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ゴルフの雑学・マメ知識2019年ゴルフルール大改正|革新的な変更案の内容とは?

2017.04.06

今年(2017年)の3月1日にR&A(ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ・オブ・セントアンドリュース)とUSGA(全米ゴルフ協会)が「ゴルフ規則を近代化するための変更案」を発表したのですが、その内容がけっこう革新的なので今回はJGA(日本ゴルフ協会)のホームページに掲載されているその主要な部分を紹介しようと思います。

●「球が動いた」の罰の免除や軽減
パッティンググリーン上でうっかり球を動かしてしまったり、林やラフで球を捜索しているときに球を動かしても罰がなくなります。故意に球を動かしたことが「ほぼ確実」な場合を除いて、プレーヤーは球を動かしたことについての責任を負うことはありません。

●パッティンググリーンの規則の緩和
旗竿を立てたままパッティングをしてカップインさせることが可能になります。またプレーヤーはパッティンググリーン上のスパイクマークやシューズによって作られたそのほかの損傷、動物による損傷やその他の損傷を修理することができ、単にパットの線に触れることについて罰はありません。

●「ペナルティーエリア」(現在は「ウォーターハザード」と呼ばれる)の規則の緩和
現在、赤や黄色でマークされたペナルティーエリアは、水域に加えて砂漠、ジャングル、溶岩石などを扱います。ラテラル救済が認められる赤で示されたペナルティーエリアが拡大され、ペナルティーエリアでルースインペディメントを動かしたり、地面や水に触れても罰はなくなります。

●バンカーの規則の緩和
バンカー内でルースインペディメントを動かしたり、一般に手やクラブで砂に触れても罰はなくなります。ただし、クラブをソールしてはいけないことはそのままです。また、バンカー内のアンプレヤブルの球について、2打罰で球をそのバンカーの外側からプレーすることを認める追加の選択肢が加えられました。

●プレーヤーの誠実さに頼る
ビデオ映像による証拠が後になってその誤りを示したとしても、箇所、地点、エリアや距離を推定したり、計測する場合のプレーヤーの「合理的な判断」が支持されます。また、球を確認するために拾い上げたり、損傷しているかどうか確かめるために拾い上げる場合の告知の手続きが削除されます。

●プレーのペースの支援
紛失球となるための捜索時間が5分から3分に短縮されます。準備ができた者から打つ「レディーゴルフ」がストロークプレーで肯定的に奨励されます。ストロークをプレーするために40秒以上かけないことがプレーヤーたちに奨励され、その他の変更もプレーのペースを支援することを目的としています。

●救済を受けるときの簡略化された方法
特定の救済エリアに球をドロップして、その特定の救済エリアからプレーすることによって救済を受けられるようになります。また、地面、成長物、地面にあるその他の物のほんの少し上からドロップすることが認められます。つまり、プレースしなければほぼ自由なやり方でドロップすればいいわけです。

いかがでしょうか?かなり大胆な変更案だと感じる方が多いのではないでしょうか?もちろんこれらがそのまま採用されるわけではなく、2017年8月31日まで全世界のゴルファーからのフィードバックを受けた上で検討され、2019年1月1日から施行されることになっています。

もしこのまま施行されることになれば、現在のように選手がたびたびルールオフィシャルを呼んで競技が遅延することや、テレビの視聴者からのクレームで罰が課されるようなケースが著しく減ることでしょう。また、ルールが簡素化されることによってプレー時間が短縮されれば、ゴルフはより身近なスポーツとなり競技人口が増えるかもしれません。いずれにせよ、深刻な「ゴルフ離れ」に歯止めをかけるための施策であることは間違いなく、この歴史的な変更案が機能することは全世界のゴルフ関係者の願いです。

ただし、2019年1月1日になるまでは現行のルールが適用されますので、くれぐれもお間違えのないように。

変更案が適用されればピンを挿したままパッティングを行いカップインすることが可能になる。


Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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