ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論視覚がゴルフに与える影響は?

2014.12.25

人間の五感とは視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚をいいますが、約80%の情報を視覚から得ていると言われています。目をつぶって物を食べると、それがリンゴなのかジャガイモなのかがわからなくなるなど、視覚というものは人間の情報収集において、大きなウエイトを占めているのです。

当然のことながら、運動においても視覚の重要度は極めて高く、目を開けていれば片足で立つことは簡単ですが、目をつぶった途端に難しくなります。これは主に目からの情報によってバランスをとっているからなんですね。

ゴルフにおいても視覚は非常に重要です。ボールを打つときには、自分とボールの距離を視覚が把握しながら、クラブヘッドをボールのある場所まで持っていきます。最初はボールまでの距離感がわからずクラブフェースをボールにうまく当てることができなくても、練習するうちに視覚がボールまでの距離を正確に把握し、ジャストミートできるようになります。これが「上達する」ということなんですね。

ところが、視覚に頼り過ぎるあまり、視覚が変化すると思うようにボールを打てなくなるということが起こります。プロゴルファーが歳をとると成績が出なくなるのは、飛距離が落ちるからだけでなく、こうした視覚の変化による部分が大きいといえるでしょう。

また、バックスイングが思ったところに上がらないのは、それを目で確認できないからです。自分を客観的に見ることができれば、完璧なトップのポジションを作ることは比較的簡単でしょう。しかし実際は、地面のボールを見ながらバックスイングを上げるので、自分では完璧なトップが作れたと思っても、オーバースイングだったり、クラブが外に上がっていたり、というようなことが起こるのです。

自分では完璧なトップだと思っても、人から見ればカッコ悪くなってしまうのは、どこにバックスイングが上がったか目で確認できないから。

自分では完璧なトップだと思っても、人から見ればカッコ悪くなってしまうのは、どこにバックスイングが上がったか目で確認できないから。

このように、ゴルフは視覚に大きな影響を受けているわけですが、その反面で、いつまでも高いレベルでパフォーマンスするためには、視覚に頼らずとも動けるようにしておくことが必要です。

たとえば目をつぶってクラブを振るのはとてもよい練習です。クラブがどこに上がって、どのように下りてくるのかを感じながら体を動かせるようになれば、視覚に惑わされることがなくなるからです。自分の目の状態や、天気や時間帯による太陽の光によってボールの見え方は変わりますが、視覚に頼らない部分でスイングを把握しておくと、そのような変化に影響を受けずにボールを打つことができるのです。

アマチュアゴルファーのほとんどが「手打ち」だと言われます。なぜ手打ちでもボールが打てたり、それこそ70台のスコアを出せたりするのかというと、練習を積むことによって、視覚でボールとの間合いを把握しながら手でクラブヘッドをボールとコンタクトさせる能力が磨かれるからです。しかしこういうスイングのシステムは、視覚の変化に影響を受けやすいですし、手でクラブを下ろすと通り道が無限にあるので、アドレスした後、目をつぶってしまったらまったく打てなくなります。一方、プロゴルファーが目をつぶってもボールを打てるのは、体を主体にしてクラブを上げ下げするからで、ここにプロとアマのスイングメカニズムの大きな違いがあるといえます。(→「手打ち」って何? ~自分が手打ちかどうかを知る方法

このように、視覚はゴルフにとって非常に重要ですが、頼り過ぎるとアスリートとしての能力が退化してしまう危険を孕む諸刃の剣です。そのことをよく踏まえた上で、視覚を有効に使える方法を考えてみてください。そうすればレベルの高いゴルファーになることができますよ。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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