マメ知識

ゴルフの雑学・マメ知識ツアープロの経済学

2012.07.31

華やかなプロゴルフトーナメントの世界。しかしそこで戦う選手たちの生活はけっこう過酷です。たとえばある有名男子プロの1週間のスケジュールがどうなっているかというと、月曜日の夜に試合会場に入って火曜日に練習ラウンド。水曜日にはスポンサーや関係者を集めて行われるプロアマ大会に出場し、木~日曜日までが試合です。女子ツアーはというと、火曜日に入って水曜日に練習ラウンド、木曜日がプロアマで金~日曜日が試合です。これが毎週のように続くわけですから、かなり体力を消耗します。

試合の経費がどのぐらいかかるかというと、大きなウェイトを占めるのは交通費と宿泊費でしょう。自宅から車で移動できる場合はガソリン代と高速料金で済みますが、地方で行われる試合だと、飛行機代(新幹線代)とレンタカー代がかかるため、馬鹿にならない金額になります。帯同キャディがいる場合、交通費や宿泊費は2人分かかりますし、キャディには1週間で約10万円の報酬を払います。これは予選を通る、通らないにかかわらず発生する基本金額で、上位に入った場合は賞金の数パーセントを払います。またハウスキャディをつける場合には日当が1万円程度かかります。これらの他に、1万円のエントリーフィー、ゴルフ場での飲食費、夕飯代などがかかりますので、合計すると1試合の経費は帯同キャディがいる選手で40万円ぐらいになります。男子ツアーは年間25試合ありますから、全試合に出場すると40万円×25試合=1,000万円の経費が出ていくことになります。専属のコーチやトレーナーがいればそのぶんの交通費や宿泊費、報酬などが加算されるので、超人気選手ともなれば、1試合で100万円近くかかることもあるのです。その他、シーズンオフの合宿費用などもあり、けっこう大変です。

これに対して収入はというと、賞金とスポンサー収入、取材の謝礼、それに所属先からの給料(契約料)が主なものになります。賞金は賞金総額に対しての割合が決められていて、男子ツアーの場合、優勝すると総額の20%、2位は10%、3位6.8%となっています。つまり賞金総額1億3,000万円の試合で優勝すると賞金は2,600万円ということですね。ちなみに予選落ちしてしまうと賞金はゼロ円ですから経費がまるまる赤字になり、予選を通っても最下位に近い順位だと賞金はだいたい25万円前後で、帯同キャディがいる場合は赤字になります。

ゴルフメーカーやアパレルメーカーとの契約料は、選手の人気や知名度によって決まります。クラブ契約ではキャディバッグにそのメーカーのクラブを入れなくてはならない本数が決まっていて、「12本契約」がよくあるパターンです。なぜ12本かというと、契約メーカーが変わっても、フェアウェイウッドやウェッジ、パターなどは長年使っているものを変えたくない、もしくは調子が悪くなったらメーカーに縛られず自由に変えたい、という選手が多いからです。

とまあこんなところがレギュラーツアーで活躍するプロゴルファーの懐事情なのですが、大きく稼げる可能性がある反面、結果が出ないとお金が出ていくばかり、というリスクがあるのも事実。ジュニアゴルフが盛んな昨今、プロゴルファーを目指す子供たちが増えているようです。プロの世界は経済的な意味でも厳しい世界ではありますが、夢のプロゴルファーを目指して是非頑張ってください。

華やかなツアープロの世界だが、体力的にも経済的にもけっこう過酷な条件で戦っているのが実情だ

華やかなツアープロの世界だが、体力的にも経済的にもけっこう過酷な条件で戦っているのが実情だ


Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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