「ふしぎ」を見に行こう
「ふしぎ」な地形
原始時代に
タイムトリップ！？
「鍾乳洞」を探検しよう
地底に広がる太古の世界、鍾乳洞のナゾにせまるよ！
玉泉洞（沖縄県南城市）
- 洞くつ内の岩石などをむやみにさわって傷つけたりすることのないよう気をつけよう。
- 洞くつを探検するときは歩きやすく動きやすい服そうで行こう。夏でも上着を一枚持っていくと安心だよ。
- 観光洞くつ以外の洞くつは危険だから入らないようにしよう。
- 暗いところでは足元と頭の上に気をつけよう。
探検メンバー
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- ふしぎ探検隊が行くよ！
- 隊員はると
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- この人に聞いたよ
- 世界中の洞くつを探検している
後藤聡さん
洞くつの王様！？ 鍾乳洞のココがスゴい！
1.形がユニーク！ 自然がつくり出した芸術作品のよう。
いろいろな種類の洞くつがある中でも鍾乳洞が世界中で人気がある理由は、そのユニークな形。さまざまな形をした石を見ているだけで楽しくなるよ。
2.気分は探検家！ 冒険心がくすぐられる神秘的な雰囲気。
うす暗くてミステリアスな鍾乳洞には、「この先はどうなっているの？」というワクワク・ドキドキ感がいっぱい！ はしごをのぼったり、せまいところをくぐったり、より探検気分を楽しめる鍾乳洞もあるよ。
3.夏でもひんやり！ 天然のクーラーがきいている。
洞くつの中は気温が一定していて、いつでもその地方の平均気温くらいなんだ。だから夏はひんやり、冬はあったか。あつい日は鍾乳洞へすずみに行こう！
100年に1cmしか成長しない？ 鍾乳石のふしぎ
- 鍾乳洞ってどうやってできるの？
- 鍾乳洞は石灰岩のあるところにできる。空気中や土壌の中の二酸化炭素がとけこんでわずかに酸性になった雨水は、石灰岩をとかす力がある。雨水が岩のわれ目や断層に入りこみ岩をとかしていき、地下に小さな空洞ができる。空洞は、増えた地下水によってさらにとかされたり、けずられたりして、長い年月をかけて大きくなる（人が入れる大きさになるまで少なくとも1万年はかかる！）。そこに鍾乳石ができると、その洞くつは鍾乳洞 になるんだ。
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鍾乳洞のでき方
- 鍾乳石のある洞くつを「鍾乳洞」というんだね。じゃあ、鍾乳石はどうやってできるの？
- 鍾乳石は、ぽたぽた落ちてくる水のしずくによってできたものなんだよ。
- 水のしずくがどうやって石になるの？
- 石灰岩をとかした水が、洞くつの天井からぽたぽたと落ちてきて空気にふれると、水がわずかに蒸発して、とかされていた石灰分が再び固体になって、ゆっくり伸びていく。はじめは細長いストローのような石ができ、やがて長い年月がかかって太った鍾乳石になっていくんだ。これは「つらら石」ともいうよ。
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鍾乳石のでき方
水が落ちてきたところにできる石は筍みたいだから「石筍」という。
「つらら石」と「石筍」がくっつくと「石柱」になる。
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こんなふうだから、鍾乳石は100年にわずか1cmくらいしか成長しないんだ。
※一般的な例。実際には数十年から数百年の幅がある。 - え！ ということは……1mになるまで1万年もかかるの！？ 気が遠くなる〜！
- 日本に今ある鍾乳洞（人が入れるくらいまで発達したもの）のほとんどは10万年以上前には今の大きさになっていたことが、鍾乳石などからわかっているんだ。でもそれ以前の証拠がなく、いつごろからその大きさになったかはよくわかっていない。100万年以上前にはできていたという説もある。
海外の安定した大陸ではもっと歴史が長く、その分、大きく発達した鍾乳洞があることがわかっているよ。年月がたつほど大きくなって、最後は天井がくずれたりしてなくなるんだ。
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ポストイナ鍾乳洞（スロベニア）
自由研究の課題にもぴったり。鍾乳洞のココに注目しよう！
課題1.鍾乳石の種類
- 鍾乳石は「つらら石」のほかにもあるの？
