ハゼクチ
分類
スズキ目ハゼ亜目ハゼ科マハゼ属
学名
Acanthogobius hasta
別名
ハシクイ、ハゼ
分布
有明海、八代海に分布。
大きさ
大物は50cmを超える。最大記録は64cm。
釣期
8~3月に釣れるが、大型化する1~2月が最盛期。
棲んでいる場所
内湾の砂泥底から河川感潮域に棲む。
生活史
真冬の最大干潮線、すなわち潮が最も引いた時に現れる広大な泥干潟の渚付近に、大きな開口部をもつ産卵巣を掘る。産卵巣の規模や全容は明らかでないが、開口部から垂直に60cm下に横穴があり、その天井部に卵が産みつけられる。産卵期の雄は口で巣穴を掘るために顎の筋肉が発達し、頭部を上から見ると幅広に見える。卵は飼育下で15日でふ化し、ふ化直後の仔魚は6mm。約18日間の浮遊生活を送り、10mmになるとヒレが完成し着底する。若魚は河川の感潮域で成長し、12月までは10cm前後だが、1月以降に急速に成長し、多くが20~30cmになる。一部はさらに大型化して3月には大小すべてが成熟するが、成熟期の雄は尾部の伸長が顕著で雌よりも大型になり、50cmに達するものが現れる。1年で成熟し、産卵後は死亡する年魚。着底後は多毛類、アミ類やヨコエビ類を食べ、15cmを超えるとカニ類と魚類を多く食べる。
特徴
釣り人垂涎の国内最大のハゼで、同属のマハゼ(A. flavimanus)に似るが体はより細長くはるかに大型になる。マハゼとは、尾ビレに点列がなく一様に暗色であること(マハゼは点列がある)、第2背ビレの軟条数が18~20であること(軟条数は10~15)から見分けられる。また、体色が薄くて暗色の斑紋をもたないこともマハゼとの区別点となる。国内では有明海と八代海のみに分布するが、国外では朝鮮半島西岸、渤海と黄海・東シナ海にも分布する大陸遺存種(日本が大陸と陸続きだった頃の日本~大陸の共通分布種)である。福岡県・佐賀県で漁獲対象となっている。若い個体は河口付近で操業される潮待ち網(小型の定置網)、成熟個体は河口沖の延縄や篭、干潟の手づかみ漁で獲られ、高値で取引される。1997年の諫早湾締め切り以降は周辺で漁獲量が激減し、有明海全域でも少なくなっているという。環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。
主な釣り方
河口部の突堤などから投げ釣りでねらい、カレイ・シロギス用の投げ釣りタックルが流用できる。魚体は大きいものの引きは強くないので、タックルに強度は求めなくてよい。オモリ20号前後に投げ用テンビンを介し、道糸はPE1号かナイロン3号、ハリスはナイロン・フロロ2号前後、。口は大きく歯が鋭いのでハリを呑まれないよう流線10号前後を用いる。大きなエサに大物が食うことが多いので、イソメ類や二枚貝の剝き身などを大きくつける。干潮時にウェーディングでポイントに近づければ、オモリ5号前後のちょい投げタックルでねらえる。また、大物ねらいでは夜釣りの実績が高い。
美味しい食べ方
透明でしっかりとした身質はマハゼに似ており、同様な深い旨味と味わいがある。刺身、天ぷら、煮つけなどマハゼに準じた食べ方となるが、格段にボリュームがあって食べ応えがある。ただし、鮮度落ちが早いので、現地で釣りたてを食べるのが最も美味しい食べ方である。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。
※環境省レッドリスト等の掲載種については、法令・条例等で捕獲等が規制されている場合があります。必ず各自治体等の定めるルールに従ってください。