ヌマチチブ
分類
スズキ目ハゼ亜目ハゼ科チチブ属
学名
Tridentiger brevispinis
別名
ダボ、ダボハゼ、ゴリ、ドンコ、カジカ、チチブ、スイツキビシ、ドブロク、バフ
  • 特 徴
分布
北海道・本州・四国・九州、壱岐、対馬の海に流入する河川に分布する。また、ワカサギなどの移植放流に混じって、奥多摩湖、芦ノ湖、富士五湖、愛知県風来湖、琵琶湖などに移入。
大きさ
最大で15cmに達する。
釣期
ねらって釣ることはないが、周年釣れる。
棲んでいる場所
河川の中流~下流域、湖沼、ため池、汽水域など、多様な水域に棲む。同属のチチブ(T. obscurus)よりも海水の影響を受けない場所に現れる傾向があり、海水の影響を受ける場所に現れる頻度は北方で多い。
生活史
産卵期は春~夏で、転石の下や石垣の隙間、ビン・缶などを雄が占拠して産卵室とする。雌が訪れると雄は真っ黒になって求愛行動し、首を振って「グルグル」と鳴く。雌は白っぽくなって産卵室に入り、主に天井に1層の卵を産みつける。一つの巣に数尾の雌が産卵することもあり、雄はふ化まで産卵室にとどまって卵を保護する。ふ化時の仔魚は2.5~2.7mmで、1ヶ月ほど浮遊生活を送り、17mm前後で底生生活に移る。淡水域で生まれ、仔魚は沿岸域で成長・着底して淡水域に戻る両側回遊魚だが、容易に陸封される。1年で成熟し、多くは1年で死亡する。雑食性で、付着藻類もよく食べる。
特徴
チチブとともにマハゼ釣りの定番ゲストで、両種は酷似しておりしばしば混同される。チチブと見分けるポイントは次のとおり。①第1背ビレが幼魚時には雌雄とも伸びず、成魚は雄のみ糸状に伸びるが、糸状部は短い(チチブでは幼魚の時から雌雄ともに伸びる)。②生時、頭側に比較的大きな白点(産卵期の雄では青みがかる)が散在する(白点が密在する)。③生時の若魚では、第1背ビレの基底から離れた上方の位置に暗赤色縦帯がみられる(暗赤色縦帯は下方にしかない)。④生時、胸ビレ基部に薄茶色の横帯があり、その中に枝分かれしたり途切れたりする橙色線がある(胸ビレ基部には黄色・橙色または青味を帯びた黄色の帯があるが、その中に橙色線はない)。なお、屋久島・種子島~琉球列島には酷似した同属のナガノゴリ(T. kuroiwae)が分布するが、本種とチチブはそのエリアに分布しない。高知県四万十川では、がらびき漁で漁獲され、佃煮にされる。
主な釣り方
マハゼ釣りの定番ゲストで、貪欲にエサに飛びつくので蔑まれるきらいがあるが、専門にねらうとなかなかに奥深いものがある。ノベザオに小さなオモリとハリ1本のシンプルなタックルで、探り釣りで数釣りをねらうと面白い。ハリは袖4号前後を用い、エサはイソメ類や貝など何でも良い。数を伸ばすにはポイントの見極めが重要。泥底よりも岩や倒木、杭などの硬い基質がある場所や礫底、流れがある河川では平瀬など、特異的に多く集まる場所がある。それらの場所を探索してピンポイントで釣り歩くのがコツ。
美味しい食べ方
幼魚が佃煮の原料として漁獲される地域があるが、それら地域でも釣れるサイズの成魚は食用として認識されていない。しかし、白身で肉質も味もよいので食べてみることをお薦めする。大きなものは生きているうちにふり塩をして塩焼きにするとよく、中小型は片栗粉をまぶしてから揚げにすると骨ごと美味しくいただける。特に小さなものは卵とじや天ぷら、吸い物の種にすると美味である。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。
  • 特 徴