- 一般的には鍾乳石といえば「つらら石」のことだけど、広い意味ではこれだけの種類の鍾乳石があるんだ。
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①ストロー（鍾乳管） ②つらら石 ③カーテン ④ヘリクタイト ⑤フローストーン（流れ石） ⑥石筍 ⑦リムストーン ⑧ケイブパール ⑨石柱 ⑩シールド（盾状鍾乳石）
- 「つらら石」や「石筍」、「フローストーン（流れ石）」はどこの鍾乳洞にも大体あるけど、「ストロー（鍾乳管）」、「シールド（盾状鍾乳石）」、「ヘリクタイト（曲がり石）」はめずらしい。鍾乳洞のWebサイトなどをチェックして、どこでどんな石が見られるか調べてみるといいよ。
課題2.鍾乳洞にいる生き物
- 洞くつの中にいる生き物ってコウモリかな？
- コウモリが代表的だけど、そのほかにも洞くつを歩いているとこんな昆虫を見かけることがあるよ。
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トビムシ
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ヤスデ
- 色が白いね！
- 暗やみにいるから目も退化しているんだ。真っ暗やみでは目は役に立たないからね。そのかわり触覚を使ったり、音や振動を感じたりして動いていると考えられているよ。
- そうやってエサをつかまえたり、敵から逃げたりしているのかな？
- そう。でも洞くつにはエサが少ないから、もともとあまり食べないんだ。省エネなうえに、洞くつ内は敵も少ないから、洞くつの生き物は長生きすることが多い。外国の洞くつには100年生きるという「ホライモリ」というイモリもいるんだよ。
- 100年！洞くつの中では時間がゆっくり流れているんだね……。
課題3.洞くつの中の風の流れ
- 洞くつの中の温度は一定しているのに対して、外の温度は季節によって変わるから、風の流れも変わるんだ。夏は入り口から風がふき出し、冬は逆に風をすいこんでくるよ。
- だから一般的には、洞くつの中で道に迷ったときは、夏なら風が流れていく方向に行けば出口があるということ。
- それは覚えておきたいな！
- 高さのちがうところに2つ入り口があれば、夏は低いところから高いところに風がふき、冬はその逆にふく。大きな建物でも同じことが起きることがあるよ。
課題4.人間と鍾乳洞の関わり
- ほかにも、人間がこれまで鍾乳洞をどのように利用してきたか、その歴史を調べてみるのもおもしろいよ。たとえば、今から数千から数万年以上前には鍾乳洞を住居として使っていた人もいたようだ。
- 洞くつの中に鳥居やほこらがあるのを見たことがあるよ。神様がまつられていることも多いのかな？
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天安河原（宮崎県高千穂町）
- そうだね。修行の場所にも使われてきたし、洞くつにまつわる伝説は日本にも世界にも多い。昔から人々は洞くつに対して神秘的で厳かなイメージを抱いていたんだろうね。
ほかにも、第二次世界大戦中には沖縄の鍾乳洞が日本軍の基地や防空ごう、病院として利用されたこともある。一定の温度が保たれる空間はお酒を熟成させるにもちょうどよくて、日本でも各地の鍾乳洞で焼酎 や日本酒が作られていたりするよ。 - 電気代が節約できて省エネなんだね！
日本で見られる美しい鍾乳洞
迫力満点！ 親子で楽しめる観光鍾乳洞を紹介するよ。
【記号の見方】
[探]・・・探検コース・冒険コースあり
[ガ]・・・ガイドツアーあり
※コースやツアーは期間限定や要予約の場合も。営業日なども事前に調べよう。
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龍泉洞（岩手県岩泉町）[ガ]
龍泉洞（岩手県岩泉町）[ガ]
深い青色の地底湖「ドラゴンブルー」と美しくライトアップされた鍾乳石が見どころ。
- 住 所：
- 岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉字神成1番地1
http://www.iwate-ryusendo.jp/
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あぶくま洞・入水鍾乳洞（福島県田村市）[探]
あぶくま洞・入水鍾乳洞（福島県田村市）[探]
