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CEOメッセージ

株主、投資家の皆様には、日頃からのご理解とご支援を賜り、厚くお礼を申し上げます。 また、お客様はもとより、当社の成長、発展を支えてくださっている、お取引先様をはじめ、地域社会の皆様にも、心より厚く感謝を申し上げたいと思います。

Hondaをとりまく経済環境は、米国では、雇用状況の改善、個人消費の緩やかな伸びや住宅投資の堅調な推移などにより、景気回復が緩やかに続きました。欧州においてはGDPのマイナス成長、高い失業率の継続もあり、景気に依然弱さは残るものの、回復の兆しがみられました。アジアの景気においては、中国では拡大が続きましたが、タイでは拡大が減速、インド、インドネシアでは拡大テンポが緩やかになりました。日本においては、雇用状況に改善がみられることや、個人消費の拡大などにより、景気は緩やかに回復しました。

このような中、当年度の連結売上高は四輪事業や二輪事業の売上高の増加、為替換算による売上高の増加影響などにより、11兆8,424億円と前年度にくらべ19.9%の増収となりました。

当期純利益は、5,741億円と前年度にくらべ56.4%の増益となりました。1株当たりの当期純利益は318円54銭と前年度にくらべ増加しました。

二輪事業においては、新車投入効果などによりインドなどで販売が増加しました。

四輪事業においては、新車投入効果やフルモデルチェンジ効果により日本、北米地域で販売が増加しました。

汎用パワープロダクツ事業では北米地域などでの販売が増加したものの、アジア地域やその他の地域での販売が減少しました。

今後の取り組みについて

事業の違い、地域の違いを認識して、お客様に最適なものをお届けする

Hondaには二輪車、四輪車、そして汎用製品等、幅広い事業領域があります。当然ながら、各事業ではお客様も市場環境も異なります。熾烈な競争が続く中で、それぞれの事業が競争力のある強い体質をもつためには、それぞれの事業環境をしっかりと把握した上で、スピード意識と高いモチベーションをもって意思決定をし、事業を推進していくことが重要です。

さらに、世界の各地域における事業についても同様のことが言えます。リーマンショックを境に世界経済の秩序が変わり、お客様の志向も大きく変わってきました。グローバルでの事業競争力を高めるとともに、地域のお客様のご要望を真摯に汲み取り、先手を打ってお応えしていくことがますます重要であり、その両立こそが、真のグローバル化であると考えています。

Hondaは「良いものを早く、安く、低炭素でお客様にお届けする」という目標を掲げ、各事業、各地域における市場環境やお客様の志向の違いを認識し、Honda全体で共有する取り組みを進めてきました。そして、開発、生産、購買が融合したものづくりを可能とする体制を進化させ、各事業、各地域のお客様にとっての最適な製品を具現化する取り組みを加速させていきます。

Hondaが目指すべき姿は、各事業、各地域で、お客様にHonda製品を選んでいただき、高いご満足を提供していくことに尽きると考えています。そのためにやるべきことを次々と探し出し、具体的な技術や商品としてお客様にお届けしていくことで、これからもお客様に存在を期待される企業であることを目指していきます。

二輪事業

性能向上とコストダウンに同時に取り組み、商品力を強化する

二輪事業では、新興国市場における「コミューター」領域での需要を背景に販売台数の拡大が続いています。なかでも世界第1位の市場規模を誇るインドでは、最大セグメントである100ccモーターサイクル市場へ競争力の高い商品を投入し、販売台数を大幅に伸ばしてきました。生産においても、2013年5月に稼働開始した第三工場の生産能力を拡大し、年間生産能力は460万台となっています。さらに今年2月、さらなる成長を見据えて第四工場の建設を決定しました。第四工場は年間生産能力120万台を予定し、2015年度下期の稼働開始を計画しています。これによりインドでの年間生産能力は580万台となります。この他にもインドネシアで第四工場の建設を進めるなど、新興国市場の旺盛な需要に応える取り組みを進めています。

また、生産能力の拡大とともに、昨今、需要が高まっているスクーターモデルの強化や燃費性能のさらなる向上など、商品力の強化にも取り組んでいます。燃費性能、環境性能の向上は、ガソリンの節約やCO2の低減を可能にし、お客様にとっても地域社会にとっても価値のあるものです。さらにものづくりにおいては、多様なモデルの個性を追求しながらも共通化できる部分は共通化し、量産効果をさらに引き出すことでコストダウンにも取り組んでいます。個性を磨き、性能を向上させながら、よりお求めやすい価格を実現することでお客様のご期待に応えていきます。

チャレンジングなものづくりでHondaブランドを際立たせる

中型・大型の二輪車を中心とする「FUN」領域では、独自の1800cc水平対向6気筒エンジンを採用したグランドツアラー「ゴールドウイング」、トラディショナルなイメージを追求したロードスポーツモデル「CB1100」、先進技術と独創のスタイリングを融合させたスポーツツアラー「VFR1200F」などを頂点にラインアップを充実させてきました。さらに今年2月には新型クルーザーモデル「CTX1300」、4月には新コンセプトモデル「NM4-01」などをラインアップに加え、多様化するお客様の嗜好に対応してきました。

