ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論「パッシブトルク」を知っていますか?

2017.11.22

ゴルフレッスンの現場では「パッシブトルク」という言葉が使われることがあります。そのまま訳すと「受動的トルク」ということですが、スポーツの世界においては「外的な刺激による筋肉のねじれ」というような意味で使われる場合が多いように思われます。ただゴルフの場合、ティーチングプロによってこの言葉の使い方のニュアンスや説明が微妙に違ったり、道具にもトルクが発生することから、とてもわかりいくい言葉になっているのが現実ではないでしょうか。そこで今回は、この「パッシブトルク」について解説をしてみようと思います。

(イラスト左)切り返しで手元を下げてシャフトを倒すと、左腕に力を均衡させようとするトルクが働く。
(イラスト右)そのままダウンスイングで手元を下に向けて動かすと、クラブにはシャフトが起きてプレーン上に戻る挙動が発生し、フェースターンも自然に起こる。

プロゴルファーのスイングの切り返しをよく見ると、シャフトが一旦後方に倒れる選手が多いことに気付きます。シャフトが倒れた後は手元が体に引き付けられ、そこからクラブヘッドが強烈に加速しながら下りてきます。ロングヒッターに多いのですが、実はこのシャフトを後方に倒す動作にはクラブにきっちりと仕事をさせるための秘密が隠されています。というのは、例えばバックスイングがオンプレーンに上がり、クラブが完全にプレーン上にある状態として、そこからプレーンを外れないようにクラブを下ろした場合と、手を下げてシャフトを倒してからクラブを下ろした場合では、後者のほうがスピードを出しやすいのです。なぜかというと、腕とクラブにパッシブトルクがかかるからです。プレーン上を完璧になぞって下ろすよりも、グリップエンドを下げて上げる動きを入れて下ろすほうが小さな力で済み、フェースターンが自然に起こってボールもつかまるのです。

切り返しでの動きを細かく見ていきましょう。シャフトを寝かせると、それを支えるため左腕に外旋方向の力がかかりますが、これが腕のパッシブトルクです。このトルクがクラブをプレーン上に戻すように働きますので、クラブには左回転のトルクが発生し、意識的にフェースを閉じようとしなくてもインパクトでスクエアに戻るのです。それに対し、手元をボールに向かって直線的に下ろすと、クラブはプレーン上を下りてきますが、引き下ろし動作およびフェースターンにはより大きな筋肉の力を使わなければなりません。要するにパッシブトルクを利用したほうが運動効率が良いということですね。

パッシブトルクを体感するには左腕が水平なポジションのコンパクトなトップオブスイングを作り、まずはクラブをプレーン上にセットしてください。右手は離すか手のひらでクラブを支えるだけにします。次に少し手元を下げながらシャフトを倒します。このときクラブヘッドが落ちてしまわないように左腕が緊張すると思いますが、これがパッシブトルクです。外旋方向の力が働いてクラブを支えていますので、その状態のまま手元を体に引き付けてダウンスイング動作に入ると、シャフトを起こす挙動が自然に発生し、それに伴いクラブはプレーン上に戻り、フェースは閉じるわけですね。

パッシブトルクを体感する

(イラスト左)右手を離してシャフトを背中側に倒すと、ヘッドの落下を防ぐため左腕にトルクがかかる。
(イラスト右)トルクがかかった状態で手元を下に下げるとクラブが運き始める。右手は添えるだけでクラブの自然な運動を邪魔しないようにしよう。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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