ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論うまく打てたのになぜ?
ショートアイアンが右に出る理由

2015.04.28

ピンまで120ヤード、ショートアイアンでうまく打てたのにもかかわらず、ボールはグリーンの右に外れてしまった。そんな経験ありませんか?
「あれっ!? ベタピンだと思ったのにグリーンにも乗らないの?」
ピンに対してまっすぐ構え、スムーズに振り抜けたはずなのになぜ? と不思議に思うのはもっともなのですが、これには理由があります。打ち出されるボールは必ずしもスイングした方向に飛ぶとは限らないのです。

なぜそういうことが起こるかというと、ショートアイアンはボールを上から下への軌道、すなわちダウンブローにとらえるからです。
もしも軌道の最下点でとらえれば、ボールはスイングした方向に飛びます。しかし、ダウンブローあるいは下から上のアッパーブローにとらえると、クラブを振る方向とボールの飛び出す方向にギャップが出てくるんですね。

このことはスイングプレーンとクラブの軌道を3次元的にとらえればすぐに理解できます。スイングプレーンを円形のお皿だと考え、その平面がターゲットであるピンに向いているとしましょう。
ボールをスイングプレーンの最下点でとらえた場合、インパクトでのフェース面はターゲットを向きます。しかしクラブヘッドが下降している間にボールをとらえた場合、クラブヘッドの軌道およびフェース面はターゲットの右を向くのです。

もしわかりにくければ、CDやDVDのような円盤状の物体を斜めに倒してスイングプレーンに見立て、その上にペンなどまっすぐなものを当ててみてください。
ペンを下向きに当てると、ペンの先端は平面の向いている方向の右を差すことがわかるでしょう。下向きの角度が急になればなるほどペンは右を向きますし、角度が緩やかになればなるほど、ペンが向いている方向は平面の向いている方向に近づき、水平になったときに平面とペンの向いている方向が一致します。

スイングプレーンに見立てた円盤状の物体にペンなどのまっすぐな物を当てると、クラブを振る方向とボールの打ち出し方向の関係が理解しやすい。

A:スイングプレーンに見立てた円盤状の物体にペンなどのまっすぐな物を当てると、クラブを振る方向とボールの打ち出し方向の関係が理解しやすい。

B:スイングの最下点でとらえるとターゲットラインとボールの打ち出し方向が一致する。

C:ダウンブローにとらえるとターゲットラインの右にボールが打ち出される。

D:アッパーブローにとらえるとターゲットラインの左にボールが打ち出される。

実際のショットでもこれと同じ現象が起きていて、ダウンブロー傾向が強くなるほどスイングプレーンの右にボールが飛び出します。ショートアイアンはその最たるものですから、ボールはけっこう右に飛び出すわけで、そのぶんターゲットの左に振り抜いていく必要があるのです。
プロのアイアンショットのターフ跡がピンの左を向いていることが多いのは、こういう理由からなんですね。

ちなみにアッパーブローでとらえるドライバーショットは逆に、スイングした方向の左にボールが飛びますので、ターゲットの右に振り抜いていくのがイマドキのセオリーです。

ショートアイアンはスイングプレーンを左に向ける、つまり左に振り抜いていくことでターゲット方向にボールが飛び出す。

ショートアイアンはスイングプレーンを左に向ける、つまり左に振り抜いていくことでターゲット方向にボールが飛び出す。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

「ゴルフ理論」の記事一覧へ