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CEOメッセージ

株主、投資家の皆さまには、日頃からのご理解とご支援を賜り、厚くお礼を申し上げます。
また、お客さまはもとより、当社の成長、発展を支えてくださっている、お取引先さまをはじめ、地域社会の皆さまにも、心より厚く感謝を申し上げたいと思います。

Hondaをとりまく経済環境は、米国では雇用状況の改善、個人消費、住宅投資や設備投資の堅調な推移により、景気回復の傾向が続きました。欧州においては欧州債務危機、GDPのマイナス成長、高い失業率の継続もあり景気は低迷しました。アジアの景気は、タイは洪水からの復興需要もあり拡大が続き、インドネシアでも堅調な成長、また中国やインドでは拡大テンポが緩やかになりました。日本においては円高からの転換や株式市場の回復、雇用状況に改善がみられることや東日本大震災からの復興需要等を背景に緩やかな回復傾向となりました。

このような中、当年度の連結売上高は主に東日本大震災やタイにおける洪水被害からの回復による四輪事業の売上高の増加、為替換算による売上高の増加影響などにより、9兆8,779億円と前年度にくらべ24.3%の増収となりました。

当期純利益は3,671億円と前年度にくらべ73.6%の増益となりました。1株当たりの当期純利益は203円71銭と前年度にくらべ増加しました。

二輪事業においては、ブラジルやベトナムで販売の減少はありましたが、インドやタイなどで販売が増加しました。

四輪事業においては、東日本大震災やタイの洪水被害からの回復、新車投入効果等により、全ての地域において販売が増加しました。

汎用パワープロダクツ事業では北米地域におけるエンジン、発電機などの販売や、アジア地域におけるポンプなどの販売が好調に推移しました。

今後の取り組みについて

変化に先んじて体質改革を進め、真のグローバル化を実現する

昨今の地球規模での環境意識の高まりや新興国の成長による世界経済の構造変化は、私たちの事業活動に大きな影響をもたらしています。これまで、ものづくりにおいては欧米を中心とする先進国市場を視野に製品を開発し、その後順次、世界各地域の仕様に合わせて展開することで事業を拡大してきました。しかし、新興国の経済成長にともなう市場競争の激化、インターネットなどによる情報の広がりがお客さまのご要望に大きく影響するなど、これからは世界各地域に応じた製品づくりをこれまで以上に早く、安く展開していくことが求められています。

Hondaが今後も持続的に成長を続けていくためには、こうした変化に対応した体制・体質を作り上げていくことが不可欠です。その第一歩として、Hondaは今年4月、二輪、四輪、汎用パワープロダクツの生産機能を各事業本部に移管するなどの組織変更を行いました。各事業本部の下にものづくりを集約して意志決定や判断のスピードを早めることにより、市場の変化やお客さまのご要望に対してスピーディーかつきめ細やかな対応が可能になります。さらにものづくりに関連する部門を一元化することで生産活動の強化を実現していきます。

また、生産体制を刷新するとともに、新工場の稼働などにより生産能力の拡大および効率化を進めます。グローバルにおける調達・生産のスケールメリットを高めながら、地域によって異なるお客さまニーズに応えていきます。

時代の変化がますます強まる中、Hondaは革新的な体質向上に取り組むことでHondaブランドを高めるとともに、世界各地域のお客さまのご要望にもしっかりとお応えできる真のグローバル化を実現していきます。

二輪事業

各地域のお客さまニーズに最適な体制で成長を目指す

人々の生活の足として利用されている「コミューター」領域では、インドやインドネシアなどの大きな市場での成長を原動力に販売台数の拡大が続いています。なかでもインドでは、2012年に、最大セグメントである100ccモーターサイクル市場へ性能・価格両面で高い競争力をもつ新型モーターサイクル「Dream Yuga(ドリーム ユーガ)」を投入したことで、販売が大幅に増加しました。さらに2013年には新型モーターサイクル「Dream Neo(ドリーム ネオ)」を投入し、お客さまに新たな選択肢をご提案しています。また、2013年1月には、研究開発、生産(技術)、購買、品質部門を集約したテクニカルセンターが本格稼働を開始、2013年6月には第3工場が本格的に稼働を開始するなど、これまで以上にお客さまの期待に応えられる体制も整いました。今後も旺盛な需要が見込まれる中、さらなる拡大を目指します。

これからの成長に向けた新市場の開拓では、2013年3月、ナイジェリア、南アフリカに続くアフリカ地域3番目の拠点として、ケニアに現地法人を新たに設立しました。ケニアでは、Hondaのグローバル調達の強みを活かし、現地で簡単に組み立てられる生産体制とすることで、品質のよい製品をお求めやすい価格でご提供し、アフリカ市場のさらなる開拓を進めていきます。

この他にも、ブラジルでは、排気量の大きな製品を投入して新たなニーズを開拓し、アジアでは、成長が期待されるバングラデシュで新たに二輪事業会社を設立、ミャンマーで二輪車販売を開始するなど、地域それぞれの需要に応じ「小さく産んで大きく育てる」を基本方針としたオペレーションで事業の拡大を目指します。

