キンチャクダイ
分類
スズキ目スズキ亜目キンチャクダイ科キンチャクダイ属
学名
Chaetodontoplus septentrionalis
別名
シマダイ、タテグシ、シマイオ、キョウゲンバカマ、オトノサマ、オテラサマ
  • 特 徴
分布
山形県から九州西岸までの日本海・東シナ海、男女群島、有明海、宮城県石巻、千葉県館山湾から九州南岸までの太平洋沿岸、播磨灘、伊予灘、口永良部島、小笠原諸島に分布。
大きさ
最大で25cmになる。
釣期
ねらって釣ることはないが、6~12月に釣れることが多い。
棲んでいる場所
浅い岩礁域に棲む。
生活史
雌性先熟型の性転換を行い、雄1個体と複数の雌から成るハレムをつくって繁殖する。本州南岸における繁殖期は春~夏で、夏~秋に稚幼魚が浅い岩礁域でみられる。稚幼魚は成魚とはまったく異なる斑紋をもち、単独で岩の隙間や転石の間などに潜み広く泳ぎ回ることはない。狭い行動圏で動物プランクトンや付着動物などを捕食して成長する。満1歳までに青色縦帯が現れはじめ、行動範囲が広がって岩礁域を広く泳ぎ回るようになり、主に海綿類を食べる。満2歳までに成魚と同じ斑紋となり、すべてが雌としての繁殖能力をもつ。雄は複数の雌が生活するエリアにナワバリを構えてハレムを形成し、雄がいなくなるとハレム内で最も優位な雌が性転換して雄になる。寿命についてはよく分かっていない。
特徴
観賞魚として高い人気があるキンチャクダイ科の代表種。本科魚類は体高があって強く側偏し、美しく鮮やかな体色をもつことからチョウチョウウオ類に似るが、前鰓蓋骨の下部に強い1棘をもち、稚魚はトリクチス期を経ないことで区別される。体色は一様にオレンジ色で尾ビレで特に鮮やか。体側の全体に青色縦帯をもつことで容易に近縁他種から区別できる。本科魚類の多くは成長に伴って著しく体色と斑紋が変化することが特徴で、それゆえに観賞魚としての価値が高く、本種もその例に漏れない。稚幼魚の体色は黒く、後頭部から胸部にかけて幅広い黄色横帯をもち、背ビレ先端・臀ビレ後部先端・尾ビレは黄色い。巾着(財布)のような形がその名の由来。
主な釣り方
磯釣りのゲストとして時おり釣れる。カゴ釣りなどで深いタナをねらった際に釣れることが多いほか、ウキフカセ釣りのスルスル釣法などウキ止めをつけない釣法で仕掛けを深く沈め過ぎた時に釣れることがある。浅場にはハリ掛かりしない小型魚が多いので、専門にねらう場合は遊動ウキ仕掛けで10m以深の深ダナをねらうとよい。口が小さく引きもさほど強くないので、ハリスはフロロカーボン1.2号までとしグレバリ5号前後を結ぶ。エサはオキアミや虫エサなどが無難だが、海綿類が主食の大型魚は淡水魚用の炭水化物を主原料とした人工餌で釣れたことも。
美味しい食べ方
観賞魚のような美しい姿態のためか、本種を食する地域や食味に関する情報は調べた限り見当たらない。探究心あふれる釣り人からの食レポを、是非ともお寄せいただきたい。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。
  • 特 徴