マメ知識

ゴルフの雑学・マメ知識世界で最もコピーされているホール

2013.10.30

スコットランドのエジンバラ東部にあるノースベリック・西コースの15番ホールは「世界で最もコピーされているホール」と言われています。オリジナルのデザインでは185ヤードのパー3、現在は190ヤードのパー3としてプレーされているこのホールは「レダン」という別名を持ち、どういうレイアウトかというと、ティグラウンドに対して楕円形のグリーンが45度左に傾いており、グリーンの手前から奥に、さらには右から左に傾斜しています。グリーンの左手前はバンカーでガードされており、そのほかにも数多くのバンカーがグリーンを取り囲むように配置されています。

スコットランドにあるノースベリックゴルフクラブの15番ホールは「オリジナルレダン」と呼ばれ、世界中から見学者が後を絶たない

スコットランドにあるノースベリックゴルフクラブの15番ホールは「オリジナルレダン」と呼ばれ、世界中から見学者が後を絶たない

なぜこのホールが世界中でコピーされるかというと、戦略性に富んでいるからでしょう。直接ピンを狙うとバンカーにつかまりやすく、ピンの近くに落ちてもボールは弾かれ、左へと流されてしまいます。ピンに寄せるにはティショットを右に落として左へのランを計算するか、スライス回転をかけて斜面とケンカさせるしか手がありません。また、パーを取るためには、グリーンの右手前の広いスペースに止めるか、あるいは左奥まで打ってしまって上りのアプローチを残すという攻め方が考えられます。このように、数多くのオプションが存在するこのホールでのプレーは飽きることがなく、そのため、世界中のゴルフコース設計家が手本としたのです。

チャールズ・B・マクドナルドが設計したナショナルゴルフリンクス(NGLA)の4番ホールが「レダン」タイプの代表的なホール。他にも、世界一難しいと言われるオーガスタナショナルの12番パー3や、ベン・ホーガンが「アメリカで最も偉大なパー3だ」と言ったというリビエラカントリークラブの4番パー3などが有名です。

ゴルフコースのクラシック設計理論を学んだ設計家は多かれ少なかれ、自らが手がけるコースにレダンの要素を入れているものであり、パー3でなくても、①プレーの線に対してグリーンが斜めに置かれている。②グリーンが手前から奥に向かって下っている。③グリーンの手前にハザードがある。という3つの要素を満たすホールを「レダン」と呼ぶのが一般的。おそらく、みなさんがよくプレーするコースにも「レダン」を意識して造られたホールがあるのではないかと思います。

ちなみに「レダン」とは、19世紀半ばのクリミア戦争でイギリス軍が攻めあぐんだロシア軍の要塞の名前です。この戦いに参加したジョン・ホワイト・メルヴィルという軍人が、ノースベリックの15番ホールの難しさを「レダン」と表現したことから、その名が付いたと言われています。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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