オオニベ
分類
スズキ目スズキ亜目ニベ科オオニベ属
学名
Argyrosomus japonicus
別名
ニベ、ヌベ、ミナミスズキ
分布
千葉県外房・相模湾(少ない)、土佐湾から九州南岸までの太平洋岸、瀬戸内海(少ない)、東シナ海に分布。
大きさ
最大で1.5mになる。
釣期
大型魚が接岸してサーフから釣れる12~3月が最盛期とされる。活動が活発になる春~夏はオフショアの釣りとなる。
棲んでいる場所
河口、岩礁域、砂浜、水深150mまでの大陸棚に棲む。
生活史
産卵期は9~12月で、高知県土佐湾では10~12月に仔稚魚が出現する。仔稚魚の形態や出現場所は近縁のニベ(Nibea mitsukurii)やシログチ(Pennahia argentata)とよく似ているが、近縁種の出現期は春夏季に集中しており、それらとは大きく異なる。稚魚期以降の天然海域における生態や生活史は不明な点が多いが、1980年代半ばから宮崎県栽培漁業センターが地域特産魚として人工種苗生産に取り組んでおり、飼育下での知見が増えている。飼育魚は3~4月の水温18℃以上で産卵し、天然海域とずれている。このように、飼育下の知見が天然魚にあてはまる訳ではないが、飼育魚は1年で30cm、2年で60cm、3年で80cmになる。寿命については不明だが、ヨーロッパに分布する同属の近縁種コルビナ(A. regius)では50歳という記録がある。
特徴
背・臀ビレの被鱗域は高さの1/3以下で、胸ビレ後端は背ビレ棘条部後端に達しないこと、尾ビレ後縁は二重湾入形地(W字形に中央部が突出する形)であることから、未成魚・成魚は近縁種と区別することができる。仔稚魚については形態による判別は難しいが、出現期が10~12月と固有性が高いことから近縁種との区別が可能である。
主な釣り方
宮崎県を中心とした広大なサーフでのルアー釣りが近年とみに人気を博しており、盛期には全国からマニアが集まる。大型シーバスやヒラスズキ用のタックルを流用するが、遠浅な砂浜域のためパワーとともに遠投性能を重視したい。また、波打ち際に立ち込むスタイルが前提となり、ウェーダーとライフジャケットの着用は必須である。ルアーは、バイブレーション、メタルジグ、シンキングミノーなど飛距離が出るものから選ぶ。オフショアからは、ジギングや落とし込み釣り(のませ釣り)でねらう。落とし込み釣りとは、丈夫なサビキ仕掛けに表中層でアジ類やイワシ類を食わせ、それらがハリについた仕掛けを大物のタナに落として食わせる西日本で盛んな活きエサ釣りである。いずれの釣り方でも、水圧変化に弱い本種はすぐにウキブクロを反転させて弱ってしまうので釣趣には劣る。従来の「縦の釣り」主流のオフショアの新分野として、サーフに接近させた船上からルアーをキャストするなどの「横の釣り」を提唱したい。
美味しい食べ方
ゲームフィッシュとして人気急上昇中だが、食味もよいので味わっていただきたい。旬は春から夏、透明感のある白身だが時間が経つと白濁する。シログチほど水っぽくなくて焼き魚に向き、塩焼きはもちろん西京焼き、幽庵焼きにするとよい。ソテー、揚げ物、煮つけや汁物にしても旨い。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。