ニセモノのエサであるルアー(疑似餌)。当然、魚はいつも騙されてくれるわけではない。
今回は、「魚がルアーに騙されやすい瞬間」について考えてみたい。これから説明するのは代表的な例である。

① エサを食べている真っ最中

今まさに魚がエサを食べている真っ最中に遭遇できれば大チャンス。
「食事スイッチON」のときは多少ニセモノっぽいルアーでも魚は食べてくれる。
水面で小魚が逃げ惑うシーンを目撃したらドキドキしよう。
ただし、本物のエサに夢中すぎてルアーに気付いてくれない……、ということも少なからずあるので要注意だ。

海上を多数の鳥が旋回する、鳥山と呼ばれる光景だ。この直下ではイワシなどの小魚の大群が肉食魚に追われている可能性が極めて高い。小魚の群れは鳥と大型魚に追われ、大型魚は釣り人にねらわれる

② 奪い合いになったとき

ルアーに気付いて興味を示した魚が1尾ではなく複数のときもチャンス。
「(ほかの魚に)エサを取られたくない」という心理が働くからだ。ニセモノかどうか迷う余裕をもつことができない。
これは人間にも当てはまること。
買おうかどうか迷っている商品に、ほかの人も目を付けていることがわかったらどうなるか……。

2ハイのアオリイカがひとつの餌木(イカ用の疑似餌)に掛かってきた!水中で奪い合いになった結果だ
1パイずつ網に入れて御用!!

③ フィールドの状況に変化があったとき

まったく釣れないときも、わずかな変化で入れ食いになることは珍しくない。
たとえば雨や風などの気象条件。急に風が吹いたりすると、それまでヤル気のなかった魚でも急にエサを探し始めたりすることがある。
風が水面に当たることで水中の酸素量が増えたり、水面がザワザワすることで警戒心が薄れたりすることが理由だ。
そのほか、水が濁ることでルアーに騙されやすくなることも多い。
ルアーをハッキリ見ることが難しくなり、本物か否かの判断が鈍るからだ。

雨が降り濁りが入ってきた。濁ることで魚はハッキリとルアーを見ることができず、結果として騙されやすくなる。急な状況変化は好機をもたらしてくれることが多々あるのだ

④ いつもエサを食べている状況に近い演出ができたとき

ねらう魚が普段どんな風に食事をとっているかを知ることはとても大事だ。
たとえばいつも浅瀬で捕食している魚は、深いところではルアーを見切りやすいが、浅ければ躊躇なく食べてくれたりする。

また、小さな魚が常食であれば、小さくてキラキラしたルアーを好み、逆に大きなエサが好物ならば大きいルアーが効果的になる。

たとえ規模は小さくとも、滝状になっているところは「流されてくるエサ」を待ち構える肉食魚がいることが多い
砂浜の波打ち際。浅くて「こんなところに魚いるの?」と思われがちだが、肉食魚が小魚を追い込む場所として利用しているためヒット率が高い
普段小さなエサを追っているアジねらいでは小さなルアーが効果的
マゴチ。底に張り付いてエサを待ち伏せする魚なので、底付近を泳ぐエサを襲いやすい

今回紹介した4つはあくまで代表例。このほかにも「魚がルアーに騙されやすい瞬間」はあり、それを探すことがルアーフィッシングの醍醐味のひとつである。
こうして振り返ると、人間に近い部分が多いと思うのだがどうだろう……?

※このコンテンツは、2017年8月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。