ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論ダウンスイングは左脇腹から動かす!
胸郭の回し方とポイント

2017.02.23

ゴルフスイングにおいてアドレスの前傾角度をキープすることは非常に重要です。前傾を保ったままボールをとらえることができれば、クラブをライ角通りに使えますし、エネルギーロスも少ないので、飛距離と精度、ともに高いレベルのショットを放つことができます。プロとアマのパフォーマンスの違いはこの部分がかなり大きいと言わざるを得ませんが、プロですら前傾をキープするのはなかなか困難な作業であり、アマチュアでは、できている人を探すほうが難しいほどです。

なぜ、ダウンスイングで上体が起き上がってしまうかというと、体を動かす順番が間違っているからです。アマチュアは上半身主体、要するに手や腕の力で切り返してしまう場合がほとんどですが、それだと確実に前傾は崩れます。体が起き上がると共に手元も引っ張り上げられ、クラブのライ角よりもシャフトが立った状態でインパクトすることになり、こうなれば著しくショットの質は低下してしまいます。

上体が一体になると

肩と胸郭を一体にして左に回してしまうと上体が突っ込んだり、クラブが外に流れてアウトサイドインの軌道になったりという悪い挙動が起こってしまう。

前傾をキープするには欧米でいうところの「ヒップターン」、日本では「腰を回す」と表現される動きを行うことが必要ですが、それだけでは不十分。上体の動きの質も問われます。ジュニアゴルファーや若手女子プロの指導で定評のある三觜 喜一(みつはし よしかず)プロによれば、胸郭から動かすことで前傾姿勢は維持され、クラブも理想的な軌道で下りてくるそうです。胸郭とは12対の肋骨と12個の胸椎、胸骨からなる胸部の外郭で、ここを意識して動かすことでスイングのレベルは上がります。

このとき、胸郭と肩を分離して動かすのがミソで、これが一体となって動いてしまうと肩の回転に伴って腕やクラブが外に流れたり、体が起き上がってしまいます。そうならないためにはバックスイングが上がっている間に左の胸郭(左のわき腹と意識すればいいでしょう)だけを動かして切り返すことで、それができれば手や腕は理想的な位置に収まり、かつクラブは重力でやや後方に倒れることでプレーンに乗るのです。

「肩を回せ」とよく言われますが、肩を回してしまうと上体は起きやすいですし、クラブの管理がしづらく、曲がるリスクが増える、というのが最近の考え方。肩は回さず、胸郭を回すことで前傾角度はキープされることを覚えておきましょう。

胸郭から動かす

腕が上がっている間に胸郭を左方向に動かして切り返す。このとき肩は一緒に動かさず、胸郭だけを動かすのがポイント。

丸みのある背中

胸郭から動かすと前傾姿勢をキープしながらボールをとらえることができる。肩が先行しないからインパクトで背中に丸みがあるが、これはショットメーカーに共通するインパクトの形。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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