ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論バックスイングの右手首の固定!
コツは右手の甲の使い方にある

2018.03.02

今回は右手の甲について考えてみようと思います。おそらくゴルフを練習するとき、右手の甲の使い方を意識する人はそれほど多くないと思いますが、実はそこには飛距離アップの重要な秘密が隠されているのです。

シャフトに負荷をかける

ロングヒッターは切り返しでシャフトが大きくしなるが、それはシャフトに負荷がかかっているからであり、鍵を握るのは右手首のテンションだ。

飛ばすにはクラブヘッドを十分加速させることが必要ですが、そのとき手先で振り回していたのでは限界があります。シャフトを上手にしならせることによって、力任せではなく、効率的にクラブヘッドを走らせることができるわけですね。このとき右手の甲が「縁の下の力持ち」的な役割を果たしていて、その使い方次第ではプラスアルファの加速を得ることができます。

そもそもなぜ、アマチュアがプロのようにシャフトをしならせることができないのかというと、「緩み」が大きな原因です。体が緩んでいると筋肉がバネのような働きをしませんし、シャフトに負荷をかけられないのでしなりを使うことができず、ぶつけるだけのインパクトになってしまうのです。特に手首の緩みはシャフトの挙動に直接影響してしまいます。ロングヒッターの選手はテークバックの直後にシャフトがしなりますが、これは手首が緩まず体を使ってバックスイングしているからであり、このときのしなりが切り返しで反対方向のしなりを生むわけです。ところが多くのアマチュアは手首が緩んでいるため、初動でのしなりはもちろん、切り返しでもシャフトをしならせることができないのです。プロとアマの圧倒的な飛距離差はここにあるといっても過言ではありません。

さて、「手首の緩み」とは具体的にどこかというと、右手首のことです。右手首が緩いと、動き始めたクラブに発生した慣性モーメントに押されて手首が折れてしまいます。これでも打てないわけではありませんが、右腕が縮んでクラブをインサイドに引っ張り込むような動きを誘発しやすく、飛距離という点ではデメリットになってしまうのが現実です。ですから、もしもあなたがロングヒッターを目指すなら、右手の甲を張って、押してくるクラブに負けないようにするといいでしょう。そうしている間に下半身で左への運動を起こせば、右手の甲が耐えられなくなって内側に折れますが、このようにテンションを維持した状態で折れるとシャフトに負荷がかかり、しなりが発生するのです。このしなりがダウンスイングで反転することによってクラブヘッドは加速します。

シャフトに負荷をかけてみよう

①右手の甲を張るようにして手首を固定しながら胸郭を右に回して始動すると、シャフトに負荷がかかってバックスイング方向に膨らむ。
②バックスイングで腕が上昇している間に左への重心移動を行うと上半身と下半身に動きの時間差が生まれるが、このとき手首の固定が維持されているとシャフトに負荷がかかりダウンスイング方向に膨らむ。

要は、右への運動が左への運動にスイッチするときにシャフトがしなるということで、そのとき右手首が緩いと負荷がかからずしなりが発生しないということですね。プロが「デコピン」などと表現する動作ですが、右手の指に圧がかかって跳ね返す動きが加わると、飛距離が伸びることを経験からわかっているのでしょう。とてもデリケートな挙動なので、初心者レベルで実感するのは難しいでしょうが、中・上級者になったら知っておきたいメカニズムであることは間違いありません。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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