マメ知識

ゴルフの雑学・マメ知識パターのフェースにはなぜ溝がある?

2014.03.28

いきなりですが、パターのフェースインサートって何のためにあるかご存じでしょうか?
イマドキのパターはフェースの表面がつるつるの状態のものは少なく、フェースに異素材のインサートが埋め込まれているか、幾何学模様の溝が刻まれているかのどちらかです。フェースに施されたこれらの細工はどういう効果があるのでしょうか。

昔のパターのフェースが加工されていなかったのは、ボールが柔らかかったからです。糸巻きボールの時代は打感が柔らかかったので、素材そのままの状態でもソフトなタッチが出せたのでフェースの加工は必要ありませんでした。しかし飛距離を求めてボールが多層構造へと進化すると、ボール自体が硬くなったことに伴って、打感もソリッドになりました。するとこれに満足せず、ソフトなタッチを求めるゴルファーの要望により、フェースインサートが誕生したというわけです。

打感を柔らかくするためにフェースインサートが考案された

打感を柔らかくするためにフェースインサートが考案された

フェースインサートには樹脂、金属などいろいろな種類がありますが、その狙いは打感と打球音を変化させることにあります。ソリッドな打感が好きな人がいれば、ソフトな打感が好きな人もいますし、カツン!と音がしたほうがタッチが出せる人もいれば、音が静かなほうがタッチを出せる人もいますので、好みに応じて素材を選べるようになっているのです。また、硬いディスタンス系のボールには柔らかい素材、柔らかいスピン系のボールには硬い素材というように、使用するボールによってインサートを変えるというのも、パターの賢い選び方でしょう。

近年は研究が進み、フェースに溝を入れることでボールの転がりが変化することがわかっています。それまでの溝はミーリング加工といって、フェースを平らにするために機械で表面を削った跡の模様が残っていたものでしたが、最近のパターはボールにオーバースピン(順回転)がかかり始めるまでの時間を短縮したり、ミスヒットしたときの誤差を減らしたりするために溝が刻まれています。

パターのフェースでボールが打ち出された瞬間に何が起こっているかと言うと、ロフトがあるためにボールはわずかに空中を飛び、着地してからオーバースイングに転じて転がっていきます。もしくは、無回転でスライドしてからしばらくしてオーバースピンがかかります。インパクトしてからオーバースピンがかかるまでに時間が短いほうが転がりが良く、ラインに乗りやすいと考えられていることから、フェースに溝が刻まれるようになったのです。また、芯を外すと転がりが悪くなることもわかっているので、上下左右に芯を外した場合にも、芯で打ったときと変わらない転がりをするよう溝の形が考えられています。

ゴルフメーカーはそれぞれ独自の素材や溝を開発していますが、これによってパッティングの精度が著しく向上したことは間違いありません。パターの形は同じでも、フェースがどうなっているかでフィーリングは違ってきますし、カップインさせられる確率も大きく変わってくるのです。

最近ではフェースに溝を刻むことで転がりが良くなったり、ミスヒットに強くなったりすることがわかっている

最近ではフェースに溝を刻むことで転がりが良くなったり、ミスヒットに強くなったりすることがわかっている

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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