FUN領域の商品は走る喜びと所有する喜びを追求した極めて趣味性の高いものであり、同時にHondaの二輪車のアイデンティティを象徴するものでもあります。そのため独創的でチャレンジングなものづくりによってHondaブランドを際立たせていくことが重要であると考えています。そこで、ものづくりをさらに高いレベルに引き上げるため、熊本製作所に開発、購買部門を集中させるとともに、今年4月より、開発、生産、購買の統括責任者を新たに任命し、スピーディーかつコンパクトな事業運営が可能な体制としました。これにより、ものづくりはもとより、仕事の進め方においてもより高いクリエイティビティを発揮できる体制となりました。

また、その体制下で、250ccから400ccクラスの中型車の開発も強化し、新興国市場で高まりつつある排気量の大きなモデルへの需要にも応えていきます。大型車に求められるアイデンティティと将来が期待される中型車への構えを備えることで、FUN領域の事業効率を一段と高めていきたいと考えています。

四輪事業

世界で勝てるコアを創出するグローバル戦略

環境意識の高まりを背景に、世界の四輪車市場では、今後ますます小型車の需要拡大が期待されています。そうした潮流の中でグローバル戦略のコアとなっているのが、グローバルコンパクトシリーズの「フィット」、「ヴェゼル」、「シティ」です。「フィット」は、2013年9月にフルモデルチェンジし、日本で発売を開始するとともに、小型車専用工場として、日本では埼玉製作所寄居工場、北米ではメキシコに第二工場を新たに建設しました。

新工場は、小型車専用に設計することで、より合理的で効率的な生産体制を構築しています。あわせて各地域の調達、生産インフラの活用に加え、グローバルでの効率的な部品調達構造をつくりあげることで、競争力のあるコストと地域のお客様のニーズにお応えする仕様を実現できる生産体制としています。小型車のものづくりを開発、生産、調達などすべての領域にわたって革新し、さらに世界の生産拠点へと展開していくことで、小型車の分野での競争力をさらに高めていきます。

また、今回の「フィット(ジャズ)」での改革を活かしながら、今後は「シビック」や「アコード」などを生産する既存工場においても生産効率の向上に取り組みます。埼玉製作所狭山工場を拠点として新たなノウハウを構築し、北米地域などの生産拠点へ展開することでHondaのものづくりをより競争力の高いものへと進化させていきます。

開発・生産・購買の融合により地域自立のものづくりを進化させる

グローバルモデルとともに、Hondaでは地域のお客様ニーズにお応えするため、各地域で開発、生産、購買を融合させたものづくりを進めています。すでに日本のNシリーズ、インドの「アメイズ」、インドネシアの「ホンダ モビリオ」、中国の「クライダー」などを発売しており、お客様から高い評価をいただくとともに販売台数の拡大にも貢献しています。

日本の軽乗用車Nシリーズは、軽自動車の比率が高まる日本市場で、Hondaの「軽」の存在感を大きく高めました。なかでも軽乗用車「N−BOX」シリーズはトップクラスの広い室内空間や優れた燃費性能などにより多くのお客様から支持され、2012年度から2年連続で軽四輪車新車販売台数No.1を獲得しています。Hondaにとってホームマーケットである日本で確固たる地位を築くことは、世界のHondaの発展のために非常に重要なステップだと考えています。日本がしっかり自立して強いリーダーシップを発信するためにも、軽乗用車Nシリーズやコンパクトカー「フィット」、「ヴェゼル」を中心に、国内販売の体質を強化していきます。

インドの「アメイズ」は、タイにある現地の研究所が中心となり開発した「ブリオ」をベースに、インド市場向けに新たに専用開発した1.5L i-DTECディーゼルエンジンを搭載したモデルです。ディーゼル車の需要が高いインド市場において、競争力のあるディーゼル車を投入したことで新たな成長が期待できると考えています。

インドネシアの「ホンダ モビリオ」は、現地で人気の高いMPV(マルチパーパスビークル)市場に向けたモデルです。現地のニーズを徹底的に調査、研究するとともに、部品の現地調達率を高めるなどの取り組みにより低価格を実現しています。

また、中国の「クライダー」は、中国専用モデルとして現地開発したことにより、現地のお客様のニーズや嗜好をより反映したモデルとして注目を集めています。中国では、今後も現地開発モデルを含め、積極的なモデル投入を予定しています。

従来の先進国市場を中心とした開発体制ではできなかったものづくりを可能としたことで、地域のお客様のニーズに合ったモデルをお届けすることができるようになり、Honda四輪事業の成長力をさらに高めています。

