ゴルフ理論

スコアアップにつながるゴルフ理論「手打ち」とは?ダメな理由や自分が手打ちかを確認する方法

2010.08.31

ゴルフ雑誌やレッスン本などを見ると、やたら
「手打ちはダメ!」
って書いてありますよね。
「手打ちでは飛ばない」「手打ちだと曲がる」etc.どうやら手打ちはゴルフにとって大敵のようです。
しかし実際問題、手でクラブを持ってボールを打つわけですから、手打ちを文字通り「手でボールを打つこと」と定義してしまうと、そこに込められた本当の意味を理解することはできません。
そこで今回は「手打ち」について解説してみたいと思います。

回りくどい話は抜きにして、簡単に言ってしまうとゴルフにおける手打ちとは、
「体のターンと腕が同調していないスイング」
のことを言います。
まず体のターンがあって、それに同調して腕が振られるのが本来あるべきスイングの姿ですが、手だけでボールをとらえようとするあまり、体のターンと関係ないところで腕が振られてしまっているのが手打ちのスイングなのです。

やっかいなことに、多少力のある男性なら手打ちでもボールをそれなりに飛ばせてしまいます。
ですので、自己流でゴルフを覚えた男性はほぼ手打ちのプレイヤーだといってもいいでしょう。
しかし手の力だけでクラブを振ると、運動の主体が上半身にあることになり、バランスが非常に悪くなります。打った後によろついてしまうアマチュアが多いのは、下半身が動いていないのに上半身ばかりを動かすからで、このような打ち方では当然のことながらミスが多くなるのです。

クルマに例えると、手打ちは後輪がパンクしているFF車(前方に積んだエンジンで前輪を回して走るクルマ・操舵も前輪で行う)のようなものです。下半身を使わずに手でクラブを振って、同時に操作も行うわけですから安定するはずがありませんよね。
また後輪(下半身)が動かないのですからまともに走ることもできません。ゴルフスイングは下半身が動力となって体をターンし、手は操作をするだけというのが理想の状態ですから、FR車(前方に積んだエンジンで後輪を回し、操舵は前輪で行うクルマ)をイメージしたほうがうまくいくと思います。
厳密に言うと動力は体の中心(股関節)にあって、手も足もエネルギーを持った状態で動くのが究極の状態なので、ゴルフで頂点を目指すならミッドシップ(エンジンを車体中央に積んでいるクルマ)の4WD(前輪と後輪が両方駆動すること)をイメージするといいでしょう。

というわけで手打ちは非常によろしくないのですが、このコラムを読んでくださったみなさんのために、自分が手打ちかどうかを知る方法を紹介しておこうと思います。
それはとても簡単な方法で、スローモーションでボールを打つだけです。
いつものスイングでボールを打つのに2秒かかるとしたら、少なくともその3倍の6秒はかけてください。ただスイングのスピードを落とすのではなく、テークバックからフィニッシュまで一定のスピードで動くのがポイントです。

実際にやってみるとわかりますが、ふだん手打ちの人はゆっくりスイングできませんし、ましてや一定のスピードでクラブを振ることは不可能なのです。なぜならふだん手でボールを弾いているために、インパクト付近でクラブのスピードを落とすことができないからなんですね。

おそらくほとんどの人ができないと思いますが、上手くなるには「できない!」と諦めるのではなく、できるまでやるしかありません。
体と腕を同調して動かせるようになればゆっくりと等速にスイングできるようになりますし、フェースにボールを乗せてターゲットに運ぶようなイメージが出てくるはずです。

われらが宮里藍プロもトーナメントの練習場で1分以上かけて1スイングを行っていたりするなど、スローモーションスイングは古くから伝わる効果的な練習方法なので、ぜひトライしてみてください。


Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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