マメ知識

ゴルフの雑学・マメ知識ゴルフをドラマティックにする
偉大な演出家とは?

2012.11.29

ゴルフでは「1ピン」という言葉をよく使います。「1ピン以内に寄せる」「1ピンについた」などと言いますよね。では「1ピン」とは具体的にどれぐらいの長さなのかわかりますか? 実は私にもわかりません。なぜならゴルフ規則にピン(旗竿)の長さについて明確な規定はないからです。

とはいえ、ゴルフ規則付属IVで7フィート(2.13メートル)以上のものが勧められていて、実際に使用されているのは8フィート(2.43メートル)程度のものが多いようなので、2.40メートルぐらいが「1ピン」の長さだと考えればいいでしょう。ただ風が強いコースでは極端に短かったり、打ち上げのホールで極端に長いピンが使われていることもあるので、「ピンの長さっていくつですか?」ということになると、一概にはいえない、というのが実際のところです。

ピンの長さは7フィート(2.13メートル)以上が望ましい、とされていて、実際に使われているのは8フィート(2.43メートル)程度のものが多い。

ピンの長さは7フィート(2.13メートル)以上が望ましい、とされていて、実際に使われているのは8フィート(2.43メートル)程度のものが多い。

プレーヤーにとっては、ピンの長さよりも、どこに立っているかのほうが重大問題です。ピンの位置によってそのホールが難しくなったりやさしくなったりするからです。ピンは当然カップの切ってある場所に立っているわけですが、どのような基準でカップを切る場所を決めているかというと、通常はグリーンを4分割し、日々それをローテーションさせているコースが多いようです。すべて難しい位置に切ってしまうとスコアが極端に悪くなってしまうので、難易度を1~4までに分け、18ホールで平均化するように切るのです。

通常営業ではこんな感じですが、大コンペが入っている日など、進行が不安な場合はやさしい場所に切ったり、競技会ではあえて難しい場所ばかりに切ったりします。また雨の場合はカップの周りに水が溜まらないように、グリーンの一番高い場所の斜面に切ります。

そのため天気予報は激しい雨だったのにカラッと晴れたような日は、コースの難易度はぐっと上がります。グリーンの一番高い場所は大抵奥なので、各ホールの実質的な距離が長くなりますし、斜面にあるカップの近くにはボールを止めにくいからです。というわけで、「どうして今日はこんなにスコアが悪いんだろう?」と首を傾げるような日は、ピンが立っている場所、「ピンポジション」が原因である可能性が高いんですね。

激しい雨が予想される日はカップ付近に水が溜まらないよう、グリーンの一番高い場所の斜面にカップを切る。

激しい雨が予想される日はカップ付近に水が溜まらないよう、グリーンの一番高い場所の斜面にカップを切る。

ピンポジションは難易度を決定するだけでなく、プレーの面白さを左右するので、トーナメントの最終日にはそのホールが最もドラマティックな展開になる場所にピンを立てます。たとえばオーガスタの16番パー3は左奥、18番パー4はグリーン手前の左サイドと決まっていますが、マスターズの長い歴史が結論を出した最高のピンポジションだからこそ、最終日の10番ホールから18番ホールまでの優勝争い、いわゆるサンデーバックナインが盛り上がるのです。

このようにピンポジションは、ゴルフをドラマティックにする偉大な演出家というわけですね。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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