1995年にデビューしたHonda BF90は本誌でもその発売当初から断続的に紹介してきた。開発ストーリーや実機テストはもちろん、ユーザーインタビューなども継続して行ってきた。筆者も当時その取材に何度も関わっていたが、丸みを帯びたボディと個性的なシルバーに何となく愛着を覚えていた。従来のHonda
BF90Aは、日本だけでなく、世界のボートエンジンマーケットにひとつの歴史的な画期を創ったモデルだ。当時の4ストローク船外機としては最大馬力であり、いわゆる中・高馬力4ストローク船外機の先駆けとして歴史に名を残している。2ストローク全盛の当時、静かで低燃費、環境対応というメリットはボートマーケットに瞬く間に受け入れられた。アメリカのEPAをはじめとするエンジンの排気ガス規制も4ストローク船外機には追い風となったが、あれからわずか10年余りで、ほとんどの主要メーカーが、その製品ラインアップの主力を2ストロークから4ストロークに乗り換えたことを思うと、BF90の発表がいかに画期的であったかが理解できるだろう。
Hondaのエンジンラインアップを見ると下は2馬力から最大サイズの225馬力まで豊富なラインアップが揃う。その中で10年以上の時を経た従来モデルのBF90は他社メーカーの追従を受け、商品力・競争力の低下が否めなかった。そんな90馬力のBF90であるが、兄弟モデルの75馬力ともども、BF90D/BF75Dという名前で新たに生まれ変わった。Hondaとしては中大型サイズの船外機の初のリニューアルモデルである。これまでは基本的に新型エンジン=今までのラインアップに無い馬力・サイズだったのが、このBF90D/75Dからはリニューアル・フルモデルチェンジというカテゴリーとなる。
単に新製品を創るよりも、従来あるモデルをフルモデルチェンジする方が、より難しいようだ。従来モデルと直接的に比較されるし、他社メーカーとも比較される訳だからそれも当然だろう。より商品力のある高性能なモデルが求められるのだから、BF90D開発に当たるプレッシャーは想像に難くない。
それでは11月1日に販売されるHondaの新型エンジンBF90DとBF75Dについて紹介していこう。 |