ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論「てこの原理」でヘッドを走らせる

2016.08.30

「トップは小さく、フォローは大きく」が
イマドキのスイング

この時代にゴルフを楽しもうとするならば、知っておかなければならないことがあります。それはゴルフクラブが物凄く進化しているということ。特にドライバーの進化は目覚ましく、ここ10年から15年の間に「別物」になったといってもいいでしょう。

何が変わったかというと、重さであり、大きさです。ドライバーの重量はパーシモンの時代に比べて約100グラム軽くなりましたし、ヘッドの大きさも昔は200cc以下が当たり前だったものが、いまではルール限界の460ccが標準です。さらにはシャフトも軽量化していて30gを切るカーボンシャフトさえ登場するようになっています。このため昔のドライバーは重たくて、ヘッドが小さく、短いという特性がありましたが、最新のドライバーは軽くて、ヘッドが大きく、長いという特性を持つのです。

この変化がスイングに何をもたらしたかというと、欧米のプロゴルフツアーを見れば一目瞭然。世界のトップ選手はコンパクトなトップから全力でクラブを振ってきます。インパクトで合わせるようなスイングの選手はほぼいないのです。ですからいま上手くプレーしようと思えば、まずこのことを理解することが必要です。

昔の重たい道具でゴルフを覚えたベテランゴルファーは、大きくバックスイングし右から左に体重移動してガツン!とボールを叩くというようなイメージを持っている場合が少なくありません。しかしいまの道具でその打ち方は通用しません。「軽い」ということが大きな理由ですが、何よりもそういう打ち方に合うように作られていないからです。クラブ自体がエネルギーを持っているので、スムーズかつスピーディに動かすことが機能を最大限に生かすコツなのです。

幸いなことに、イマドキのクラブを使いこなすための動作が難しいかというと、そうでもありません。その証拠に、イマドキのクラブでゴルフを覚えた子供たちはすぐ上手くなってしまいます。よっぽど変なスイングをしない限りボールは曲がらないのですから、さっとコンパクトにバックスイングして、後は思い切り振り切ればまっすぐ飛んでいってくれるのです。こんな簡単なことはありません。プロゴルフツアーが若年化したのはまさにこのせいで、「曲がる」という感覚のないジュニアたちが試合でクラブをブンブン振り回し、目覚ましい成績を挙げているのが現状です。

右手を支点、左手を力点に使おう

最新のクラブを使いこなすには「腕を使わない」「軸をぶらさない」などいくつか重要なポイントがありますが、今回は左右の手の役割についてお話ししたいと思います。結論から言ってしまうと、右手を支点、左手を力点に使うとクラブをうまく操作することができます。

自己流でゴルフスイングを覚えると、100%といっていいほど右手主体でクラブを操作しようとするものですが、これが間違いのもと。右手を力点にしてしまうと、ダウンスイングで手首のタメがつくれないので、クラブヘッドを十分に加速させることができません。

プロがどのようにヘッドを走らせているかというと、トップオブスイングでできている手首の角度をキープしたまま下ろしてきて、インパクトの直前でその角度をリリースします。この動作を右手主体ではなく、左手主体で行っているのがミソで、手首の角度がキープされている、いわゆる「タマっている」状態から、左手を引き上げることでヘッドが下りてくるのです。このとき左手が力点、右手が支点、そしてヘッドが作用点です。「てこの原理」を使うことで、小さな力で大きなエネルギーおよびスピードを生み出しているわけですね。
(※タメに関してはこちら

この動作ができていないゴルファーにはピンとこないかもしれませんが、ここを理解し、そのメカニズムをスイングに採り入れない限り、本当に上手なゴルファーにはなりません。コースがやさしかったり、その日たまたまボールのライがすべて良かったりすればいいスコアが出るかもしれませんが、右手主体のゴルファーがもれなく持っているアーリーリリースだと基本的に沈んだボールは打てないので、そこそこ上手くなったとしても、そこから伸び悩んでしまうのです。

ゴルフスイングにおける
「てこの原理」

右手の親指と人差し指でグリップをつまみ、そこを支点にクラブを動かす。左手でグリップエンドを小さく動かしただけで、クラブヘッドは大きく動く。

右手を使わなくても
ボールは打てることを体感する

ゴルフスイングに内包される「てこの原理」を体感するためには、右手が効かない状態でスイングしてみることが必要です。いつものようにグリップしたら右手の親指と人差し指以外をグリップから離します。そしてこの2本の指を支点にクラブヘッドを動かしてみましょう。

小さくバックスイングし、手首に角度ができているのを確認したら、その角度をキープしたまま左手でクラブを引き下ろしましょう。左手が右ポケットの前あたりにきたら、右手の親指と人差し指を支点にして左手を引き上げます。クラブヘッドが作用点になって下りてきますから、インパクトを迎えた後は左手で操作してグリップエンドを目標方向と逆に動かしてください。そうすることによってヘッドがターゲット方向に加速します。

右手の2本の指でクラブをつまむように持ちボールを打つことで、「てこの原理」を働かせながら、左手でクラブを操作する感覚がつかめるはずです。右手で普通に握ったときにも「てこの原理」で打てるようになれば、腕を大きく振り上げなくてもヘッドを走らせることができるので、バックスイングが自然にコンパクトになります。

右手の運動量は少ない

A:右手でつまんでいる部分を支点にしながら、左手でグリップエンドを上に引き上げるとクラブヘッドが下りてくる。
B:左手でグリップエンドを目標と逆方向に引くと右手を使わずにクラブヘッドが振り出される。

この動作は最新クラブのみならず、昔から変わらないゴルフスイングの基本動作なので、ぜひともマスターしたいところです。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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