グローバルの強みを活かして新たな価値を提案する

優れたコスト競争力をもつタイでは、2009年9月に生産・販売を開始した125ccクラスのスクーター「PCX」を、2010年3月より、先進国市場へも輸出しています。「PCX」は優れた環境性能と高い質感をもつとともに、アジアのコスト競争力を活かしてお求めやすい価格を実現したことで、欧州や日本などの先進国市場でも高い評価を受けており、2012年6月には150ccエンジンを搭載したモデルの輸出も始め、さらなる需要拡大に取り組んでいます。加えて2012年11月には、タイでは初めて生産する中型排気量車である新型「CB500」シリーズの生産も開始しました。アジア地域から先進国市場まで、幅広い地域向けのグローバルモデルとして輸出を予定しています。

先進国市場の「FUN」領域では、モーターサイクルの新たな可能性を追求し、開発した700ccの「ニューミッドコンセプト」シリーズとともに、ミドルクラスのモーターサイクルで新たな価値の提案を行っていきます。2013年2月には、快適技術の体感を開発コンセプトとした700ccのクルーザーモデル「CTX」シリーズを投入しました。「楽に、快適に、爽快に」乗っていただくことでモーターサイクルの魅力を体感していただくため、スタイリングや車体、エンジンなどあらゆる面で快適性を追求しています。Hondaのグローバルでの強みを活かし、新たな価値の提案とお求めやすい価格の実現により、「FUN」領域でもさらに存在感を高めていきます。

Hondaはこれからも、市場の需要に応えるだけでなく、新たな価値を提案することでお客さまの期待に応えていきます。

四輪事業

グローバルオペレーション改革で世界中のお客さまのニーズにいち早く対応する

四輪事業では、世界中のお客さまのニーズにいち早く対応できるように、競争力のあるコストでベストな仕様を実現する「グローバルオペレーション改革」に取り組んでいます。世界6地域が初期段階より同時に同レベルで開発に参画する「6地域同時開発」、各地域の調達・生産インフラを最大限に活用するとともに各地域のお客さまニーズに直接お応えする商品づくりを行う「現地最適図面」。そして2013年7月に稼働の寄居、2014年前半稼働予定のメキシコなどの新工場を小型車専用とすることで「生産効率向上」をはかり、グローバルでのスケールメリットを高めながら、地域によって異なるお客さまニーズにも応えられる体制を目指しています。

冒頭でも申し上げたとおり、Hondaを取り巻くビジネス環境は大きく変化しています。Hondaブランドを高めながら世界各地域のお客さまのご要望にスピーディーに対応できる体質へ、いち早く転換していくことが求められていると考えています。Hondaは世界各地域の研究開発体制や部品調達体制を強化することで現地開発力を高め、「6地域同時開発」「現地最適図面」を実現していきます。また、寄居やメキシコの新工場では、革新技術を投入して世界トップクラスの省エネルギー工場とするだけでなく、小型車生産を基準とした高効率な生産技術を確立し、「生産効率向上」を実現していきます。

このグローバルオペレーション改革については、2013年に発売する新型「フィット(ジャズ)」シリーズを皮切りに推進していきます。「フィット(ジャズ)」シリーズは世界各地域で販売するグローバルモデルであり、これからのHondaの四輪事業を支える主力機種のひとつでもあります。モデルチェンジの機会を逃すことなく、Hondaのクルマづくりをさらに進化させていきます。

世界各市場の需要に応じた商品の開発・投入で成長を目指す

各地域の取り組みとして、景気回復が進む北米では、2012年に発売した新型「アコード」がご好評をいただいています。これに加え「シビック」「CR-V」「オデッセイ」「パイロット」など、中核モデルの販売を一段と強化していきます。また、「Acura」ブランドでは、ブランド強化を目指して2012年からの3年間で全モデルを一新します。2013年3月に発売したラグジュアリーフラッグシップセダンである新型「RLX」は、新開発エンジンはもとより、高い旋回性と安定性を両立した世界初のPrecision All-Wheel steer(プレシジョン・オール・ホイール・ステア)を搭載するなど、多くの先進技術を採用し、優れた環境性能と走る喜びを実現しています。今後も先進技術を注ぎこみながら、Acuraらしさを磨いていきます。

中国では、現地開発力の強化を図りながら、より中国のお客さまニーズにお応えした商品を投入するなど、2013年からの3年間で、Hondaブランドで12機種のフルモデルチェンジや新機種を発売する予定です。アジアでは、アジア戦略車である「ブリオ」のプラットフォームを活用したセダンタイプや多目的タイプを追加して、多様なお客さまニーズにお応えするとともに競争の激しい低価格車市場で勝ち抜いていくことを目指します。

軽乗用車「N」シリーズがご好評をいただいている日本では、2015年までに新たに軽自動車5モデルを追加します。新型「フィット」シリーズと合わせ、圧倒的な商品力で国内市場での存在感を飛躍的に高めることに取り組みます。

