OCEAN MASTER STORY

世界のプロが選んだHonda

世界で活躍するHonda船外機の
知られざるストーリー

2018.02.21

多様な海洋環境の中で、
快適ダイビングをサポートする
Honda船外機。


取材協力:
■ネイチャー石垣島ダイビングサービス 〒907-0451沖縄県石垣市桴海148-493
TEL/FAX:0980−88−2273 URL http://www.ishigaki-diving.com/

■有限会社ブルーマリン石垣 〒907-0013 沖縄県石垣市浜崎町2-4-10
TEL:0980-82-4115  FAX:0980-82-4591 URL http://www.bmishigaki.com/
お客さんファーストで船の艤装
遠浅の海を出航した多羅尾さんの船は、ダイビングポイントまで10分から20分ほどで到着する。気抜けするほどクルージング時間は短いが、それは遠来のお客さんに、すぐに潜ってもらいたいという気持ちからだ。
デッキ艤装も、お客さんのために考えられている。
たとえばコンソール位置。
もともとコンソールはトランサム寄りに設定していた。ところがそれだと恰好のベンチとなるトランサム前のストレージがデッドスペースとなってしまうことを知った。操船する多羅尾さんの邪魔になりそうだからと、お客さんが遠慮して近寄らなかった。そこで多羅尾さんは、コンソールをバウ寄りに移動させるという大工事をブルーマリン石垣に依頼。
ダイビング前後のお客さんにベンチに腰掛け、楽をしてもらいたいという一心から、デッキ改造の決意をした。さらに移動したコンソール廻りにはエンクロージャを設置。お客さんの濡れた身体を風から守るためだ
「バウにオーニングを張るわけですから、風圧で操船はしづらくなりますよ。アンカリングしていても風を受けて船が振れ回るし。でも、お客さんの身体を考えると必要な艤装だと思っています」
さらに、溶接を含め鉄工作業もこなすブルーマリン石垣により、画期的なダイバー乗降用のラダー(梯子)も両舷に設置した。これがすぐれものだ。
通常はガンネル上に跳ね上げておくラダーは、必要に応じて海中に降ろされるのだが、降ろした際、ラダーと艇体の間に「あて」が必要になる。「あて」が無いとラダーと艇体が引っ付いてしまい、乗降が困難になる。その「あて」がラダーを降ろすと飛び出て、収納するとピタッと収納されるという画期的なシステムを聡さんが考案(動画参照)。
「遠方からも取り付け依頼がきているんですが、出張して取り付けるとなるとその経費を含め、高い艤装品になってしまいますからお断りしています」と聡さん。
ブルーマリン石垣の溶接技術を活かし、トレーラーも造ってもらった。
ふだんは遠浅の海に係留している多羅尾艇だが、必要に応じて陸揚げすることがある。そのためのトレーラーだ。問題は足場が砂地であること。そのために街中を引っ張るトレーラーとは基本的な考え方を変え、フォークリフトにも使われるような太いタイヤを履かせた。
「これが良くできているんですよ。砂にタイヤが埋まらずに引っ張れるし。しかも一軸ですよ。聡さんが船のバランスをよく知っているから」
多羅尾さんは石垣島のダイビングの魅力は、多様な海洋環境だとズバリ言う。
山があり、川が流れ、汽水域も湾口もあり、サンゴも有り、浅瀬も、深場もある。そしてそれぞれの場所を多様な生物が棲家としている。もちろんマンタもいる。
そんな魅力的な海で快適にダイビングをしてもらいたい。それが多羅尾さんたち「ネイチャー石垣島ダイビングサービス」の願いだ。
トランサム前のストレージはベンチとして利用できる。そのためにコンソールをバウ寄りに移動した。
バウ寄りに移動したコンソール。周囲をエンクロージャで囲う。風からお客さんを守るためだが、操船はしづらくなる。
タンクを置くためにショックコードを設置(右手の指のあたり)。
日よけのためにルーフも設置。ネットにはお客さんの私物を収納できる。
デッキベンチ下にもお客さん用の物入れの籠を設置。
このショックコードは撮影用の機材のためのもの。ハウジングに納めた一眼レフカメラなど、重く大きな機材を持ち込むお客さんは、潜る際このコードにカメラに引っ掛け、海に降ろしておく。
乗降用のラダー(梯子)。ラダーと艇体の間に「あて」があるのに注目。この「あて」はラダーを跳ね上げて収納すると折りたたまれるところが凄い。動画参照。
写真・文:大野晴一郎
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