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CEOメッセージ

株主、投資家の皆さまには、日ごろからのご理解とご支援を賜り、厚く御礼を申し上げます。
このたび東日本大震災により、亡くなられた方々に謹んで哀悼の意を表するとともに、ご冥福をお祈り申しあげます。また、被災された株主ならびに被災地の皆さまに対し、謹んでお見舞い申しあげます。被災された皆さまの一日も早い復旧を衷心よりお祈り申しあげます。

当年度のHondaをとりまく経済環境は、米国では、個人消費や設備投資が緩やかに増加するなど、景気は緩やかな回復基調にありましたが、信用収縮や高い失業率が継続しました。欧州においては、個人消費が増加するなど景気は総じて持ち直しましたが、高い失業率が継続し、金融システムへの懸念などもありました。アジアでは、中国およびインドの景気は拡大し、その他の国においても総じて景気は回復しました。日本においては、景気は足踏み状態となりました。設備投資は持ち直しているものの、個人消費に一部弱い動きがみられ、また失業率が高水準にあるなど厳しい状況にありました。また、東日本大震災による当面の景気の下振れが予想されます。

このようななか、当年度の売上高は、為替換算上の影響などはあったものの、四輪事業や二輪事業の売上高の増加などにより、前年度にくらべ増収となりました。営業利益は、販売費及び一般管理費や研究開発費の増加、為替影響、東日本大震災の影響などはあったものの、売上変動及び構成差、増産に伴うコスト影響、コストダウン効果などにより、増益となりました。

二輪事業

当年度の売上台数は、アジア地域や南米を含むその他の地域で増加したことなどにより、前年度にくらべ増加となりました。

アジア地域では、好調な経済を背景に需要が堅調に拡大しました。特にタイでのカブタイプの110cc新型バイク ウェーブ110i、スクーター スクーピーi、インドのモーターサイクル CBツイスター、スクーター アクティバが牽引となり販売を大きく伸ばしました。一方、北米地域では、まだ本格的な需要の回復には至らず、ユーティリティATVを中心に緩やかな回復はあるものの、レジャー要素の強いスポーツATVやレクレーション領域のモーターサイクルなどの市場は回復が遅れています。

南米を含むその他の地域の販売は、年央以降の与信緩和や所得の向上が購買活動を活性化させ、主にブラジル市場で、CG150、NXR150、CG125などの販売が好調でした。

四輪事業

当年度の売上台数は、日本や欧州地域で減少したものの、北米地域やアジア地域で増加したことなどにより、前年度にくらべ増加となりました。

日本では、年度後半に補助金終了の反動減など、厳しい状況が続き、フィット ハイブリッドなど新車投入で販売のてこ入れを行いましたが、需要縮小の影響が大きく、売上台数が減少しました。

欧州地域では、新型車CR-Zの投入などはありましたが、各国での販売支援策終了に伴い購買意欲が冷え込む中、競合が激化し、販売は総じて低迷しました。

一方、北米地域では、米国において緩やかな景気回復を受け、新型オデッセイなどライトトラック機種の販売が拡大しました。

アジア地域では、中国において需要が拡大する中、特にCR-Vの販売が大幅に増加し、タイ、インドネシアなどにおいても好調な景気を背景に、販売が拡大しました。

汎用事業及びその他の事業

当年度の売上台数は、全ての地域で増加したことにより、前年度にくらべ増加となりました。

北米地域、欧州地域、日本、南米を含むその他の地域では、景気回復による建機需要増に伴い、主にOEM用エンジンの売上台数が増加しました。アジア地域では、市場拡大や、一部政府による農業支援策や天候の影響などにより、売上台数が増加しました。

今後の取り組みについて

この数年、地球規模での「環境意識の高まり」や新興国の成長による「世界経済の構造変化」が加速するなど、Hondaを取り巻くビジネス環境は大きく変化しています。Hondaが今後も成長、発展を続けていくためには、先進環境技術の開発・商品化、新興国市場での事業強化などを迅速に進め、そのうえで利益を確保できる企業体質を再構築することが重要です。

こうした認識から、次の10年のために、Hondaでは「良いものを早く、安く、低炭素でお客様にお届けする」ことを変革の方向性として定め、積極的な取り組みを進めております。「良いもの」とは、お客様が必要なものをHonda独自の技術や知恵・工夫で魅力的な商品として具現化することであり、それをお待たせすることなく「早く」、お客様に「買って良かった」と喜んでいただける価格でご提供することがHondaの進むべき道であると考えております。また、パーソナルモビリティメーカーとしてCO2排出量の大幅な低減にも、これまで以上に積極的に取り組むことが必要であると考えております。

