コースレイアウトが低速から高速までまんべんなく揃って、マシンの力量を判定しやすいこと。ほとんどのチームがテストコースとして走りこんでいるために、偶然の要素が入りにくく、その時点での実力が成績に反映しやすいことなどが、そう書いた理由でした。
そして出てきた結果はと言えば、ほぼ予想した通りだったのではないでしょうか。初日にメカトラブルが発生して満足な走り込みができなかったにもかかわらず、ジャック・ビルヌーブは今季最高の6番グリッドを獲得して見せました。イギリスGPから投入した、ほとんどニューエンジンと言ってもいいRA000E改良バージョンが戦闘力を発揮。新たな空力パーツも、ある程度の貢献をしています。そしてなにより、マシンの性能を100%出し切る能力を持つ世界チャンピオン、ビルヌーブの存在が大きかったという印象です。
しかしレースでは、グリッド位置の6位を走行後、燃料供給系のトラブルでリタイヤしてしまいました。
これらをまとめて言えば、こうなるでしょうか。速さそのものはトップ2チームに及ばないながらも、中団グループの上位に配置している。しかしそれはドライバーの頑張りに負うところが大きい。またメカトラブルが相変わらず多く、レース本番の結果が出せないだけでなく、開発の足を引っ張ることにもなっている、と。
ヨーロッパGPに向けた先週のヘレステストでは、ビルヌーブ、ゾンタに加えて、ダレン・マニング、パトリック・ルマリエの両テストドライバーも加わって、計1000km以上走り込みました。水曜日にはゾンタが最速タイムを出すなど、まずまずのテストとなったようです。またホンダ側が提案した空力や足回りのニューパーツも試されました。それがすぐに実戦に投入されないにしても、ホンダとBARとの関係はいっそう密接になっていくはずです。
今年のヨーロッパGPは、昨年の9月から大きく動いて、5月中旬の開催となります。この時期のドイツ、ニュルブルグ周辺は、非常に変わりやすい天候です。昨年も気まぐれな雨にトップチームが翻弄され、優勝したのはスチュワートのジョニー・ハーバートでした。今年も、天候の変化に機敏に対応できるかどうかが、勝敗を分けることになるでしょう。
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