ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論ドローボールを打つときフェースは開く?閉じる?

2015.05.28

先日プロゴルファーの友人からこんな話を聞きました。ツアープロ仲間数名と居酒屋で夕食を食べていたとき、ドローボールを打つ場合にフェースを開くか閉じるかで議論になったそうです。私の友人が「ドローを打つときってフェースはオープンだよね」と言ったら、仲間の一人は「いや、ドローのときはフェースを閉じるでしょ」と譲らなかったそうです。それを発端にああでもないこうでもないと激論が交わされたとのことですが、正解を言うと私の友人が正しいのです。

もちろんフェースを閉じてもドローボールは打てます。インサイドアウトの軌道でフェースを閉じて当てればいいのです。しかし低くて曲がりの強い弾道になるので、それほど使い勝手がよくありません。林の中から木の枝に当てず低く打ち出してフックをかけるときぐらいしか必要のないテクニックでしょう。インサイドアウトの軌道に対して、フェースを開いて当てるのがイマドキのドローボールの打ち方です。

たとえばクラブの軌道が4度インサイドアウトだとすると、フェースが4度開いた状態で当たるとターゲットの右に飛び出すストレートボールになります(プッシュともいいますが…)。フェースの向きが4度よりも閉じていればボールはフック回転し、軌道とフェースの向きの差が大きいほどフック回転が強くなります。フェースが4度よりも開いていればどうなるかというと、この場合はスライス回転になります。右に飛び出てから右へ曲がる球ですからゲームでは使えませんね。

クラブの軌道が4度インサイドアウトの場合、インパクトでフェースが3度右を向くと弾道はドローボールになる。

クラブの軌道が4度インサイドアウトの場合、インパクトでフェースが3度右を向くと弾道はドローボールになる。

4度インサイドアウトの軌道に対しフェースの向きが2度左を向くと、左に飛び出て大きく曲がる弾道になる。

4度インサイドアウトの軌道に対しフェースの向きが2度左を向くと、左に飛び出て大きく曲がる弾道になる。

ドローボールとはターゲットの右に飛び出して左に戻ってくる弾道であり、クラブの軌道がインサイドアウトであることが条件となります。このときインパクトでフェースの向きがスクエア(ターゲットを向いている状態)だとターゲット方向に飛び出してから曲がる球となり、ドローボールとはいえません。またフェースが閉じているとターゲットの左に飛び出してさらに左に曲がる、いわゆる「チーピン」になってしまうんですね。

フェードボールを打つ場合は逆に、アウトサイドインのクラブの軌道に対してフェースが閉じて当たると左に飛び出て右に戻ってくる弾道になります。軌道が4度アウトサイドインだとすると、フェースの向きが4度左を向いていれば左へのストレートボール(プルともいいます)。0度より大きく4度より小さければフェードボールになるわけですね。

このように、左に曲げたいときにフェースを閉じて当てると、いきなり左に飛んでしまったり、フックが強すぎてターゲットに飛ばすことが難しくなります。つまり実際のプレーで使えるかどうかという視点に立てば「ドローを打つときはフェースを開く」が正しいのです。最新のティーチング理論でもクラブの軌道とフェースの向きを揃えることがセオリーとなっていて、「軌道が右向きでフェースが左向き」、あるいは「軌道が左向きでフェースが右向き」は危険な症状とされています。つまり左に曲がる球を打つ場合はインサイドアウト軌道でフェースは開く、右に曲がる球を打つ場合はアウトサイドイン軌道でフェースを閉じる、このルールを守っていれば極端なミスショットは出にくいというわけですね。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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