二輪事業

良いものを安くつくる取り組み

二輪車には、人々の生活の足として欠かせない「コミューター」と、走る喜びを楽しむ趣味性の高いFUNがあります。コミューターについては、新興国の経済成長にともない市場拡大が続いており、これを源泉として、昨年のHondaの二輪車世界販売台数は1,795万2千台と過去最高を達成いたしました。二輪車の主要市場である中国、インド、インドネシアといった国々は膨大な人口を有しており、今後もさらに拡大することが期待されます。また、ナイジェリアを中心としたアフリカ地域も新市場として成長しており、コミューターはこれからもHondaの成長を支える大きな柱であると考えております。

こうしたコミューターの旺盛な需要に応えるためには、今後ますます「お求めやすい価格」ということが重要になると考えています。Hondaではこの数年、グローバルでの部品調達の取り組みを進めてきました。部品の共通化を図り、広く世界へ調達ルートを広げ、コスト競争力の高い地域から調達することで「安さ」を実現してきました。また、グローバルでの価格を基準に現地の部品メーカーでの改善活動も進み、相乗効果も発揮されています。

たとえば重要な新興国のひとつであるブラジルで、Hondaは二輪車市場の約8割のシェアを占めていますが、その圧倒的なご支持を下支えしているのがエントリーモデルの存在です。これは排気量100ccのカブ系のモデルで、きびきびした走りと操作性を実現しており、コミューターとしての本質を突いたモデルとなっています。このようにHondaの二輪車として性能を進化させながらも、お求めやすい価格で提供する体制を構築しています。

また、お求めやすい価格を可能にすることで、より多くの市場でお客様に商品をお届け出来るようにもなります。

Hondaはアフリカ最大で約80万台の市場をもつナイジェリアで2011年半ばに新型125ccモデルを投入します。このモデルは中国で生産するコスト競争力の高い部品を使うことでナイジェリアのお客様にお求めやすい価格を実現しています。新市場では、すでに中国やインドの二輪車メーカーが低価格な商品を販売しており厳しい競争がありますが、ホンダの持つグローバルリソースを活用し、今後、ナイジェリアを起点としてアフリカ市場の開拓にも積極的に取り組んでまいります。

個性を磨きあげ、Hondaブランドを高めていく

二輪事業において、コスト競争力によるお求め安い価格の実現とともに重要であると考えているのが「Hondaらしさ」の実現です。特にFUNの大型車やスポーツ系の商品については、性能やスペックを追求するだけでなく、Hondaブランドを意識した強い個性が必要です。あのHondaの二輪車が欲しい、好きだとお客様が思えるような商品づくりが大切です。

Hondaの大型二輪車には、VFRシリーズとCBシリーズの二つの大きなベクトルがあります。VFRシリーズは二輪車に乗る面白さや楽しさを最新技術で追求したシリーズであり、CBシリーズは日本や米国でHonda 二輪車のスタイル、価値を築きあげた伝統のシリーズです。最新と伝統という両極をもっていることは二輪車のトップメーカーとしてよいことであり、今後、Hondaとしての個性を磨き上げる取り組みをもっと強めていきたいと考えています。

二輪車市場は今後も大きな成長が期待されます。Hondaは二輪車のトップメーカーとしての技術と品質をベースに、よりお求めやすい価格の実現、そしてHondaらしい個性を発揮しながら、これからも世界中のお客様の期待に応えていきたいと思います。

四輪事業

内燃機関の進化とハイブリッドの大衆化

地球規模での環境意識の高まりや原油価格の不安定な動向などから、昨今、世界中の四輪車市場でより低燃費なクルマ、より小型なクルマへの志向が加速しています。

Hondaはパーソナルモビリティを提供する企業として、全方位で環境技術の研究・開発を進め、環境負荷低減に取り組んできました。なかでもハイブリッド車については、環境技術はより多くのお客様にご利用いただいてこそ価値があるという考えから、軽量・コンパクトなハイブリッドシステムであるIMAの進化とともに、お求めやすい価格の実現に取り組み、インサイト、CR-Zそして昨年10月にはフィットハイブリッドを発売し、その普及に努めてきました。

環境負荷低減への選択肢としてハイブリッド技術の普及はさらに進むものと考えていますが、今後はハイブリッド車であることだけでなく、燃費性能の高さ、走りの気持ちよさ、そしてお求めやすい価格といったより現実的な競争力が求められると思います。そのためHondaでは、燃費性能の向上に不可欠なガソリンエンジンの進化、そしてバッテリー技術の進化に取り組んでおり、2012年をめどに、ガソリンエンジンとトランスミッションのラインアップの刷新、中型以上のモデル向けのプラグインハイブリッドの発売に向けて開発を進めています。

