マメ知識

ゴルフの雑学・マメ知識ドライバーの「重心」で何が変わる?
重心深さや重心距離の意味

2012.03.30

ゴルフクラブのカタログに「低重心・深重心を達成!」といった文字が躍っているのを目にすることがあると思いますが、その意味がわかっているでしょうか?今回はクラブにおける重心の意味についてお話ししてみようと思います。

そもそも重心とは何かというと、物体に働く重力が集中して働く作用点のこと。といってもわかりにくいと思うので、クラブヘッドの重心とは「動かしたときにその挙動の軸となる部分」と理解すればいいと思います。つまりある程度ノーマルなスイングなら、重心を軸にフェースが開いたり閉じたりするし、フェースが上を向いたり下を向いたりするということです。

どのようなクラブヘッドにも重心があります。シャフト軸線から重心までの距離を重心距離、フェース面から重心までの距離を重心深さ、ソールから重心までの距離を重心高さといいます。

重心深さ 重心高さ 重心距離

これらの数値がどのような影響を及ぼすかというと、重心距離が長いとフェースが返りにくくボールの直進性がよくなります。逆に重心距離が短いとフェースが返りやすく、つかまりがよくなるのです。
重心深さはインパクトゾーンにおけるフェースの上下の向きに影響を及ぼします。重心深さの数値が大きい、すなわち重心が深いと、重さが後ろにあるわけですからフェースは上を向きやすく高弾道が打ちやすいのです。浅ければ低く抑えた弾道が打ちやすいというわけですね。また荷物をたくさん積んだトラックのように、後ろから重さが押すので直進性に優れるのも深重心のメリットです。
重心高さはボールのバックスピン量に影響を及ぼします。重心の下で打つとバックスピンが多くかかり、上で打つとバックスピンが少なくなります。低重心をウリにするクラブが多いのは、重心が低いと重心よりも上でとらえやすく、スピンのかかり過ぎを抑えることができるからです。

重心距離が長いクラブはまっすぐ動く傾向が強い

重心距離が長いクラブはまっすぐ動く傾向が強い

重心距離が短いクラブはフェースターンしやすい

重心距離が短いクラブはフェースターンしやすい

重心が深いクラブ(左)はインパクトでフェースが上を向きやすく、重心が浅いクラブ(右)はフェースが上を向く挙動が起こりにくい

重心が深いクラブ(左)はインパクトでフェースが上を向きやすく、
重心が浅いクラブ(右)はフェースが上を向く挙動が起こりにくい

重心の上で打つ(左)とボールにバックスピンがあまりかからず、重心の下で打つ(右)とバックスピンが多くかかる

重心の上で打つ(左)とボールにバックスピンがあまりかからず、
重心の下で打つ(右)とバックスピンが多くかかる

ヘッドの挙動、すなわちスイングしたときどう動くかはこれらの数値で決まります。たとえば「低重心で深重心」ならば、フェースの向きが変わらずにまっすぐ打ち抜きやすく、高弾道でスピンのあまりかかっていない、いわゆる「飛ぶ弾道」が打てるということですね。

重心位置がショットに及ぼす影響が分かったら、クラブ選びに役立てましょう。インパクトでフェースの向きが安定せずボールが右にも左に飛ぶような人は、直進性の高い深重心のクラブを使うと飛ぶ方向が安定しますし、ボールがつかまらず右にばかり飛んでしまう人は、重心距離の短いクラブを使うとつかまるようになります。ボールが上がらない人は深重心のクラブでフェースが上を向くようになりますし、逆に上がり過ぎてしまう場合は、重心がフェースに近いクラブでロフトが立つようにすればいいでしょう。

絵と文
Honda GOLF編集部 小林一人

Honda GOLF編集長のほか、ゴルフジャーナリスト、ゴルフプロデューサー、劇画原作者など、幅広く活動中だが、実はただの器用貧乏という噂。都内の新しいゴルフスタジオをオープンし、片手シングルを目指して黙々と練習中。

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