OCEAN LIFE
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スモールボートで美味しい生活
ランチパーティーの舞台はイタリアの小型艇の華、ザール75。お洒落さの中に機能とスポ−ツ性を追求した究極のRIB。シェフはザールを乗りこなす伊藤英一。ワイン通であり自他ともに認める食通である。そば粉を使ったフランスの伝統的なクレープをまずは作りはじめた。
文 = 大野晴一郎
小型艇での料理を見事にアレンジした伊藤英一氏。
小型艇での料理を見事にアレンジした伊藤英一氏。
(本文中敬称略)
桟橋に舫われたザール75に持ち込まれた食材は、そば粉、小麦粉、ミックスハーブサラダ、タマゴ、プロセスチーズ、ボンレスハム。フランス仕込みのクレープを伊藤英一が作りはじめようとしていた。
手始めに彼は手元に用意していた白ワインを開け、グラスに注いだ。さらにカシスを加えてキールを即座に作りあげると、軽く咽を潤した。
知る限りのソムリエやワインエキスパートよりも、伊藤のワインに対する舌と咽と鼻、加えて眼は圧倒的に優れているし、産地、ワイナリーの知識を始め、多くのヴィンテージも明確に把握している。

そば粉のクレープには、前述の食材が全てのせられる。特にタマゴは、生のまま白身も黄身も、重要なソースとして、石垣の天塩と粒胡椒とともに、仕上げに加えられる。
伊藤が持つザール75にはギャレーは付けられていない。アウトタイプギャレーは、ザールのコンソール周りを使って、アレンジすることは充分に可能だし、メーカーであるイタリアのフォルメンティ社も、楽しみつつ設計者が線を引いてくれるだろう。
ザールと同じくイタリアの名挺リーバを、伊藤は乗り継いできた。贅を限り無く追求したリーバに対して、RIBという特殊船形の中で、機能を追求してきたザールとは、一見全く別個のコンセプトであるかに見える。しかし、遊びを追求する姿勢は、同じ。
大型艇に飽きたという伊藤にとって、全長7.5mのオープンボートであるザール75は、湾岸地域を走り、時にはリーバ時代と同じく伊豆の島に渡るのに、最適な存在だった。
純粋に走りを楽しみ、その機能を味わうという意味で、当初ギャレーユニットに興味は向かなかった。「でもね、そろそろこの船で料理を楽しむ方法を考え始めていた」

この日、我々はホットプレートと、ホンダ製小型発電機「EU16i」を、ギャレーユニット代わりに、ザールに持ち込んだ。
秋風が身を包みつつも、いまだ夏の焼ける日射しが残る桟橋で、男の料理が始まったのである。
そば粉8に対し、小麦粉2の割合いで混ぜられたクレープのタネを、伊藤の手は素早くプレートに正円に描いていく。焼き時間は短い。水に溶かれたとはいえ、そば粉の主張はあくまで香ばしく、それは食をそそる優しい焦げ臭となり、デッキに立ち込めはじめた。
両面に軽く焼き色が付くと、伊藤はリーバ時代から愛用している皿にクレープの生地を移し、ミックスハーブ、トマト、ハム、チーズと手際良く盛り付け、正円のクレープの生地の4角を器用に折り曲げ、正方形の料理に変身させる。最後にタマゴの流れる白身に気を使いながら、そっとまん中にのせる。あとは石垣生まれの塩と胡椒で味のアクセント付けて出来上がり。
ナイフとフォークで黄身を割り、リッチなソースとして具に混ぜることから、フランス風のそば粉クレープを食べる儀式は始まる。口に収まった生地の歯ごたえは、上質の三たてのそばを食べることに酷似している。腰を感じる。そして、舌から鼻へと広がる濃厚な黄身の味と香りは、そば粉の素朴な風味を優しく包み込む。

ザール75にホンダ製小型発電機EU16iを持ち込み、我々のランチパーティーは始まった。
ザール75にホンダ製小型発電機EU16iを持ち込み、我々のランチパーティーは始まった。
ザールのフォワードデッキは、対座シートとなっていて、ウッドのテーブルが用意される。ホットプレートの手前左端がそば粉8と小麦粉2の割合いで溶いたクレープのタネ。その左隣はメカジキのグリルに使うミョウガ、ニンニク、大葉などの薬味。さらに、本日ふた品目の料理となるメカジキの切り身。その隣のミックスハーブは、そば粉のクレープ用に。
ザールのフォワードデッキは、対座シートとなっていて、ウッドのテーブルが用意される。ホットプレートの手前左端がそば粉8と小麦粉2の割合いで溶いたクレープのタネ。その左隣はメカジキのグリルに使うミョウガ、ニンニク、大葉などの薬味。さらに、本日ふた品目の料理となるメカジキの切り身。その隣のミックスハーブは、そば粉のクレープ用に。
そば粉のクレープの出来上がり。ナイフとフォークで黄身を割り、リッチなソースとして具に混ぜることから、フランス風のそば粉クレープを食べる儀式は始まる。三たてのそばよろしく、生地にはしっかりとした腰があり、そば粉の風味が漂う。
そば粉のクレープの出来上がり。ナイフとフォークで黄身を割り、リッチなソースとして具に混ぜることから、フランス風のそば粉クレープを食べる儀式は始まる。三たてのそばよろしく、生地にはしっかりとした腰があり、そば粉の風味が漂う。

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