この他にも、燃料電池電気自動車で培った技術を活かした「バッテリーEV」、欧州向けの小型ディーゼルエンジンの開発を進めており、Hondaが経営資源を集中して取り組んできた先進環境技術開発の成果を、今後、商品として具現化してまいります。

世界的な小型化へ向けてスモールカー強化

世界的な小型化への対応としては、日本国内では軽自動車の強化、アジアではタイやインドで2011年に発売予定の新型小型車BRIO(ブリオ)の開発を進めています。

軽自動車については、2010年の日本国内の新車販売台数のうち登録車が約323万台、届出車(軽自動車)が約173万台と、新車市場の3割以上を占めています。今後もガソリンの問題などから小型化へのお客様ニーズが高まることが予想され、国内市場では軽自動車の競争力をいかに高めていくかが重要な課題であると考えています。

こうした動向に対応するため、Hondaはかねてより軽自動車のエンジン、トランスミッション、プラットフォームの刷新を進めており、まもなくHondaらしい軽自動車として商品化できる見込みです。

2011年に発売したBRIOについては、タイでは高い燃費性能を達成したエコカーとして発売し、アセアン域内への輸出も行う予定です。インドにおいては、エントリーカーとして投入する予定です。小型車市場が急拡大している新興国で勝ちぬくためには、何よりも「低価格」であることが重要であり、アジアの二輪事業で培ってきた現地化のノウハウを活用し、競争力を高めてまいります。

汎用事業及びその他の事業

エネルギー創出商品の開発・普及の取り組み

Hondaの汎用事業は、建設機械や農業機械などのパワーユニットである汎用エンジンを中心に「生活に役立つチカラ」を提供しています。これらの商品は新興国では二輪車以上に人々の生活に欠かせないものであり、各国の経済成長が続くなかで市場の拡大が期待されます。たとえばアフリカ市場では発電機の需要が拡大していますが、Hondaでは中国やインドの生産拠点を最大限に活用し、魅力ある商品を低価格で提供することで、販売拡大に取り組んでいます。

さらにインドでは、従来の発電機に加え、医療器具などの精密機器にも対応可能で、高い技術力が必要な「インバーター発電機」の生産をインド国内で初めて開始。中国では、日本メーカーとして初めて「小型耕うん機」の現地生産を開始するなど、新興国の需要に応じて、Hondaが培ってきた技術やノウハウを活かし、お客様の期待に応えるとともに新市場を開拓してまいります。

また、「太陽電池パネル」や「家庭用小型コージェネレーションユニット」などのエネルギー創出商品については、汎用事業の新たな柱として開発・販売に積極的に取り組んでいます。

「環境意識の高まり」と「経済構造の変化」という大きな時代変化の中、Hondaが生き残るためには、これからの10年が勝負となります。Hondaでは先進環境技術を進化、新興国事業の強化、小型車の競争力強化を中心に、Hondaらしいものづくりを再強化することで新たな飛躍をめざしてまいります。

株主の皆さまへの利益の還元

Hondaは、グローバルな視野に立って世界各国で事業を展開し、企業価値の向上に努めています。成果の配分にあたっては、株主の皆さまに対する利益還元を経営の最重要課題のひとつとして位置づけており、長期的な視点に立ち連結業績を考慮しながら配当を実施するとともに、資本効率の向上および機動的な資本政策の実施などを目的として、自己株式の取得も適宜実施してまいります。

当年度の配当金につきましては、期末配当金を1株当たり15円、年間配当金では、第1四半期末配当金12円、第2四半期末配当金12円、第3四半期末配当金15円と合わせ、54円といたしました。

次年度の配当金につきましては、各四半期末における配当金を1株当たり15円、年間では6円増配の60円とする予定です。今後とも株主の皆さまのご期待に沿うべく努力をしてまいります。

Hondaは、働く一人ひとりが、高い志を持ち、お客さまの喜びの実現という夢に向かって、常により良い明日を見つめて進歩と成長を望み、未来を開拓している企業です。その私たちが今、目指しているのは「世界中から存在を期待される企業」です。これからも夢を力に、社会の期待に応え、お客さまに喜び、感動、満足を提供するために、Hondaらしい先進創造にチャレンジしてまいります。

株主ならびに投資家の皆さまには、今後も長期にわたり、Hondaの事業運営に対するご理解、ご支援をいただけますよう、心よりお願い申し上げます。

2011年6月24日
代表取締役社長 社長執行役員
伊東 孝紳