ベニアコウ
分類
スズキ目カサゴ亜目メバル科メバル属
学名
Sebastes iracundus (標準和名オオサガ)
Sebastes flammeus (標準和名サンコウメヌケ)
別名
メヌケ、コウジンメヌケ、メヌキ、ホンメヌケ、キンキン、サガ
  • 特 徴
分布
千島列島から相模湾までの太平洋沿岸に分布。
大きさ
最大で80cmを超える。
釣期
通年釣れるが、生息水深が浅くなる初夏の産仔期に釣りが盛んになる。
棲んでいる場所
水深200~1,300mの岩礁域に棲む。生息水深は、北方ほど浅く南方ほど深くなる傾向がある。
生活史
卵胎生で、5~6月の産仔期に親魚は水深400~600mの中層に群れで浮上して3~4mmの仔魚を10~60万尾産む。通常は単独で海底に定位しているが、生息条件に恵まれた場所では群がりをつくっており、そこを通りかかった魚類やイカ類などを待ち伏せて食べる。雌の体内から産出前の仔魚は得られているが、天然海域における仔稚魚の生態、成長や寿命については知見がほとんどない。
特徴
背ビレ棘数は13本で、尾ビレ後縁は浅く切れ込み、眼の下に小棘がなく、体色は鮮やかな朱色に彩られて腹側も同じ色をしている。アコウダイ(Sebastes matsubarae)に似るが、アコウダイは眼の下に2本の小棘をもち、腹側はやや銀色を呈することで区別することができる。また、体側や頭部に大きな黒斑をもつ個体がいる。深海から釣りあげられると水圧差によって体内のガスが膨張し、眼が飛び出すことから「メヌケ」とも呼ばれる。標準和名オオサガとサンコウメヌケは形態的にも遺伝的にも差異が小さく、詳細な分類学的検討が必要である。両種ともに資源の減少が懸念されており、環境省のレッドリストではともに準絶滅危惧に指定されている。
主な釣り方
釣りでねらう魚としては最も深い場所に棲み、本格的な深海釣りタックルを用いて臨む。分布の南限である房総沖や相模湾では1,000mを超える超深海底をねらうことが多いが、北海道では産仔期に水深400~600mの中層に浮いた魚群をねらう。釣り方は、船頭の指示に従って、多数のハリがついたドウヅキ仕掛けを順番に落とす。かつてはアタリがあってもすぐに巻き上げず追い食いをさせることがコツと言われていたが、今や貴重な魚であり1尾ずつ確実に釣りあげたい。口周りが弱く巻き上げ途中で口が切れることがあるので、長い巻き上げ中に緊張感を切らすことができない。資源保護のためのローカルルールとして、ハリ数やオモリなどが制限されている場合があるので、事前に確認しておくこと。
美味しい食べ方
白身に脂が混在して白濁しており、皮と皮下には特に脂と旨味が凝縮している。多くの美食通から、魚類中で最も美味との評価が聞かれるほどである。大型のものほど脂が乗り、刺身、鍋、煮付け、漬け焼きなど、どのような食べ方にも向く。刺身では皮目の旨味を堪能するために皮霜造りがよい。あら、肝や胃袋は煮つけや汁物で美味であり、捨てる所がない。
※この図鑑は、釣り人のために作られています。
そのため魚の名称は標準和名ではなく、釣りの人の間で呼ばれている通称名が使われているものもあります。
  • 特 徴