西伊豆 海釣り&渓流釣り西伊豆 海釣り&渓流釣り

海も川も、一日中遊ぶ。
夕景と河津大滝を巡る旅

伊豆半島の観光地といえば、東側の熱海や伊東、
あるいは内陸部の修善寺などがよく知られる。
一方で西伊豆は、大きな街もなく静かな港が点在する風光明媚な地。
西伊豆スカイラインを抜けて南下すると、
「伊豆の松島」と称される堂ヶ島が見えてくる。
波の浸食によって削られた岩と、そこに根を張った松。
夕日に赤く染まったこの堂ヶ島の景色は、
天気に恵まれた日、ほんのわずかな時間しか見ることができない。

旅の初日は、青空が広がった。沼津からクルマを走らせていると、
雲の間から富士山の威容が望める。
春の釣行を祝うかのような風景を楽しみつつ、心は釣り場へと急ぐ。
堂ヶ島に寄ってから、さらに南下して伊豆半島先端近くの磯へ向かった。

ねらうはヒラスズキや、アオリイカ。しかし残念ながら、反応はない。
さてどうしよう……。あちこちで情報を集めていると、
地元の名手が磯でメジナをねらっているという。
さっそく向かうと、名手は快く磯釣りの手ほどきをしてくれた。

磯に立つと、名手は寄せエサを撒く。
「オキアミは、尾羽根を切ってそこから刺して……。準備ができたら投げてみましょう」
寄せエサを撒いたあたりに振り込もうとしたが、
若干ずれてしまった。しかし名手はすかさず、そこに寄せエサをかぶせてくれた。
しばらく待つと、海面を漂っていたウキがスーッと引き込まれた。

アタリだ!
あわててサオを立てると、グングンと力強い引き。

しばらくしてあがってきたのは、30cmには届かないがきれいなメジナだった。
このサイズで、あれほど引くのか……。
その手応えに夢中になるうちに、いつしか日は傾いていた。

急いで堂ヶ島まで戻ると、ちょうどあたりが赤く染まっていた。
今日は運がいい。
富士山だけでなく、夕景も楽しめそうだ。
堂ヶ島の入り江に浮かぶ島々の間に、丸い太陽が沈んでゆく。
刻々と変わる色。
その風景に見とれていると、いつの間にか一番星が輝いていた。
……しかし、今日はこれで終わりではない。
夜は夜で、春に好機を迎えるメバルをねらうのだ。
星空の下、今度はゴロタ浜に向かった。

メバルは「春告魚」といわれ、この季節を代表するターゲット。
さらに「目張」とも書き、目が大きく視力もよいと考えられている。
そのせいか、夜に小さなルアーを引いていても、よく反応してくれるのだ。
この日はフライフィッシングと、ルアーの両方でねらってみる。
波を被るので足場には注意が必要だが、そこは万全の装備で挑む。
夜も更け、そろそろ諦めようか……というころ、
ようやく手もとにコンコンという感触が伝わった。

メバルか? それともただ岩に当たっただけなのか……?
フライラインを手繰ると、やがてはっきしとした魚の手応えが伝わった。
大きいか……!?

波間から姿を現わしたのは、良型のメバル。
その太った魚体は、暗がりでも輝いて見えた。
長旅の疲れも吹き飛んで、
結局遅くまで夢中になってサオを振ってしまったのだった。

翌朝は、少し遅めに起床。
この日は渓流でアマゴをねらう予定だ。
まだ春先なので、おそらく魚たちも水温が上がるころが食事時だろう。
途中、海食洞の天井が一部崩れてできたという龍宮窟に寄ってから、
ゆっくりと河津までクルマを走らせて河津川上流を目指す。
河津七滝のひとつ、大滝の迫力に圧倒された後、支流のひとつに入った。

まずはドライフライを結んでみる。
川を歩いていると、河津桜のピンクが目に入る。
桜の下で、サオを振る幸せを噛みしめていると、
やがてフライが飛沫とともに消えた。

合わせると、久し振りの渓流魚の手応え。
慎重に寄せると、大きくはないが朱点の鮮やかなアマゴだった。

一日中遊び続けた伊豆の旅。
ほどよい大きさのこの半島は、東京から2~3時間の距離でありながら、
海と川のどちらも楽しめる貴重な場所だ。
くたくたになりながらも、
魚たちと風景に癒され、充実した2日間だった。

伊豆の釣り情報

海釣り(メジナ、メバル釣り)
磯で釣りをする場合は、滑りにくいスパイクブーツ、フェルトスパイクブーツなどを用意する。またライフジャケットは必ず着用してほしい。波が高いなどの悪条件では、無理に釣行しないこと。メジナ釣りは秋から初夏まで楽しめる。メバルは春がベストだが、小さなものを港でねらうなら一年中釣ることができる。
渓流釣り(河津川)
  • ● 解禁期間:3月1日~10月31日
  • ● 入漁料:日券1,000円、現場売り1,500円、年券6,000円(要写真2枚)
  • ● 問合先:河津川漁協(TEL:0558-34-0316)

※このコンテンツは、2018年3月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。
※掲載されている写真は事前に許可を得た場所で撮影を行ったものです。
※環境省レッドリスト等の掲載種については、法令・条例等で捕獲等が規制されている場合があります。必ず各自治体等の定めるルールに従ってください。