また、エンジンやトランスミッションの効率向上、モーターなどの電動化技術の進化などにより、走りと燃費を高次元で両立させた新世代パワートレイン技術群「Earth Dreams technology」をさらに進化させていきます。ハイブリッド車については、燃費性能の向上に加えHondaらしいFUNを追求した1モーター、2モーター、3モーターという個性ある3タイプのシステムを機種に応じて搭載し、お客さまの多様なニーズに対応していきます。

ディーゼル車では、排気量を1.6Lへダウンサイジングした新型ディーゼルエンジンを開発し、2013年2月、これを搭載した新型「シビック」を欧州市場で発売しました。さらに欧州と同様にディーゼル車の需要が高いインドでは、2013年4月に1.5Lの新型ディーゼルエンジンを搭載した新型「アメイズ」を投入しました。低燃費はもちろんのこと、現地調達、現地生産によりコスト競争力を高め、お求めやすい価格を実現し、インド市場での競争力を強化していきます。

Hondaはこれからも、夢のある尖った商品、わくわくする楽しい商品を積極的に投入して、お客さまの期待に応えてまいります。

汎用パワープロダクツ事業及びその他の事業

ものづくり機能の一元化を進め、効率よく、お客さまの期待に応えていく

汎用パワープロダクツ事業は「技術は人のために」という創業の精神のもと、汎用エンジンをコアとして生活や仕事に役立つ多彩な製品を提供しています。汎用パワープロダクツは日本での生産に始まり、1984年にはHondaの汎用パワープロダクツ事業で初めてとなる海外工場をアメリカで建設。以降、タイ、インド、中国、フランス、オーストラリアなど世界中で生産し、2011年には世界全体の生産累計が1億台を突破しました。

また、二輪、四輪事業と同様に汎用パワープロダクツ事業でも、各地域の工場ではグローバルな生産機能に加え、研究開発機能も有し、ものづくりに関連する部門の一元化に取り組んでいます。ものづくり機能の一元化は、開発、生産のさらなる効率化を可能とし、良い商品を、早く、安く、低炭素でお届けできる体制として、今後の成長の源泉となるものと考えています。こうした取り組みを通して、各地域のお客さまの異なるニーズにきめこまやかに対応した商品を提供し、事業の拡大を目指します。

持続可能な社会を目指して、エネルギー創出分野での研究開発も推進

環境意識の高まりを背景に期待される、創エネルギー分野では、「家庭用コージェネレーションユニット」を進化させるとともに、家庭のエネルギー需給を総合的にコントロールする「Hondaスマートホームシステム」の研究開発にも力を注いでいます。「Hondaスマートホームシステム」は、家庭用コージェネレーションユニットなどを活用し生活に必要な熱と電気を家庭で創り、消費する「家産・家消」や電動化モビリティーとの電力融通、通信による相互のやり取りを目指したもので、日常生活でのCO2の低減を実現するほか、災害時にエネルギーや移動手段の確保を可能とするものです。2011年、Hondaはさいたま市が推進する「E-KIZUNA Project (イー・キズナ・プロジェクト)」に共同で推進していくことに合意し、2012年よりこのプロジェクトの一環として「Hondaスマートホームシステム」を導入した実証ハウスでの実験を開始いたしました。今後は、実証ハウスをひとつのコミュニティとし、コミュニティ内のエネルギーの融通、通信による相互のやり取りなどを検証し、最適なスマートホームの実現、スマートコミュニティーの構築を目指します。

Hondaは、今後も人に役立つ商品づくりの志を抱き、これまで培ってきた技術とノウハウを進化させ、人の暮らしや生活を豊かにする事業を展開してまいります。

株主の皆さまへの利益の還元

Hondaは、グローバルな視野に立って世界各国で事業を展開し、企業価値の向上に努めています。成果の配分にあたっては、株主の皆さまに対する利益還元を経営の最重要課題のひとつとして位置づけており、長期的な視点に立ち連結業績を考慮しながら配当を実施するとともに、資本効率の向上および機動的な資本政策の実施などを目的として、自己株式の取得も適宜実施してまいります。

当年度の配当金につきましては、期末配当金を1株当たり19円、年間配当金では、第1四半期末配当金19円、第2四半期末配当金19円、第3四半期末配当金19円と合わせ、76円といたしました。

次年度の配当金の予想につきましては、各四半期末における配当金を1株当たり20円、年間では4円増配の80円としています。今後とも株主の皆さまのご期待に沿うべく努力をしてまいります。

Hondaは、働く一人ひとりが、高い志を持ち、お客さまの喜びの実現という夢に向かって、常により良い明日を見つめて進歩と成長を望み、未来を開拓している企業です。その私たちが今、目指しているのは「世界中から存在を期待される企業」です。これからも夢を力に、社会の期待に応え、お客さまに喜び、感動、満足を提供するために、Hondaらしい先進創造にチャレンジしてまいります。

株主ならびに投資家の皆さまには、今後も長期にわたり、Hondaの事業運営に対するご理解、ご支援をいただけますよう、心よりお願い申し上げます。

2013年6月19日
代表取締役社長
伊東 孝紳