鍾乳石の種類と数の多さでは東洋一ともいわれる。探検コース（あぶくま洞内）もおすすめ。
- 住 所：
- あぶくま洞
福島県田村市滝根町菅谷字東釜山1
入水鍾乳洞
福島県田村市滝根町菅谷字大六89-3
http://abukumado.com/
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日原鍾乳洞（東京都奥多摩町）
日原鍾乳洞（東京都奥多摩町）
東京都内で楽しめる鍾乳洞。ライトアップされた洞内は別世界に来たみたい。
- 住 所：
- 東京都西多摩郡奥多摩町日原1052
http://www.nippara.com/nippara/syounyuudou/syounyuudou.html
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飛騨大鍾乳洞（岐阜県高山市）
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河内風穴（滋賀県多賀町）[ガ]
河内風穴（滋賀県多賀町）[ガ]
関西随一の規模。洞内には「大広間」とよばれる奥行50m以上の巨大な空間も。
- 住 所：
- 滋賀県犬上郡多賀町河内宮前
https://www.biwako-visitors.jp/spot/detail/1667/
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秋芳洞（山口県美祢市）[探] [ガ]
秋芳洞（山口県美祢市）[探] [ガ]
空間の広さが圧倒的。冒険コースや、懐中電灯1本で歩く夜の探検コースも。
- 住 所：
- 山口県美祢市秋芳町秋吉3506-2
https://karusuto.com/spot/akiyoshido/
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龍河洞（高知県香美市）[探]
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千仏鍾乳洞（福岡県北九州市）
千仏鍾乳洞（福岡県北九州市）
夏はすずしく冬はあたたかで、子どもから大人まで非日常的な探検気分が味わえる。
- 住 所：
- 福岡県北九州市小倉南区平尾台3丁目2番1号
http://www.senbutsu-cave.com/
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稲積水中鍾乳洞（大分県豊後大野市）
稲積水中鍾乳洞（大分県豊後大野市）
日本最大の水中鍾乳洞。水中鍾乳石や珊瑚石、ヘリクタイトなども見られる。
- 住 所：
- 大分県豊後大野市三重町大字中津留300番地
https://www.inazumi.com/
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玉泉洞（沖縄県南城市）[探]
玉泉洞（沖縄県南城市）[探]
30万年の歳月が創りあげた鍾乳洞。夏期限定「南の島の洞くつ探検」(写真)も大人気。
- 住 所：
- 沖縄県南城市玉城字前川1336番地
https://www.gyokusendo.co.jp/okinawaworld/7recommendations/
服そうや持ち物
洞くつ探検に行くときは歩きやすい靴・動きやすい服で。せまいところを通ることもあるので、よごれてもいい服だと安心。夏は上着を持っていこう。懐中電灯があると、照明の届かない場所もよく見ることができておもしろいよ！
まとめ
- 鍾乳石がある洞くつを「鍾乳洞」という。
- 鍾乳石（つらら石）はぽたぽた落ちる水にふくまれる石灰分が沈殿してできたもので、100年に1cmくらいしか成長しない！
- 洞くつの中は1年中ほぼ同じ温度。夏と冬では風の向きが変わる。
後藤 聡
洞窟写真家、国際洞窟学連合次官補、日本洞窟学会会長
ケイビング（洞窟探検）をはじめて30年以上。世界18カ国以上での洞窟探検の実績がある。洞窟探検をテーマにしたTVのドキュメンタリー番組に出演することも。著書に『洞窟の疑問30 ー探検から観光、潜む生物まで、のぞきたくなる道の世界ー』（成山堂書店）など。
写真提供：後藤 聡（「日本で見られる美しい鍾乳洞」の写真は各運営団体より提供）
※このコンテンツは、2018年6月の情報をもとに作成しております。
※このコンテンツは、2018年6月の情報をもとに作成しております。