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レポート:柴田久仁夫     

 
 
第10戦 オーストリアGP

(株)本田技術研究所 マネージング ダイレクター
保坂武文のひとりごと 

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 レースはドラマというけれど、一瞬先に何が起きるか本当にわからない世界ですね。6番、7番グリッドからのスタートで、レース前はもちろん不安もありましたが期待も非常に大きかった。それが1コーナーの多重クラッシュで、15位と17位まで落ちてしまう。一瞬にしてどん底へ突き落とされた感じでしたね。

 でも絶対にあきらめることはしないと、自分に言い聞かせました。そしてできる限りの対策を考えました。そのひとつが、好燃費のアドバンテージを最大限に利用して、ピットインをできるだけ遅らせる作戦でした。もともとそのつもりで、フルタンクでスタートしたんですが、当初の予定よりもさらに2周余分に引っ張りました。そうすることで、軽くなったマシンでタイムを更新できる。そして残りの周回数が少ない分、給油時間も短縮できるわけです。

 その作戦は、ドンピシャリと当たりましたね。「あきらめるな」と自分に言い聞かせはしていましたが、まさかポイントが転がり込むとは思わなかった。それも今季3回目の4位入賞でしたからね。これだけきめ細かい燃費管理ができたのも、うちの若手の開発した燃料の残量測定システムが、非常に高い精度で機能したからです。それがあったために、安心してあそこまで走らせられた。

 もちろんジャックが安定した走りをしてくれたことも、言うまでもありません。ハイドフェルドに前を阻まれたときは、無理して抜かずにじっと我慢した。そういう緩急自在のペース配分ができるところも、さすが世界チャンピオンですね。

 そしてクルマも着実に進歩している。チームスタッフの仕事ぶりも、確実に変わってきています。まだミスを犯したりはしますが、次は必ずしないという気迫が感じられる。今回のピット作業も、まったく危なげなかったですしね。

 このところ元気のなかったリカルド・ゾンタも、この週末は十分に速さをアピールできました。レースは残念でしたが、クルマさえキマればジャックをしのぐ走りができるという、大きな自信につながったでしょう。

 次回のドイツGPでは、今季2度目の大改良エンジンを投入する予定です。パワー、ドライバビリティ、すべてにわたって大幅に性能が向上しています。ホッケンハイムは超高速サーキットですから、大いにホンダエンジンの存在感を見せつけるつもりですよ。