汎用パワープロダクツ事業及びその他の事業

新興国の低価格エンジン市場向けの新型汎用エンジンを開発

汎用パワープロダクツ事業は、汎用エンジンをコアとして、発電機、耕うん機、芝刈機、除雪機、水ポンプ、船外機など、仕事や暮らしに関わる多彩な商品を展開しています。そして多種多様な商品を世界中のお客様にお届けするため、汎用エンジンはタイや中国で、芝刈機は米国やフランスで、発電機はインドや中国で生産するなど、生産効率やコストを考慮しながら最適な拠点で生産し、グローバルに供給できる体制をつくりあげてきました。そして今後も持続的に成長を続けていくために、より競争力の高いものづくりに取り組んでいます。

そうした取り組みの成果として挙げられるのが、2013年後半より販売を開始した新興国市場向けの新型汎用エンジンGPシリーズです。Honda汎用エンジンは性能面で信頼性や耐久性が高く評価されてきましたが、その一方で、アジア地域を中心に急速に拡大している低価格商品との厳しい競争にも直面しています。このGPエンジンは、Honda汎用エンジンの特長である高い信頼性や高品質などを継承しながら、新興国のライトユースエンジン市場向けに開発しました。GPシリーズを投入することで、新興国市場の大半を占める市場での販売拡大を図るとともに、そのGPエンジンを搭載した完成機(発電機、耕うん機、水ポンプ等)を投入し、汎用パワープロダクツ事業の想いである「役立つ喜び」を世界中へ広げていきます。

新技術の開発に取り組み、Hondaらしい価値を提案する

Hondaは、「技術は人のために」という創業の精神のもと、新しい製品の創造や技術の進化に挑戦しています。

エネルギーの分野では、低炭素社会の実現に向けて、家庭内でのエネルギー創出と消費を管理し最適化するHonda独自のホームエネルギーマネジメントシステムを開発し、日本と米国で実証実験を進めています。

ロボティクス分野では、ヒューマノイドロボット「ASIMO」の研究開発から生まれた技術を活かし、量産製品への転用や応用製品の実用化にも積極的に取り組んでいます。けがや病気などで歩行が不自由になった方々や加齢などによって脚力が低下した方々の歩行の改善を支援する機器として開発を進めている「歩行アシスト」については、日本での取り組みに加えて、2013年11月より、米国シカゴのリハビリテーション専門病院である「リハビリテーション・インスティテュート・オブ・シカゴ」で共同試験を開始しました。共同試験では、脳卒中を経験した患者の歩行改善における適合性や有効性などの検証と評価を行い、実用化に向けた開発を進めていきます。

また、2013年6月には、東京電力 福島第一原子力発電所向けに、遠隔操作で狭い箇所などで調査を行う「高所調査用ロボット」を独立行政法人産業技術総合研究所と共同開発しました。Hondaは人の生活空間で役に立つロボットとして、「ASIMO」の開発を進めるとともに、今後は防災や減災など災害への対応を目的としたヒューマノイドロボットの開発も加速させていきます。

Hondaには人の役に立つさまざまな製品があり、世界には、それらの恩恵に浴していない地域がまだまだあります。Hondaの事業を展開している市場が成熟しているということはなく、これからもHondaとして多くのお客様に貢献できると考えています。良いものをつくることがHondaの理念であり、これからも良い商品と良いサービスを世界の隅々にまで広げることに取り組んでいきます。

Hondaはこれからも世界的視野に立ち、社会から存在を期待される企業として、「自由な移動の喜び」と「豊かで持続可能な社会」の実現を目指してまいります。

株主の皆様への利益の還元

Hondaは、グローバルな視野に立って世界各国で事業を展開し、企業価値の向上に努めています。成果の配分にあたっては、株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要課題のひとつとして位置づけており、長期的な視点に立ち連結業績を考慮しながら配当を実施するとともに、資本効率の向上および機動的な資本政策の実施などを目的として、自己株式の取得も適宜実施してまいります。

当年度の配当金につきましては、期末配当金を1株当たり22円、年間配当金では、第1四半期末配当金20円、第2四半期末配当金20円、第3四半期末配当金20円と合わせ、82円といたしました。

次年度の配当金の予想につきましては、各四半期末における配当金を1株当たり22円、年間では6円増配の88円としています。今後とも株主の皆様のご期待に沿うべく努力をしてまいります。

Hondaは、働く一人ひとりが、高い志を持ち、お客様の喜びの実現という夢に向かって、常により良い明日を見つめて進歩と成長を望み、未来を開拓している企業です。その私たちが今、目指しているのは「世界中から存在を期待される企業」です。これからも夢を力に、社会の期待に応え、お客様に喜び、感動、満足を提供するために、Hondaらしい先進創造にチャレンジしてまいります。

株主ならびに投資家の皆様には、今後も長期にわたり、Hondaの事業運営に対するご理解、ご支援をいただけますよう、心よりお願い申し上げます。

2014年6月13日
代表取締役社長
伊東 孝紳