いよいよ春到来、本格的な釣りシーズンを迎えるが、この時季に注意したいのが紫外線だ。
暖かい日差しを浴びると気持ちがいいものの、じつは春の紫外線量もかなり強力。その対策を怠ってはならない。
『紫外線環境保健マニュアル2015』(環境省)では、紫外線の強さをUVインデックスという数値で表わしているが、特に紫外線が強い正午における札幌、つくば、那覇の数値は下記のとおり。
1~2は弱い、3~5は中程度、6~7は強い、8~10は非常に強い、11以上は極端に強いことを示す。
月 | 札幌 | つくば | 那覇 |
---|---|---|---|
1月 | 1.3 | 2.6 | 5.2 |
2月 | 2.5 | 3.7 | 6.7 |
3月 | 3.7 | 5.5 | 8.7 |
4月 | 5.2 | 7.1 | 10.2 |
5月 | 6.6 | 8.3 | 11.2 |
6月 | 7.9 | 9 | 12 |
7月 | 8.6 | 10.2 | 12.2 |
8月 | 8.3 | 9.4 | 11.8 |
9月 | 6 | 7.7 | 10.7 |
10月 | 3.7 | 5.4 | 8.5 |
11月 | 1.8 | 3.3 | 6.5 |
12月 | 1.1 | 2.2 | 4.8 |
釣りをする場合、目の紫外線対策が欠かせず、どんなジャンルでも偏光グラスは必需品。紫外線だけでなく、釣りの最中に誤って飛んできたハリやルアーからも目を守ってくれる。
偏光グラスは乱反射する光を調整し、水面のギラツキを抑えて水中のようすをつかみやすくしてくれるのが最大の特徴。川で魚を見つけるときはもちろん、遡行する際に底が岩なのか砂なのか、躓くような障害物はないかといった情報も得られ安全を確保するのに重要な役割を担う。
偏光レンズにはさまざまな色があり、それに加えて濃紺もだいじな要素。色や濃さはパッと見ても分かるが、カタログなどに記載されている“可視光線透過率”でも判断できる。これは光を通す割合のことで0%から100%で表わされる。その数値が低いほど眩しさをカットしてくれるが視界は暗くなり、反対に数値が高いほど眩しさのカットは減るが視界は明るい。
レンズ選びで迷うという人は、よく行くフィールドに合うものを選ぶとよいだろう。
海や湖、船釣りのように明るく開けたフィールドであれば、視界に入るほとんどが水面で反射が多いため、色の濃いレンズがベター。
一方、森や谷など遮るものが多く、日差しが差し込みにくい渓流釣りでは、濃い色はあまり適していない。そんな場合は、なるべく周囲が明るく見える可視光線透過率の高いライトブラウンなどがマッチする。
1本(1色)ですべてのシーンに対応するのは難しく、複数そろえるのがおすすめ。釣りのエキスパートは、フィールドはもちろんだが、天気などの状況に応じてレンズのカラーを変える。それが価値ある一尾を釣ることにつながるからだ。
また、その性能をフルに発揮させるには光の侵入を可能な限り抑えたい。魚を探すときなど、しっかりと見たい場合は両手で偏光グラスの周りを包み込むようにし、余計な光の侵入を遮りたい。つばの大きな帽子を被るのも効果的だ。
偏光グラスは薄い偏光膜フィルムをレンズとレンズの間に挟み込むようにして作られているが、一般的なプラスチックレンズは表面のコーティング膜に細かなひび割れが入ったり、紫外線によってレンズが変色するため、保管やメンテナンスには気を遣いたい。
レンズの大敵は、熱・埃・薬品。これらがひび割れや変形の原因になる。釣行時に忘れないよう、クルマに置きっぱなしにしている人もいるかもしれないが、炎天下の車内に保管するのは絶対に避けたい。
細かな埃も侮ってはいけない。釣りのときに付くのは砂塵などの場合が多く、そのまま拭き取るとレンズに傷が入る恐れがある。そこで、水で洗い流してからメガネクロスなどの柔らかい布やティッシュ、もしくはキッチンペーパーで水分をしっかりと拭き取る。
また、酸性やアルカリ性の薬品にも弱い。石鹸やハンドソープはアルカリ性だったりするので、指紋や皮脂で汚れがひどいようであれば中性洗剤を使用したい。
そして、水洗いした後は室内干しし、しっかり乾燥させてからケースに入れて保管する。釣りの道具と同様に、使用法やメンテナンスしだいで寿命が伸びる。
安全、快適に釣りを楽しむために欠かせない偏光グラス。
正しい使用とメンテナンスを心掛け、釣行時は必ず掛けたい。