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最上川
日本三急流のひとつに数えられる最上川は、山形県南境の飯豊山、吾妻火山郡を源流とする。米沢、新庄、さらに庄内平野を滔々と流れ、その距離229キロ。山形の母なる川と呼ばれたりもする。眺めの圧巻は最上郡戸沢村、通称最上峡である。川面から見上げると、雪折れすることもなく豪雪に耐える高木、巨木が山肌を覆いつくし、人を拒絶する明確な自然の主張が、そこにはある。
2月中旬、いまだ春の気配を見せない最上川をくだる。
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写真と文:大野晴一郎 
Seiichiro Ono
県立自然公園に指定されている最上峡は、最上郡戸沢村古口(わかりやすくは陸羽西線、古口駅近くと思って良い)から下流に向かって約16キロの渓谷を言う。江戸時代は付近で収穫される紅花の輸送を最上川に頼っていた。当然管理するための船番所も設けられ、それは古口にあった。戸澤藩船番所である。今では川下りの乗船口となって観光客を集めている。古今和歌集に登場する歌では「もがみ川のぼれば下るいな舟のいなにはあらずこの月ばかり」というのが知られる。

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  古口から下るとやがて白糸の滝が眼前に飛び込んでくる。その飛泉は真冬でも完全凍結することはなく、氷塊をぬうようにして、水は流れ落ちる。最上峡には大小様々な滝が48カ所ある。しかし歌舞伎の雪布よりも純白な風景の中に、その姿を見つけるのは難儀する。しかし白糸の滝だけは、鳥居を目標に見つけることは容易。  
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  源頼朝の追っ手から逃れる途中、源義経はこの地を訪ねている。白糸の滝を前に義経は、「最上川瀬々の岩波堰き止めよ寄らでぞ通る白糸の滝」「最上川岩越す波に月冴えて夜面白き白糸の滝」と詠ったとされている。  
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  百骸まで凍りつきそうな川面で、雪見酒を楽しむ観光船を待った。最上峡の中を約12キロにわたって船下りが楽しめる観光船は、戸澤藩舟番所跡から出航する(芭蕉ライン)。最上峡は河口の酒田から、およそ40キロ上流に位置する。川面の海抜こそ僅かなものだが、取り囲む山々の影響を受けて、天候の変化は大きく、また急である。  


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  船運の守神として信仰を集める仙人堂(外川神社)もまた最上峡の中に立つ。建立は約800年前、源義経に同行した常陸坊海尊による。また松尾芭蕉の有名な一句「五月雨を集めて涼し最上川」を「五月雨を集めて早し最上川」と作り直した場所としても知られる。この仙人堂には陸路で参拝するための道らしい道は無く、多くは船に頼っている。  

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