キツネメバル
分類
スズキ目カサゴ亜目メバル科メバル属
学名
Sebastes vulpes
別名
ソイ、マゾイ、ハツメ、クロボッコ、タケノコメバル
分布
北海道小樽から函館、青森県から相模湾までの太平洋沿岸、山形県から九州北部までの日本海沿岸、大阪湾、愛媛県八幡浜に分布。
大きさ
最大で45cmを超える。
釣期
周年釣れるが、産仔期の春~初夏には釣れにくくなる。
棲んでいる場所
水深数~60mの岩礁域に棲む。
生活史
卵胎生で、北海道では11~12月に交尾し、雌の体内で受精卵の発生が進み、5~6月に仔魚を産む。交尾の時期は北ほど早く、産仔の時期は北ほど遅い傾向がある。1回に10万尾以上の仔魚を産み、45cmの雌が35万尾を産んだ記録がある。産出時の仔魚は全長5mm前後ですぐにエサを食べ、仔稚魚は表層に分布し、カイアシ類や甲殻類の幼生などを食べて成長する。25mm前後で藻場・岩礁や転石帯に着底するが、人工種苗では60日齢でこの大きさに達する。着底後は甲殻類や多毛類などの底生生物や魚類を捕食し、成長に伴って深場へと生活圏を広げる。最近の遺伝子解析を用いた研究から、近縁のタヌキメバル(S. zonatus)とは水深による棲み分けがなされる一方で、両種の雑種個体が一定の割合で生じていることが明らかになった。能登ではタヌキメバルの生息水深が100~150mと深いため両種の主な生息水深は重ならず、交雑の頻度は低い。一方、小樽と宮古ではタヌキメバルの生息水深が50~100mと浅くなって生息水深が少し重なり、交雑の頻度が高い。なお、交雑が生じているにも関わらずどちらの種も独自性を維持している理由については不明。
特徴
本種とタヌキメバル、コウライキツネメバル(S. ijimae)の3種は、同定が困難なメバル・ソイ類の中でも最も見分けが困難な種群である。これら3種の分類については過去80年近くにわたって様々な考えがだされたが、最新の研究では本種とコウライキツネメバルは同種とされ、本種とタヌキメバルの2種にまとまった。これら2種は、眼の下に顕著な小棘はなく、眼隔域はくぼまず平坦で、尾ビレ後縁は丸く、背ビレ棘数は12~13本、有孔側線鱗数は29~34という共通の特徴をもつ。本種とタヌキメバルは、尾ビレ後端の白色帯が非常に狭いかほとんどないこと(タヌキメバルでは白色帯は広い)、体の暗色横帯はやや不明瞭で小暗色点が密に分布すること(体の暗色横帯は明瞭で小暗色点はまばら、稀に体が一様に淡色な個体もいる)、体幅はやや広いこと(体幅はやや狭く、体はよく側偏する)で見分けられる。経済価値が高く、1990年代から北海道、青森県や岩手県で人工種苗生産が行われている。
主な釣り方
エサ釣りとルアー釣りに大別される。ルアー釣りは、磯や防波堤からの陸釣りとボート釣りに分かれるが、ともにバス用やロックフィッシュ用のタックルを用いる。どちらもライトな道具立てでねらうのが主流になっており、道糸PE0.6~0.8号に見合ったラインシステムを組む。ワームとジグヘッドの組み合わせを基本とし、根掛かりが多い場所ではキャロライナリグなどを用いる。ワームを海底近くの中層を泳がせるアクションをベースとする。エサ釣りでは、ブラクリやブラーなどオモリとハリが一体となった仕掛けにイソメ類をエサとし、落とし込みのアクションで誘うのが効果的。
美味しい食べ方
美味ぞろいのソイ類の中にあって、北海道では最も味の評価が高い。上品な白身で年間を通じて味は落ちない。刺身は皮を引かずに焼霜造りや皮霜造りにすると美味。煮つけは最も安定した定番の料理で、野菜との相性がよい。頭や骨からはよい出汁が出るので、ぶつ切りにして鍋物や汁物にすると旨い。塩焼きやソテー、フライもよい。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。