ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論なぜ上手くなる?
左打ち練習が効果的な理由

2015.08.28

あなたがゴルファーなら、一度ぐらいクラブを逆方向に振ったことがあると思います。いわゆる「逆打ち」ですね。右打ちなら左で、左打ちなら右で、するとけっこうカッコよく振れたりして、「こっちでやったほうが上手くなりそうだ」なんて半分本気、半分冗談で言いながら苦笑いするものです。

フィル・ミケルソンは右利きだが、子どもの頃向かい合って打つ父親のスイングの真似をしていたことで左打ちになったという。「逆打ち」をするとダウンスイングで肩が開かなくなり、手首のタメも作りやすいから、ミケルソンがトッププレーヤーになることのできた一因といえるだろう。

フィル・ミケルソンは右利きだが、子どもの頃向かい合って打つ父親のスイングの真似をしていたことで左打ちになったという。「逆打ち」をするとダウンスイングで肩が開かなくなり、手首のタメも作りやすいから、ミケルソンがトッププレーヤーになることのできた一因といえるだろう。

なぜ逆打ちだとうまく振れるかというと、大きな理由は2つあります。
1つはターゲットに近いほうの手を動力にクラブを振れるからです。たとえば右利きの場合には、どうしても右手主体でクラブを振りたくなりますが、これが間違いのもと。体の右サイドが前に突っ込んだり、手首のコックが早くほどけたりなど、うまく打てない要因が数多く生じてしまいます。「右手で打つ」というレッスンは昔からありますが、それは左手をしっかりと使えていることが前提になければならず、右手だけで叩いてもボールは曲がるだけでしょう。ターゲットに近い手を主体にすると、体幹を使ってクラブを振るので、パワーが出ますし、いつも同じところにクラブが戻ってくるのでミート率が上がるのです。

理由の2つめは、肩が開かなくなることです。ここが大事なところで、右利きの人が右手で振るとインパクトで肩が開いてしまうのです。これは最悪で、アウトサイドイン軌道を誘発してスライスしますし、左にボールが飛んでしまうということにもなります。いずれにせよプロレベルのゴルファーで肩を大きく開きながら打つ人はいないわけで、ここがプロとアマの大きな違いともいえます。

実際に逆打ちしてみるとわかりますが、肩は開きませんし、何よりも体がバタバタと動きません。最初は当たらないかもしれませんが、それはフェースが開いてしまうからであり、開かないようになればうまく打てるようになります。

さて、逆打ちの最大のメリットはゴルフスイングのエッセンスが理解できることでしょう。利き腕と逆の腕を動力にしたほうが遠心力を生かしてスムーズに振れることや、物理的にダウンスイングでクラブフェースは開きやすいこと、インパクトで肩が開かなければヘッドが走りボールもつかまること、これらはボールを打つためのコツですし、これらを体感し、いつもの打ち方にフィードバックすることが上達につながるのです。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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